M&A月報 No.232「プラユット首相、暫定内閣発足後の2年間を総括」

バンコクの病院に入院中のプミポン国王陛下のご容体について、呼吸器系の感染症や腎臓の機能低下で治療を受けられたというニュースが報じられた。

発熱や血圧の低下などでご容体が悪化し、翌日の検査で腎機能の低下や、肺に水分がたまっていることが判明。しかしながら、医師団がすみやかに血液から水分を除去する治療を行ったため、その後、肺の水分は減少し、熱も下がるなど症状に改善が見られ、現在は心拍数や血圧、呼吸数は正常で、感染症は沈静化してきているとのことである。一方、尿の量が少ないため、医師団は「持続的腎機能代替療法(CRRT)」と呼ばれる治療を継続し、腎機能を注視している。

12月5日は89歳のお誕生日を迎えられるが、国王陛下がお元気なお姿で御出ましとなり、国民に話かけられるお姿を是非また拝見したいと念じ、国王陛下の長寿をお祈りしたい。

9月6日、2018年ロシアワールドカップアジア最終予選の日タイ戦が、タイスポーツの聖地と呼ばれているラジャマンガラスタジアムで執り行われた。ワールドカップ予選でのタイ戦は、今まで4戦4勝と相性の良い相手ではあるが、個人技を得意とするチームで、且つ雨季の季節で暑さと湿気で体力消耗が激しいコンディションの中、油断は禁物である。

当日、同スタジアムに行ったが、前回の一戦、2010年南アフリカワールドカップ3次予選の時よりもタイ人サポーターの数がはるかに多い。ここ最近のタイプレミアリーグの成長によるサポーター文化の成熟と、タイ代表の強さと人気度の高さがうかがえる。

6万5千人収容のスタジアムはほぼ満席で、タイ人サポーターの大声援がスタジアムに響く。コートの横一線の距離ほどのタイ国旗の巨大横断幕に圧倒される。雨が降りしきる中、屋根のないスペースに陣取るタイ人サポーターは、ひるむことなくタイ人選手の一挙手一投足に大声援を送る。

完全なアウウェー状態ではあったが、日本やタイの国歌斉唱の時は、日本人、タイ人関係なく、スタジアム内の全員が起立した。日本の国歌の時、タイ人は静かに静聴していた。日本国内の国歌斉唱不起立問題などどこ吹く風である。タイ人の懐の深さを感じたし、他国の国歌であれ敬意を表する姿勢に感動した。また日タイ戦専用のジャイアントフラッグを製作し、

日タイ戦のみに掲げてくれたことに、他国では真似できない独自の応援文化を感じた。

結果は、2-0で日本が勝利したが、タイ代表は潔く負けを認め、日本の強さを称え、またタイ人サポーターもタイ代表の奮闘に満足していた。

選手及びサポーターが成熟段階であるタイサッカー界のこれからに大いに期待したい。

日本のプロ野球のセントラルリーグで、広島東洋カープが25年ぶりに優勝し、広島は大いに盛り上がっているが、タイ当地においても、広島発、マツダ・ブランドの勢いが止まらない。

今年1~8月のタイ国内販売は2万8184台となり、前年同期比23%増と好調であり、タイ全体で5.7%のシェアを占めた。

乗用車市場だけでは13%のシェアを獲得し、上位3位を維持している。

車種別では、乗用車「マツダ2」が1万5185台、同「マツダ3」が2753台、スポーツ用多目的車(SUV)「CX-3」が3572台、同「CX-5」が2112台、ピックアップトラック「BT-50プロ」が4540台、オープンスポーツカー「MX-5」が22台であった。

マツダの通年の販売台数は4万5000台に達する見通しで、来年以降の

マツダのさらなる攻勢が楽しみである。

プラユット首相は2014年9月の 暫定内閣発足後の2年間を総括した。「この2年間で法秩序は回復し、汚職は減り、経済は好転した」と

成果を強調した。

国の借金を増やさぬように努めているため、目下、タイ経済は低成長の

舵取りとなり、経済好転の部分は不透明ではあるが、確かに国の治安は改善したように思う。

「10年に及んだ混乱は収まり、 国際社会からその安定と安全が評価されるようになった」と指摘。米国より現在のタイの状況は反民主主義と批判されてはいるが、首相はそれを一蹴。米国に対し強い姿勢を貫いている。

不安の一因となる格差解消に向けては、「相続税の導入や低所得者層への土地の分配などに取り組んだ」と説明した。

相続税の導入は、最終的には骨抜きされたとの批判もあるが、導入されたことだけでも評価に値するであろう。

さらに、EUから批 判された「違法・無報告・無規制(IUU)漁業」を防止するための法整備や、国際民間航空機関(ICAO)が指摘した

安全体制の問題の改善に向けた人材育成などの取り組みを列挙すると共に、

農産品価格の低迷に苦しむ農家世帯への低利融資の供与や、高付加価値作物への転作などの構造改革の推進も成果として取り上げている。

また、投資政策については、目下、政府としては、タイにおける労働最低賃金の上昇等を理由として、労働集約型産業の周辺国へのシフトを促し、タイとしては、引き続き、高付加価値産業、特に以下の10産業のタイへの投資・誘致の狼煙を上げている。

次世代の車(電気自動車)、スマート・エレクトロニクス、富裕層の医療/健康ツーリズム/観光、有機農業、食品加工、工業用ロボット、物流/航空、バイオ燃料/バイオ化学、デジタル(IT)、医薬品 である。

これら産業への誘致を積極的にPRし、税制面でも厚い恩典を付与することとしている。

首相は、「政府が進めようとしている政策に反対する人たちがいることは承知している」とした上で、「政策の遂行には国内経済と国際経済のバランスを図りつつ、国民中心のアプローチを進める。政府を信じてほしい」

と協力を訴えている。

新憲法が制定された上で、来年、総選挙が実施されるが、おそらくプラユット首相が首相を続投し、あと5~6年は軍部主体のプラユット劇場が続くと見られる。

そうなると、経済面では低成長があと5~6年は続くと見られ、その期間中、企業・国民には覚悟と低成長を脱した後への用意が求められるが、当面は、国民が望んだ様に、安定した、平和な6年間になると思う次第である。

Tags:

Comments are closed