ここタイの財閥系のファミリーの方々は、同じ一族の数家族で
一つの(大きい)お屋敷(=ひとつ屋根の下)に一緒に暮らすことを
とても大切にしているそうだ。

それは、祖父母に伯父伯母(叔父叔母)・従兄弟・従姉妹そして両親が、
皆一緒に暮らすことによって、お互いに力を合わせ協力し助け合って
いくということは勿論のこと、お互いの子供、甥・姪子さん達を一緒になって
子育て・教育をし、それぞれの子の特性を見極め、ふさわしい将来(道)
を共に見つけ築き上げていくためでもあり、そこには、今の日本には
なかなかナイ”一族のことは一族全員で”という強い絆と助け合いの
心・精神があるのだ。

しかしながら、それは同時に、子供達にとっては熾烈な後継者争い(?)
でもあり、必ずしも”長男の長男”が一族の後継者となるのではなく、
成長していく過程(約20~30年?)において、すべての要素をもって
判断された結果、次世代の一族を担う後継者が選び出されていくらしい。

受験戦争よりも長く、そして、企業内の出世争いよりも一足早い
エリート一族に生まれたゆえの宿命ともいうべき熾烈な競争の現実と
タイ版”ひとつ屋根の下”の持つ「(日本版とは違う)厳しさ(?)」を前に、
私は、当然の如く実感が湧かないまま・・・只々、傍観者的に
「フムフムフムフム」と頷く”大兄(あん)ちゃん”を装うことしか出来ない
バンコクの哀愁夕暮れ時であった。