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微笑みの国で雨にウタレテ・・・90′s 最終回

2015/09/25

町田君による「突如勃発型発作的ドタバタ旅-チェンライ編」は、
本当に勃発的に始まった。
「俺、今日の夜行バスでチェンライ行ってくるわ」

と言い放ったのち、さっそく町田君は荷造りをし、ねぐらにしていた宿を
颯爽とチェックアウトし、荷物をカウンターに預け、マイへのお土産を
買いに再び外へ繰り出して行った。

俺達はその模様をポカン・・としながら眺めていた。
何をそう彼(町田君)をかり立てているのか?
俺達にはそこまでのパワーや思いがなかったから、羨望の眼差しとは
言わないまでも、その行動力と決断力に対しては、ある種の羨ましさを
感じていた。

これから、あてはあるが不明確且つ見知らぬ土地へ、消え去った女性
(マイ)を追い求めて旅立つ町田君の心境は、その昔のマルコのような
ものなんだろうなぁ、、なんてことを考えていた。
「マイを求めて900Km」と言ったところか。

チェンライはタイ最北の県都であり、13世紀には、タイ北部で栄えた
ランナータイ王国の首都であったことで知られている。
町田君がゴーゴー・バーで知り合い、惚れこんでしまったマイという
女性が生まれた場所でもあるらしい。
バスで約13時間。

バンコクでも、チェンマイ、チェンライと言ったタイ北部から来た女性は、
どこか発するオーラが、他県女性とは違うということはよく耳にしていた。
最初は
「そんなことあるものか、タイ女性は皆、タイ女性ではないか!」
と、素人さながらの頑固さを売りにしていたのだが、事実、日本にも
東北美人と比喩される、でも本当に美人の東北の女性がいるように、
実際、間近で見てみると、やっぱりタイ北部出身の女性は、綺麗且つ
スタイル抜群なのであった。

タイ北部は、ミャンマー、ラオス、中国と隣接した地域であり、ここには
中国系の血を受け継ぐ人が多い。
中国系とタイ純正100%のモン族とを比べても、男女共に、中華系の
方が華やかで、女性ならば「うつくしい」、男性ならば「おっとこ前」と
言ったものだろうか。

そんな感じの話をオキ君や、歩くガイドブックのナリタヒデキから
聞くたびに、タイ北部への思いがかりたてられ、今にでも俺も、
”北に行きてぇ”と言いたくなるのだが、今回の目的はあくまでも「南下」であり、
目的に添って旅を味わいたいナリタヒデキは、他人の「突如勃発的発作型」は、
オモシロ旅ウケ話として受けいれるのだが、
自分達には”突如勃発・・・は必要ネー”というようなスタンスであったから、
自分一人では果てしなく不安で孤独を嫌う俺の意見など無視される可能性が大であり、
例え北への進路変更を提案したとしても、
「俺は行かないから、おまえ一人で行って来ればいいじゃん」
と言い放たれるのがオチでもあった。

この時俺は、口をつぐんだまま、密かに次回の確固たる「北」への
目的を心の内で構築し、その熱い思いを噛み締めているだけしかなかった。

しかし、町田君のサムイ島話を聞いて、熱帯の南のトロピカル・リゾートへの
思いも確かに熱くはなっている。
リゾートの解放された華やかで誘い魅惑の土地を選ぶか、
美人の宝庫とされる北を選ぶか・・・。

確かに旅の当初は、
「新しい自分を見つけるためなのだ!」

とか
「自己実現のきっかけなのだ!」

というナントカカントカな目的も何もなしに、ただただ外国の見知らぬ土地を、
そして廻りを見廻しても知らぬ輩がウヨウヨしている街を歩いているだけでも
満足であった。
それはそれで、無機質で表情の薄い日本から抜け出して来ていることに
充実感を感じていたのだ。

しかし、漠然的に「南」を目指してはいたものの、でも、そんなとこに何か
正当な理由があった訳でもなかった。

「だんだんと単調になっていく「旅」という、”一人よがり的青春謳歌”に
疑問とその存在意義をまがいなりにも俺は感じ始めているんだよ」

と、すでに長旅のオキ君が、ビールを飲んで酔っ払い、語りに入って
いる時にふと言ったことが印象に残っていた。

「ナンデモいいからスカスカな心を潤すパワーと過激さを意識下で
求めてはいるんだけどさ」
この時、町田君が珍しくシリアスな顔して反応していた。

いろんな理由・スタンスで旅する”あやしい日本人”と出会う度、
「イマイチ味のない中身のない旅をしているなぁ」

と、異国でも自分を捨てきれない曖昧な自分等に嫌気が差しつつあったのは
確かで、しかし、一方で
「俺はまだ学生なんだから、自分を突き詰めながら各国を旅している
猛者にはならなくていいんだよ。彼等は彼等で俺は俺だよ」
などと思う気持ちもあり、その辺が、やっぱりいつでも中途半端な
自分を象徴していた。


夕刻の闇がバンコクを覆い被さる頃、町田君は、チェンライ行きの
バスが行き交うバンコク北バスターミナルへ向かうため、一人、
1ヶ月の一人旅にしては妙に少ない荷物を持ち上げ、「よぉっしゃー」
と声を張り上げた。

「本当に大丈夫かよ?あんだけの連絡先で行けるのかよ?」
と、オキ君がつかの間の旅の仲間に言った。
「大丈夫!大丈夫!なんとかなるべ」
「町田がいいんならいいけどさぁ。で、いつ帰ってくんの?」
「マイに会えたら帰ってくるよ。できれば一緒に帰ってくるつんもりだけど」
と、意気揚揚と町田君は答えた。

ナリタヒデキも俺も黙って町田君を見ていたが、町田君の
「今までサンキュー!また会おうぜ!」
と言いながら差し出した手と思わず握手をしていた。
しかし、内心は、

「きっと会えないだろうな、、無駄足だろうなぁ。。」
なんてことを俺は考えていたが、口には出さなかった。

「帰ってきたら、またこのゲストハウスに泊まるかんよ。ここに居てくれよ。
カウンター脇の掲示板にメッセージ残しておいてくれよ。」
「おー分かった。おまえも帰ってきたらメッセージ張っといてくれ。俺達も
これからどこかへ行くかもしれないからさ。とにかくまた会えるといいなぁ。
ここで会えなかったら日本で会おうぜ!」
とオキ君が言った。

「そうだべ。ここで会えなくでも日本で会えるべ」
と町田君はそういい残しながら、タクシーに乗って北バスターミナルへと
闇の中を消えていった。
タクシーのテールランプがやけに闇の中で色濃く見えた。
俺達は、ボーっと町田君のタクシーの中の後ろ姿を見ながら、旅人らしく
シリアスにのちの再会にふけっていた。
しかしこの時、町田君と日本のアドレスの交換をしていなかったことに
オキ君が気が付いたのは、だいぶ後になってのことだった。

町田君は見送った後、俺達は飯を食べに再び街へと繰り出した。
しかし、今度は街は夜の顔になっている。

昼間とは違い、けたたましい排気音や騒音の出所が分からない分、
妙な興奮が体の中から湧き上がり、夜の明りに向けてその興奮が飛び散っては、
眠らない街の片隅で働くタイ人の熱気とかと交じり合うことがなんとなく分かる
もんだから、街と一体化したような気分になり、次第にいろんな感情を押えきれ
なくなってきていた。

そして、その押さえきれない興奮と感情は、なんとなくだけど、次なる目的地と
そこにある何かが作用して体の中から沸々と湧き上がってくるものであった。
いろんな旅のスタイルとスタンス、その可能性の幅を垣間見ることが
出来るであろう希望に満ちたこの先と、日本では味わうことができない
精神の解放・充実、所謂、旅の麻薬にだんだんと染まりはじめている証拠でもあった。

俺達は、そこら辺の屋台でビールを飲んで行き交う車や人を見ながら、
今日一日の出来事を振り返りつつ、大袈裟に笑った。
日本での生活がアホらしくもなっていた。

長い一日で憂鬱ばかりの日々から、こんなにも人間力と情熱とパワーが
ありふれている街の真中で芯に苦いビールを飲みながら、眠らない
風を感じることが出来るのである。

俺達は町田君の幸先と行く末を思いながら、いよいよ南へ向かうことを
なんとなく決めていた。
そして、バンコク最後の夜を、町田君もハマったゴーゴー・バーで締めくくろう!
ということになり、俺達は、ナリタヒデキの渋々顔を無視しつつ、
魅惑のパッポン通りへと向かうため、通りすがりのトックトックを止め、
勢いよく飛び乗ったのである。


あるきっかけと目的地を欲していた時に投げかけられた数々の選択肢と
その誘い情報は、間違いなく俺達を旅に沈めるべく”旅の言霊”を発し、
俺達を刺激していたのである。


(おわり)

はじめてのひとりたび in Laos

2015/09/10

サワディーカップ! 皆さま、こんにちわ! 研修生其の2のヤマモトでございます。

研修生ということでブログの担当を任されたので頑張って書いていきたいと思います。

自分は先週末に行ったラオスへの旅行について書きたいと思います。

旅程としては

バンコク NRTファランボーン駅    8/28

↓ (寝台列車で12時間)

ノンカイ               8/29



ビエンチャン             8/29-30



ウドンターニ             8/30

↓ (バスで12時間)

バンコク 北バスターミナル      8/31早朝着

という1泊4日の弾丸旅です。。。

途中何度か体が悲鳴をあげそうになりましたが、そこはヤマモト、ふんばりました。

(誰かほめて!!)(笑)

そんなことはさておき、話を進めていきたいと思います。

初日、初めて乗るNRTに悪戦苦闘しながらもどうにかファランボーン駅に着きました。

実はヤマモト、駅へ向かう直前まで先輩方との飲み会に参加していたため、体にアルコールが回り、

この時点でもう足はガクガクです。。。

しかし立ち止るわけにはいきません。

重い体を奮い立たせ、切符売り場まで行き、ノンカイ行きの寝台列車を購入します。

駅員「どこへ行きますか?」

ヤマモト「ノンカイです」

駅員「何等の列車にしますか?」

ヤマモト「2等の寝台列車でお願いします。」

駅員「はい、それではあなたの名前を打ち込んでください」

ヤマモト「ケ、ン、タ、ヤ、マ、モ、トと」ここまではスムーズでした。

ふとヤマモト思います。

(あ、時間は何時なんだろう)

駅員に聞きます。

ヤマモト「何時出発ですか?」

すると駅員はこう言いました。

駅員「NOW」

ヤマモト「!!?」

これが実際の切符です。


右下に記載されている時間が実際切符を購入した時間です。

時間はなんと19時59分!汗

お分かりいただけただろうか?(本当にあった怖い話風)

そうです、ナウなんです。。。

駅員に文句の一つもつける間もなく、一目散に電車を目指しました。

高校の部活動以来の全力疾走です。。。

するとなんとか乗車することができました。疲れた、、、。

お酒を飲んでたことに加え、疲労していたためか、

移動時間のほとんどを寝て過ごしました。(寝台列車意外と快適でした)

そして予定到着時間から45分ほど遅れて列車はノンカイに到着しました。

ノンカイ駅は周りにこれといったものもなく、のどかな雰囲気でした。

降車後、しばらく周りの風景を写真に収めていると、

どこからか視線を感じるようになりました。

その視線の先にはなんとアジア系の人物が

仲間になりたそうにこちらを見ているではないですか!?

(日本人かなぁ、声をかけてみようかな)そんなことを考えていると

彼の方からこちらのほうに近寄ってきました。

「ニーハオ」

(中国人か!)

どうやってコミュニケーションをとるか悩みましたが、少し英語も話せるようでした。

彼の名はジェイソン(中国名は聞くのを忘れちゃいました)

バックパッカーで今までにカンボジア、マレーシア、タイを回っていたようです。

自分のつたない英語で彼と話してみると、どうやら一緒にラオスに入国する仲間を探していたようです。

自分はすぐに彼と協定を結び、行動を共にすることにしました。

本当はラオス入国までという話でしたが、結局その後ほとんど彼と行動しました。

ビエンチャンの観光地を巡ったり、ナイトマーケットに行ったり、

メコン川のほとりでエアロビを踊ったり(笑)

とてもいい思い出です。

ビエンチャンはもっと田舎を想像していましたがそこそこビルがあって

高級車も何台か通っていて小都市という感じでした。

走っている車はヒュンダイ製が多く、また8月にはラオスのサッカーチームと韓国のサッカーチームとで交流試合が行われたようで、

韓国が進出を図っていることがうかがえました。


ヒュンダイ車↑


時間があればルアンパバンやバンビエンにも行きたかったです。

今度ラオスに来ることがあればもっとゆっくり滞在したいですね。

微笑みの国で雨にウタレテ・・・90′s 其ノ十四

2015/09/07

結局、マイという町田君が気にっている女性には会えないまま、
どうやらマイはチェンライに行っている・・・という情報だけを得た
俺達はようやくアパートを後にした。

外に出た途端、再び生温ったるい熱風が、俺達に覆い被さるように、
澄み切った空から吹き込み、喉をカラカラ刺激してきた。
俺は、また長いかもしれない帰り道を思うとぐったりせざるを得なかった。

アパートの門の所には、何匹もの野良犬達が同じように体を
”ぐだん・・”とさせながらうな垂れていた。
さっき間違えて行ってしまったプラ・ラーム・ハー通り沿いの歩道で
やっぱり同じようにうな垂れて、その独特の哀愁漂う何かを目で
訴えかけながらトボトボ歩いていた犬を思い出した。

何匹かは、停まっている車の下で”ハァハァ”言いながら全身
隙だらけで寝ていた。

この照りつける強烈な日差しからの一時的避難なんだろうけど、
車主が来て、せっかく気持ちよく熟睡している所を払いのけられ、
”ブゥゥルルンン”と勢いよく走り去られてしまい、唯一の日除けが
なくなってしまった後のなんとも言えない彼等の寂しそうな目を
見ているとなんだか見ていてとても痛々しかった。
それがバンコクで、野良として一人で生きていかなければならない
犬達の宿命であるのだが、だけど、よくよく考えてみると、
彼等には彼らなりの自由がありそれを横臥しているのかもしれない。

自分のシマの路地裏辺りをウロウロ徘徊していれば、その辺の
住人が餌をくれるのであり屋台の残飯にありつくことも出来る。
一見放し飼いで行き場のない孤独な者達よ・・・と思うかもしれないが、
実は日本の狭い家で縛られて飼われている犬達よりは、ひょっと
したらシアワセなのかもしれないなぁ~なんてことを思った。

”ぐだん”とうな垂れていた犬達のように、町田君も肩を”ぐだん”と
させていた。
「とりあえずカオサン帰ろうか?」
とオキ君が、町田君に語りかけるように尋ねた。

このホワイクワンがバンコクのどの辺りに位置しているのかが
よく分からなかったが、ナリタヒデキがバンコク・バスマップを見ながら
「比較的近いよ」
と、暗に”近いからバスで帰ろうよ~”なんてことを言い出しそうな口ぶりで言った。

「ここはよ~もう近いんだったらタクシーで帰るべ」
と、町田君は低い声で、ナリタヒデキの期待を裏切るような感じで言った。
どうやら、本当ならば今日、ゴーゴー・バーで知り合ったというマイに
会えるはずだったのに、町田君に伝えないままタイ最北部のチェンライに
行ってしまった・・・ということに、自称”限られた時空旅人”の町田君は、

「もう会えないんじゃないか・・・・。会えるとしても次はいつ会えるのかも
ワカラナイ。。それに、ひょっとしたらもう会うことはないんじゃないか・・・。
タイ人なんていつどこに行ってしまうのかもワカラナイ。。今日のように・・・。
広大なタイの何処かに居たとしても、見つけ出すことなんてデキナイヨ。
連絡だって取り合うのムズカシイだろうし・・・もうアエナイんだ。。」

という、強烈なマイナス思考が、どうやら体中をぐるぐる廻っているらしかった。

南の島のサムイ島で知り合った台湾女性の弟が事故死し、発狂寸前の
彼女を、鋭い心の痛みを感じながらも島に置き去りにしてきてしまったことを、
ここバンコクに戻ってきた後も表面に出さないまでも内心では
後悔にさい悩まされていた町田君が、いくら下心丸出しとはいえ、
そのマイという女性に夢中になっていたのは、深層心理にこびり付いて
なかなか取れないその後悔と恐怖を一時的でも払拭したい・・という気持ちで
一杯だったからだ、というように、同じく暑さと緊張で脱力感に覆われいた
俺達は良いように解釈しはじめていたこともあって、だから、マイが
今バンコクに居ないという事実を前に、

「おいおい、そんなことぐらいで落ち込むなよ~。これはほんのヒトトキの
素晴らしき恋であった・・・のであって、そこには微笑みがあったんだ。
それでいいぢゃないか。南の国での出会いや恋に本気になっちゃイケナイんだ。
旅上の恋はその土地々々に置き去りにしていかなければならないんだ」

なんてイッパシことを言えるわけもなかった。

そしてまた「バス派」のナリタヒデキやオキ君達も
「バスで帰ろうよ!」
なんてことは言えず、この時は素直にタクシーで帰ることを了承していた。

やっぱりナリタヒデキが言うように、ホワイクワンからカオサンまでは
比較的早いルートがあることをナリタヒデキが確認し、タクシーの
運ちゃんに地図を見せながら、

「このルートで行ってくれ」
と、さえない英語で説明していたが、その運ちゃんは金切り声で
「ソンナコトシッテンダヨ!」
みたいなことを不機嫌な顔をしながらタイ語で言っていた。

帰り途中、現国王が住んでおられるチットラダ宮殿を通過する前の
踏み切りあたりで、何人ものポリスがけたたましくウロついていた。
停車しているパトカーも何台もあり、そのけたたましくグルグル廻る
サイレンを見ながら、ナリタヒデキが
「王室の誰かが外出するのかもしれないよ」
と、知ったかぶりの口調で言った。

しかし、ポリス達は検問している訳でもなく、俺達の乗ったタクシーも
案外すんなり踏み切りを渡り、宮殿横を通過することが出来た。
宮殿敷地廻りは堀と鉄柵で夥しく囲まれており、そこには一定間隔で
長銃を手にした頑丈な警備兵がジッと立っているのが見えた。

「ここって、現国王が住んでいる場所だよね?」
と、ふと俺がナリタヒデキに聞いた。
「そうだよ」

と、ナリタはすぐ答えた。

「ここって入れるの?」
と、さらに質問を続けると、あきれたような顔で
「入れる訳ないだろう。日本だって皇居には入れないだろう」
と言った。

俺もナリタのそんなあきれ顔にムッとして
「皇居内の館やナントカ御殿には入れないけど、正月の時とかの一般参賀の
時とかは、参列者は皇居の敷地内に入ってゆけるだろう。そーいうことを
言っているんだよ」

「そんなの知らないよ」
とナリタは半分無視しつつ、流れ行く外の景色を見ながら、
つぐんだままの口から「ウカォア、ウカォア」と、奇妙な音を発していた。
どうやら、去年まで住んでいた寮時代から皆に止めろ!と言われていた癖が
未だに直らないでいるらしかった。

そんな俺等のヤリトリを一向に気にすることなく、オキ君や町田君等は、
その間、目をジッとつむっていた。

カオサンに着いた俺達はいったん宿へと戻り、体に染付いた汗と
喧騒の匂いを洗い流し、洗濯物でカビ臭くなっていた部屋をファンで
無駄な換気をしてから、一階のラウンジにダラダラと集まった。
しかし、いくら待っても町田君が姿を現さなかった。
俺達はシンハビアを飲みながら、ダラダラとあまりコトバを発さず
たまに流れてくるさわやかな風に身を預けていた。

しばらくして、突然、町田君が息を切らしながら笑顔で走り込んできた。
すでに着替えたはずのTシャツは、再び汗に滲んでおり、ハァハァと
息も弾んでいたのだが、一息もいれることなく町田君が喋り始めた。

「俺、今日の夜行バスでチェンライ行ってくるわ」

確実に「突如勃発型発作的ドタバタ旅」は、俺達の廻りで動きはじめて
いたのである。

(つづく)



*「この物語は100%ノン・フィクションですが、登場する
人物名及び団体名はフィクション(仮名)です。