‘2015/04’ カテゴリーのアーカイブ

タイの楽園、リペ島

2015/04/29

最後の楽園として最近人気のリペ島へ行ってきました。

場所はマレーシアとの国境近く、アンダマン海側となり、有名なリゾート地のピピ島やマレーシアのランカウイ島のあたりとなります。

ベストシーズンは11月から4月までの乾季。バンコクから訪れる場合にはハジャイ空港から陸路とスピードボートを乗り継ぎ、トータル約6-7時間の移動で、なかなかの行程となりますが、行った先に広がる海をみればまず後悔することはないでしょう。日本から行く場合には、マレーシアのランカウイ島からフェリー利用という方法のほうが簡単です。

のんびりと何もせず美しい海を眺めながらリラックスするのもおすすめですし、
隣接する島々を小船でめぐれば、スノーケルだけでも魚の大群に出会うことが
できます。

残念ながら近年はブームとなり、外国人旅行者も増加したため、開発
ラッシュとなっているようですが、まだまだ豊かな自然やおいしいシ
ーフード、時間や場所によって様々に変化する美しい海に出会えます。

もし機会があればぜひ訪れてほしいタイでも指折りのリゾートです。
※当記事は1月号メルマガに記載した記事を転載しております。

微笑みの国で雨にウタレテ・・・90′s 其ノ十

2015/04/09

俺達が飯を食っていたのは、カオサンから一本奥に入った路地沿い
(ランブトリ通り)にある屋台街であった。そこら辺は、貧乏旅行者(?)と
いうか個人旅行者向けで、 “たとえ飯でも安上がりなのだ!”というスタンスの人が、
「飯はここで!」的に通っている場所で、おかずを選んでタイ米の上にぶっかける
“ぶっ掛け飯”やタイのチャーハン“カオ・パット”や、ラーメンの“バーミー”、
鶏肉のスライスご飯の“カオ・マンガイ”などが 15~25Bで食べることが出来た。

「せっかくタイに来たのによー!西洋料理なんか食ってられっかい!」
なんていいながら、よくせかせか通っていた。

話の決着を着けられないまま、俺達はカオサン通り沿いの、「160」と
書かれた看板がぶら下がっている所の路地を入った所にある、こじん
まりとした店に行った。

その当時は、路地の奥にはゲストハウスしかなかったようだけど、最近は
ディスコかなんかが出来たみたいで、妙に派手な格好をしたタイ人女性や
その尻を追っかけてきた(?)タイ人男達がひきりなしに通っていくので、
たまにその店に行くと、我ながら時の流れ行くさまを味わうのだ!なんて、
さえない輩(やから)面(ヅラ)して椅子に座るのである。
しかし、その店の店内はなんら変わっていない。

変わったといえば、その当時、まだ2,3歳くらいの少女が、すでに小学生
くらいの歳になり、そこら辺の小学生が校則で決められたタイ特有のあの
オカッパ頭でいつもの机に座りつつ、食事を運んだりと手伝っていることと、
その当時、店を切り盛りしていた、若いおねーさんが居なくなっていることで
あった。どこかに嫁いで行ってしまったのかもな・・・とそんなことを思った。

話を元に戻そう。
俺はナリタヒデキは、よくその店に、映画を見に通っていたのである。
夜はとにかく二人なんかでいると、ひたすら暇なもんだからよくこの店に来て、
俺達が好んで飲んでいた15Bの“レモン・シェイク”を飲みながら VCDの
映画を見ていた。メインは「ミッション・インポシブル」で、タイ語字幕のこの
映画を何回見たか覚えてないくらい見たものである。

その日も、おなじみのミッション・インポシブルを流していた。客はファランの
カップルが2組居て、映画に見入っていた。
俺達が、店の奥の方の席に座り、レモン・シェイクを注文すると、ちょうど
タイミングよくオキ君が一人で、相変わらずの白い帽子をかぶりながら
やって来た。元々、この店は、オキ君が教えてくれた店だった。

オキ君は、髭が濃い体質なのか、何ヶ月も剃ってないとは言え、やたらと
あごひげで 口周りが黒くなってきていた。オキ君はそんな髭をさすりながら、
「オネーチャン、シンハビアね!」って言った。

そう言えば、よく俺も、ウェーターとかタイ人女性を呼ぶ時は、よくジャパニーズ
的愛嬌 (?)のつもりで、「オネーチャンンン!」って呼ぶけれど、それはオキ君
の影響を 受けたものだった。オキ君は、必ず「オネーチャン!シンハビアね!」とか
「オネ~チャン、バーミー ワンね!」とか言うのだ。

なんかそれを見ていて、よく分からないまま「なんかいい感じね!」って思った俺も、
知らないうちにマネするようになっていた。でもそれは、よくよく考えてみると品の
ない言い方だなぁ なんて思っていたのも事実である。

「今日はどこ行ってた?」
と、俺はオキ君に聞いた。

「いや~今日は、バンランプーの辺りをブラブラ歩いていたよ。結局何も
買わなかったけどね。でも、バンランプーから町中を巡る運河を走るボートで
ファランポーン駅まで行ってきたんだ。 たった7Bかなんかで行けたよ。
それにしても、ボートの隅に立って、進路調節とか料金徴収とかしてる船頭と
いうのか、あの乗組員は運河に落ちないよね。それにちゃんと新たに乗ってきた
人の所まで来てカネよこせ!って言うしね。ひそかに“落ちたら オモシれーな”
なんて思ったんだけどさ、俺の方が降りる時に落ちそうになっちゃってさぁ」

なんて、相変わらず顎鬚をさすりながら言っていた。
横を見ると、ナリタヒデキも中途半端なあごひげをさすっていた。

オキ君は、どうやら、ブラブラと街ん中を探索してきたようであった。

「バンコクも中心部から少しでも離れると、見える景色とか景観は一緒だね。
1階がお店の長屋があるだけで、それもどんどん市内から離れると、
1階も住居のただのつまんない景観になるだけなんだ」

とも言っていた。

「どっか面白いとこある?」
と、あごひげを掻きながらナリタヒデキが聞いた。

「いやーよくワカンナイね。どこがいいかなんて俺にもワカンナイね。ホントにね。
でもサイヤムスクエアがなんか面白いらしいよ。でもただいろんなお店が
立ち並んでいる“若者の町”ってだけらしいけど」

「ふ~むむむ、そうか。俺はシーロム通りっていう所に行ってみようかとは
思っているんだけどさぁ、そこには行ったかい?」

と、ナリタヒデキが続けざまに言った。

「いや、、よく知らないけど・・・・」

とオキ君は、明らかに興味なさげに言った。

「いやさ、寺とかさ、大体の観光名所は行ったからさ、なんかその辺の街中を
歩いてみよーぜ!とか話してたんだけどさぁ、どこがいいかワカンなくてさ」

「この裏のバンランプーとかは行ってねーんでしょ?まずそこ行ってみれば?
ローカルな店が沢山あるよ。プラスメン通りの方まで行けば”ニューワールド
デパート”もあるし。」
と、オキ君は言った。

「ふむふむ・・ ”ニューワールド・デパート”だね。ふむふむむむ」

と、相変わらず、ナリタヒデキは中途半端なあごひげをさすっていた。

ふとTVを見ると、流れていた「ミッション・インポシブル」で、
主役のトム・クルーズ がなんか天井からぶら下がっているシーンをやっていた。
その横を見ると、クシャおじさんのように、いつも顔をクシャクシャしているような
感じの店のおばちゃんが、なんか炒め物をしていた。それは、エビ入りの
カオ・パットのようだった。

その顔を見て、いつもカオサンを歩いていたら、よく顔がクシャった
ハンモック売りのクシャおじさんを思い出した。
あれからかなりの月日が流れたが、クシャおじさんはまだハンモックを
売り歩いていたのだ。

ふとオキ君が話を続けた。

「そーいえば、町田がさぁ、明日、知り合ったねーちゃんの家を探しに行くって
行ってたけど、“一緒に行かねー?”って誘われてんだけど、ナリタとかも
一緒に行かない?」

「そーいえば、町田君は?」

とナリタヒデキが言った。

「奴は、一緒にサムイ島行った知り合いと、今、パッポンっていうとこに行ってるよ」

「パッポン?」

と俺が言った。

「いや、なんかゴーゴー・バーっていう、半裸のねーちゃんが踊る飲み屋らしいよ。
なんかストリップみたいな所らしいよ。タイの名物みたいらしいよ」

と、ナリタヒデキが、いつものように旅の知識をひけらかしていたが、やけに
“らしいよ”が多いのに気がついた。でも、どうやらナリタヒデキは、そーいうのには
興味がないらしかった。

しかし、そんな話を聞いている内に俺は、寺院、屋台、シンハビア、バーミー、
トクヤムクン、ノライヌ、トゥクトゥク、街の喧騒などの表面的バンコクの顔と
いうか姿の裏側に潜む“夜の素顔”というものに急速に惹かれていってしまって
いるのが分かった。

せっかくバンコクに来たのだから、そーいうところにも行っておかねばならん!と一人、
心の中の燃え滾ってきている熱い思いに、自分自身、まだ見ぬ“夜の素顔”に対して
新鮮さを感じていた。

「まぁ、そーいうことだからさ、もしよかったら明日、町田と一緒にさ、その知り合いの
ねーちゃんの部屋にいこーでないの!」

とオキ君は、また顎鬚をさすりながら言った。

俺はナリタヒデキからガイドブックを取り上げ、「ニューロード、シーロム通り周辺」の
ページを探していた。

狭い店の中でぐるぐる廻るファンに気がついた。ファラン共は相変わらず映画に
釘付けだった。オキ君は2本目のシンハビアをクシャおばさんに注文していた。

なんだか、その辺りから俺の中の旅の意味合いや、取り巻く状況が急速に
変わっていったのである。



(つづく)