M&A月報No.116 「同時爆弾テロ事件とタクシン氏動向」

昨年の大晦日31日夕刻、友人と夕食を楽しんでいたら、突如爆弾騒ぎの
NEWSが入って来た。

8箇所で爆弾が破裂し、3名の死者並びに数十名の 負傷者が報告された。
真っ先に思った事は、フセイン殺害により、イラク関係者のテロ事件では
無いかと不安を持った。

CNNを見ると、その可能性を示唆している。

これは重大事と思ったが、爆弾の規模が小さい事、他国では発生しなかった
事より、この危惧は消えた。
南部のイスラム関係者が行う事はとても考えられず、タクシン一派の仕業か、
軍部関係者の犯行かが浮かび上がって来た。

折角準備をしていたカウントダウンのお祭りも急遽中止となり、大変寂しい
年越しとなった。
目下の通説では、タクシン一派が、300から2,000バーツ/日の金を、
特に北部でばら撒き、人々がバンコクに押し寄せる様に画策中とのNEWSも
あり、チャワリット元首相も関連した犯行との見方をする人が多い。
政府も隠密、スパイを送り込んで対応中との話もある。
しかし、今後2ヶ月間ぐらいは繁華街は要注意と思われる。

何れの犯行にせよ何のメリットも無く、愚行としか言い様が無い。
警察は19名の軍関係者他を容疑者として逮捕したが、結局証拠不十分で
全員釈放された。
今後犯人の特定に現政府は全力を上げるであろうが、真相を明確にし、
絶対に再発せぬ様願いたいものである。

タクシン氏は外交官旅券を利用して、英国、中国、インドネシア等を旅行中
との情報が入って来ているが、遂に政府も世論に押され、このパスポートを
取り上げる決断をし、各国に通知した。
遅きに失した感はあるが、これで同氏の行動はかなり制約されると思うし、
世論はこれを支持している。

そのタクシン氏がシンガポールを訪問、政府関係者と面談したと報じられた。
神経を尖らせているタイ政府は、早速抗議を行うと同時に、訪問が計画され
ていた、シンガポール外相の訪タイを取り消した。

次にタクシン氏は日本を訪問、日本当局の対応が注目された。
シンガポールへの対応に恐れを成したのか、特に政府関係者は非常に
冷たい対応をし、タクシン氏を落胆させた様である。

現暫定政府には同情する余地は多くあるが、タクシン氏一族の脱税疑惑他、
汚職の一掃、為替対策、株の暴落、外国規制法の運用強化等々で問題を
起すと同時に対応策が納得されず、先行きの景気鈍化も危惧され、タクシン
待望論が浮上して来ている。

例え首相にはならなくとも、彼の復帰は有り得る現状で、日本政府の取った
弱腰外交の付けが将来回って来ぬか心配である。
過去に多くの日系企業が彼の世話に成った事は忘れたのであろうか。
外務省、やるべき事はしっかりやり、言うべき事はしっかり言って欲しい
ものである。

タクシン氏の息子、並びに娘が当局に呼び出され、シン・コーポレーションの
株売買に付いての審議が始まった。
息子達は、母の秘書が全てアレンジ、自分は言われる所にサインしたのみ
と供述した。次は秘書の登場となる。
ちなみにこの質問を行っているのは、当社経理会社の会長VIROJ氏である。

1999年に外国事業法が制定され、度々話題を呼んでいたが、この度の、
タクシン氏が自己のシン・コーポレーションをシンガポールに売却した事に
関連してや、プーケット等の観光地を外国企業が買収している事に対応
する為、その運用の改正案が提出され、閣議は了承した。
規制を受ける業種は下記3者に分類されている。

LIST 1:報道、農業関連、土地の売買等。
LIST 2:武器、弾薬、骨董品、砂糖、塩等文化、民芸、環境等。
LIST 3:法律、経理、技術、建設、広告、HOTEL、BROKER等。

改正案の骨子は、従来よりのタイ側出資が51%以上に加えて、経営権
(議決権)もタイ側が握る必要があるとの点である。
大手企業で、優先株等を発行している所がその対策を求められる。
信頼できるタイ人を保有していないと、表面上の経営権はタイに移る為、
問題が発生する企業も出てくる恐れがある。
罰則も強化され禁錮3年が追記された。

外国人商工会議所は一斉に反対、撤回の抗議に出た。
無策な為替対策、年末の爆弾騒動、更に今回の外国企業に対する
締め付けで、多くの投資が減るであろうと圧力を掛けているが、当局は
LIST1、2に付いては規制するが、3に付いては流動的に運用するし、
基本を理解頂ければ問題は大きく無い筈と突っぱねている。

製造業は適用外であるし、日系で問題が出そうなのは、銀行、広告業界
等であろうか。プーケット等の観光地を買い荒らそうとしている欧米系
企業は大きな影響を受けると思う。
51%以上の資本を握っているのに経営権が無いという現状にはやはり
違和感を覚える。

新空港の滑走路に亀裂が見つかり、早くも問題が発生した。
関係者協議の結果、国内線で希望する所は、ドンムアン旧空港を
使用可能とする苦しい対応案が示された。
プーケット、チェンマイ等観光客の乗り継ぎの多い便は、引き続き
新空港が使用される見込みである。
修復には3ヶ月程度必要との見方である。

懸案に成っていると報告していたエリート・カードであるが、今般新たに
任命された観光省のPHORNSIRI大臣は、中止をするには余りにも
多くの困難がある為、継続の方針を打ち出した。
関係部門の人材のレベルUP並びに損益を含む経営の明確化を図って
いく方針も併せ述べられた。
今後に注目したい。

世界中で異常気象の現象が見られるが、バンコクでも降雨があり、
気温が異常に下がっている。
朝、外気温22度、車の社内温度を26度に設定している為、暖房が入った。
珍しい事である。
バンコクで働く者には快適であるが、世界中で農作物のバランスが
崩れぬか心配している。

以上

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