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微笑みの国で雨にウタレテ・・・90′s 其ノ弐

2012/10/01

「フムム」のナリタヒデキとのタイをはじめとする東南アジアの旅は、
俺にとっては初めての経験であり、勿論「バックパックで」という形態も
新鮮ではあった。
 
でも、妙なぎこちなさと、不安と、そして「流行旅行にモロに乗っかっている」
という思いのそれぞれが、自分の中で交錯はしていた。

だけど、別に「貧乏旅行」という意識も、「新しい自分を見つけるためなのだ!」とか
「自己実現・啓発のきっかけなのだ!」という目的も何もなしに、ただ
「タイを廻ってみよーぜ!」くらいの気概であったのは確かだ。

周りを見回してみても同じ日本人ばかりの慣れきった気だるい環境や空間、
状態から一時的に抜け出すだけのものだったのである。

でも、今までに、俺自身で何かをコーディネイト&クリエイトしたという経験もなく、
且つ目的のために何かに没頭したこともない、ただの腰抜け的な輩である事を
結構自覚していたのは確かで、無意識の内に、なんとかそんな自分を
打破してー!というような思いもあったかもしれない。


離陸した直後に、機内の庇が、「カタカタカタカタカタカタ」と閉まっていく
旧型のビーマンバングラディッシュ航空に乗り込んだのが1996年の
7月下旬、ちょうどタイは雨季真っ盛りの頃であった。
 
ナリタヒデキにとっては2回目のタイらしく、俺にとってはフランス、
サイパンに続く3回目の海外である。しかし、1、2回目ともツアーで
あったので、今回が初めての、その当時、妙に流行っていた
バックパックでの旅であった。
 
そう言えば、初めての海外で遭遇した事件と言えば、初めての海外旅行先
のフランスのパリだった。12月の真冬時に、プリズンのような学生寮の
仲間等とパリのコンコルド広場を歩いている時である。

コンコルド広場は、実際はクルマがびゅんびゅん走っていて、広場というより
ロータ リーのようで、うちらにとってはモンマルトルの丘に向かうための
通過点に過ぎなかったのだが、俺の目には、ふと広場の隅にお土産屋風の
露店が目に入ったのである。 
 
トコトコと、吸い寄せられるようにマヌケ面して露店に近づく俺。
すると露店の近くに来たところで、浮浪者風のメガネ野郎が1人で近づいて来た。
俺の前に立ちはだかると、急に俺に有無を言わせぬままカシャカシャ・・・と
写真を取り出したのである。

唖然とする俺であったが、マヌケ面の俺もここフランスでは受けるのだと!
寒さでアタマがヤラレていたのだろう。その男の言うなりに、ポーズを
決めていく。

「そうか・・・どこかの雑誌カメラマンだな。」

そんなこと思いながらニタニタしていると、突如、アンドレ・ザ・ジャイアント
みたいな大柄の男共二人が俺を囲みだしたのである。
瞬く間に3人の風来坊に取り囲まれ動揺する暇もなく、一人の男が
ダンボールに書かれた料金表と思われるボードを出した。

そこには「写真4枚:400フランだ!」みたいなことが書かれていた。

「えあうううぅうぅうああええええええ」

なんてもがいていると、カメラを持った男が俺に写真を手渡した。
なんじゃぁああ?これは?
全部のポラロイド写真のピンとがズレ、ぼやけては色も薄い・・・。
こんな写真1枚が100フラン=当時で約2,000円かい・・・。
 
アンドレ達に凄まれた俺は、何も言い返すこともすることも出来ず、
他の仲間が「おい・・バカだなアイツ」みたいなニタニタ顔でこっちを見て
いる中、「早く400フランださんかい!こらぁ~!」などとフランス語で言われて
いるのだなぁなんて思いながら、対盗難用に重装備した隠し財布から
400フランを渡す他なかったのである。
 
その後のウスラバカ仲間達の反応は、ニタニタ笑いでの

「あ~あぁぁあ(ひひひ)」

のそれだけであった。

特にナリタヒデキのリアクションはひどかった・・・。
「フムム・・・自業自得だよ。こーいう経験も今のうちに、ということなのだよ。
学習々々!でも、やっぱし自業自得さ!そうか、、あーいう露店は
カモフラージュということなのダネ。ふむむ、、かわいそ~にぃい」
 
とにかく、海外初体験で海外の何もかもに新鮮さを感じていた俺に
とってはショックな出来事であり、その後、その夜に食べた生ガキに
モロにあたり、行きたい所も行けぬまま、熱を発症したまま日本への
帰路に着いたという一つのマヌケな思い出と、ウスラバカ仲間達の
冷たさである。


(つづく・・)