M&A月報 No.214「毎週金曜日、プラユット首相の国民に向けた演説」

暫定政権が発足して早くも7ヶ月が経過するが、毎週金曜日のゴールデンアワーの夜8時頃には、

多くのTVチャンネルが強制的に切り替わり、約一時間に亘ってプラユット首相の、

国民へ何に注力しているとか、国民に何を期待しているのか等の演説が行われている。

佳境に入ったプログラムが中断されてしまう事には、時によっては腹立たしく感じるが、

首相の懇切丁寧な努力の姿勢には敬意も表している。

今般バンコクのホテルに於いて、現在話題となっている公共事業の発注に付いての透明性に付いて、

プラユット首相の説明会が行われた。

その時の質疑応答の折に、ある新聞社の記者が、“政府はこの7カ月間どんな仕事を行って来たのか?”

との質問をぶつけた。

さすがにいつも冷静沈着なプラユット首相も完全に切れ、その記者を殴らんばかりの姿勢を示し、

君は自分が毎週行っているTVを通じての演説を聞いていないのか?と詰問した。

さらに、記者の諸君は私が喋っている事を、只音楽を聴くように聞き捨てるのでは無く、

内容を斟酌して欲しいのだ、何故ならこの国の立て直しを、君達と共に図ろうとしている事を、

認識して貰いたい、と締めくくった。

昔、サッチャー首相が、ある愚問の質問をした女性記者に、

“私は、このセミナーの講演に当たって、何時間も費やし案を練って来た。

貴女は今思い付きで質問をした。そんな愚問には回答しない、次。“

と言い、誰も質問出来なくなった事件を思い出している。

日本の国会の中継を見ても、また安倍首相の記者会見を見ても、何と愚問が多い事かと感じている。

今回のプラユット首相の記者への対応には拍手を送りたいと感じている。

しかし、これを契機に、記者と首相との激突がその後も続き、業を煮やした首相が、

遂に、その様な記者は処刑すると発言してしまい、これは言論の自由に大きく脅威を与える発言として、

世界中のメディア関係者の批判を仰ぐ結果となってしまった。

首相には、気持ちは判るが、今少し冷静にとお願いしたいところである。

プラユット首相は昨今の米国の政権批判もよほど頭に来ているのか、またメディアに対して、

“人は違うものであり、シャツを作る時には、万人向けのシャツは作れないという事を米国に伝えて欲しい”

と述べた。

また別の機会には、“各国はそれぞれに異なる問題に直面しており、全世界の為にONE SIZEのシャツを

作る事は出来ないものだ”

と米国を批判した。

目下米国はタイに対し、軍事支援を停止する措置を取っており、過日は、ヒル国務次官補が来タイし、

インラック氏弾劾に対し内政干渉を行った事にも猛反発し、両国の関係は冷え切っている。

これの影響でタイが中国に急接近しつつある動向には憂慮している。

政府は2015年のインフレ率の予測を0.6~1.3%と、従来の1.8~2.5%から下方修正した。

最大の理由としては、原油価格の下落を挙げている。

また成長のスピードが減速しただけで、デフレの懸念は無いとしている。

今回のクーデターに期待した、安定した低成長、基調になって来たと、知識層はこの動向を歓迎している。

財務省が大上段に振りかぶった、相続税と固定資産税であるが、時間の経過と共に軟化してきた。

相続税は、原案10%が5%となり、5000万バーツを超えた部分が1億バーツとなってきた。

さらに、最終決定までに紆余曲折が出そうであり、タイ国らしいなと感じている。

過去の電機業界の変遷より、懸念していたが、ついに中国製の電気自動車がタイで発表された。

ブランドはBYDと言い、何と電気自動車参入のお披露目を最初にタイで行ったのが、

日本でも欧米でも無く、中国であった事に衝撃が走っている。

タイの輸入業社もLOXLEYとカシコン銀行と強い繋がりのある、名門企業だけに、これも驚きで迎えられている。

当初価格は3百万バーツと、やはり、かなり高額になる見込みで、政府への補助金の交渉、

バッテリーをリースにして本体価格を下げる等の事も検討されて行くとの事である。

当面はバンコクのみに限定したいようで、売り先も、官公庁、警察、空港、タクシー等に絞り

販売して行く意向が表明されている。

日本車が大きなシェアを持っているタイで、中国製電気自動車に先行される事で、

今後日本メーカーがどう対応してくるのかに注目が集まりそうである。

北部のチェンマイに於いて、大気汚染の問題が深刻化しているとの報道が入っている。

どうも主たる原因は,恒例の山焼きによる煙が西風に運ばれ、チェンマイ地域に集中した様である。

過去にはあまり聞いた事が無く、飛行機が引き返す事象も報道されており、煙を出すことは

全て禁止した様であるが、これも異常気象に関連するものであろうかと案じている。

内容が今一不明だが、今般、日本がタイの格安航空会社が計画している、チャーター便、

185便の日本への到着を認可しないとの発表を行った。

理由は、機体整備に問題ありとの事だが、詳細は良く判っていない。

ソンクランの休日もあり、旅行会社等は対応に追いまくられている様だが、

これで目下人気の出ている、日本ツアーに陰りが出ないか案じている。

日本よりの報道を見ていると、出直しに期待する民主党だが、政権交代を担える政党にするとの

触れ込みではあるが、どうもやっている事は、大臣の金の出所とか、NHK会長の資質とか、

重箱の隅に注力している様に感じられて仕方がない。

安倍政権のアキレス腱は“財政再建計画”にあると思っている。

これへの対応のキーは“規制の撤廃”と思う。

選挙での大勝、民主党のお粗末より、民主党が取り組むべきJAの基盤に安倍政権が切り込んだ事に、

歯がゆさと、自民党の自信の程を感じている。

マスコミも財務省も増税の方には一生懸命な感じを受けるが、日本を挙げて歳出の削減に

懸命にならぬのは何故であろうか。

新聞の見出しには賃上げ競争を是とする活字が躍る。

無理矢理人件費を上げ、日本製品の競争力が増すのであろうか。

輸出立国は最早過去の産物にして良いのであろうか。

タイの暫定政権の方が、遥かにビジョンがあり、国の将来を慮り、真面目な議論、

対応策が打ち出されていると感じている。

日本よりのTV、 新聞報道等を見ていると、連日の様に、川崎で殺害された中一の少年の

ニュースが流されて来た。

大変可愛そうな事件とは思うし、その中には、校長の悲痛な表情等も報道されたが、

両親の事は殆ど見る事が出来なかった。

報道によると、この少年は、よく深夜まで帰宅していなかった様に思える。

今の日本の一般家庭では、中一の少年が、深夜になっても在宅せぬ事に無関心なのであろうか。

学校が悪いのであろうか。

タイでは聞かれない事件であるし、タイの家庭では考えられない様な家庭環境である。

この様な殺伐とした事件は、我々が学生の頃は無かった様に感じているし、

我が祖国は、子供が子供を殺害する様な国では無かったと思っている。

一体何が起こっているのであろうか。

ニューヨーク発の情報として、渡辺謙さんが王様役を演じる、ブロードウエイのミュージカル、

“王様と私”が紹介された。

学生時代に見たユルブリンナー主演の映画を懐かしく思い出すと同時に、ラマ4世通り、

チュラロンコン大王(ラマ5世)の銅像を眺め出勤している自分を不思議に感じている。

出来る事ならこのミュージカル、見てみたいものである。

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