M&A月報 No.220「軍事政権延長の可能性とエラワン廟爆発事件」

プミポン国王陛下のご容態が回復された。発熱や肺の炎症のニュースが報じられ、

心配していたが、無事、肺の炎症は大きく改善され、熱も下がり、血圧は正常で

血中の酸素濃度も正常値に戻られたとのことである。

 取り急ぎ、安堵している。

もうすぐ88歳のお誕生日をお迎えになられる。昨年のお誕生日の際は、国民に

向けたお言葉を聞けなかったが、今年はご体調がよろしければ、お言葉を拝聴で

きるものと思っている。

予測していなかった驚くべき事態が発生した。

即ち、国家改革評議会(NRC)は、昨年5月のクーデター後発足し、一年三カ月

もの歳月をかけ、新憲法の草案の作成に取り掛かり、遂に完成、その採決が行わ

れた。当然、賛成多数で可決と思っていたら、何と、賛成105、反対135、棄権

7で否決されてしまった。これでは、次なる国民投票にも進めず、総選挙もさら

に先の話になってしまう。

一年強、何をやって居たのだろうとの、大いなる疑問が浮上している。

一部解説によると、軍事政権に長期政権を希望する動きが出て、プラユット首相

が先日、さらに2年間なら政権を担当しても良いとの発言があり、一挙に否決に回

ったとの推測もある。

これから新メンバーによる、新憲法草案の再作成が来年4月から始まり、9月に今年

と同じく採決となると、民政への以降は、2017年の後半に、早くてもずれ込む事に

なってしまった。

来年総選挙を行っても、投票したい政党、首相になって欲しい候補の顔が全く見え

て来ない内情よりすると、プラユット政権の続投を希望する票が現れたのではない

かと推測している。

筆者はNRCは可決、国民投票で否決の筋書きを描いていただけに、今回の結果は意

外なものであった。

また一部報道では、NRCが否決したのは、「新憲法が国民投票で否決されたら自ら

の存在そのものが危うくなることを恐れた国家平和秩序評議会(NCPO)の意向に

よるもの」とのことであり、NCPOはNRC採決の3日前から軍や警察、公務員出身

の議員に反対票を投じるよう働きかけを強めていたとの説もある。

先日の爆弾事件では、10数人のグループの犯行との見方が有力で、その内の3名の

容疑者は検挙されたが、数人は既にカンボジアーインド経由トルコに逃走したとの

報道もあり、驚いていたところ、今般、カンボジアの国境にある、入国管理局事務

局の職員が、収賄容疑で逮捕され、容疑者を国外に逃亡させた罪に問われている。

もしこれが事実であれば、タイの大変残念な側面を世界に晒す事となると危機感を

持って注視している。

ウィグル族と関連している可能性が高まっているが、全容解明まではまだ時間がかか

る模様である。当初は、軍事政権が7月にウィグル族109人を中国に強制送還させ

たことに対する報復との見方もあったが、直近としては、タイ当局が、ウイグル族を

タイ経由でトルコに密航させる違法な

活動を取り締まり、そしてそれらビジネスを妨害、壊滅させたことに対する報復説が

強まっている。

現状目下、今回の事件に絡んで逮捕状が出たのは、逮捕済みの2人を含め計17人と

なっている。また、隣国マレーシアでは、爆弾テロに絡み、これまでに中国の少数民

族ウイグル族4人を含む8人の身柄を拘束したと発表している。一方、先般逮捕され

た容疑者が警察の取り調べに対し、自身が実行犯とされる「黄色いシャツの男」だと

認める供述し、警察は殺人での逮捕状を取り、また早速、犯行現場のエラワン廟で実

況見分を行っている。

当該の容疑者は、8月17日の事件当日、バンコク中央駅付近で、別の容疑者より

(逮捕済み)から爆弾入りのバックパックを受け取った後、エラワン廟にバックパッ

クを置いた疑いが持たれている。起爆は携帯電話。

爆発後、エラワン廟から1キロ離れた公園のトイレで黄色いシャツからグレーのシャ

ツに着替え、着用していたかつらと眼鏡を外したとされている。

着実に捜査は進んでいるが、警察による早期の全容解明と事件解決を強く念じている。

インドネシアで中国と日本が受注合戦を繰り広げた新幹線であるが、最後は大統領の

採決で延期、中止と決まった。タイでも同じ様な、高速鉄道の受注合戦がこれから展

開される見込みであるが、日本の様な乗客率はとても望めず、損益面より新幹線の導

入にはかなりの無理があると思っている。

両国の関係者は、何故事業の収益面のアドバイスをしないのであろうか。

予想赤字を大きく言及したくないのであれば、そんな事業は提案すべきで無いと思っ

ている。関係者は、事業面のアドバイスを含め、提案を行う必要があると強く感じて

いる。さもないと、今回と同じく、最終段階で否決される可能性大と考えるべきであ

る。

住んでいる者よりすると、今回の新幹線導入は、かなりリップサービスの面があると

感じている。

軍政があと2年は続くことになり、あと最低2年間は少しずつ押し上がる低成長と思

っているが、この度、タイのある大学が行った政府の経済政策に関する大調査では、

回答者全員が満足との回答をし、下記一連の政策が、タイには合わないバブルではな

く、タイには合う低成長に繋がるものと評価されたと理解している。

「経済対策に満足しているかどうか」との質問について、「とても満足している」が

67.6%に達したほか、「まあまあ満足している」が32.2%、「少し満足」が

0.2%で、不満はゼロであった。

高く評価された政策について、農村基金向け資金注入、中小企業信用保険公社による

信用保険の枠拡大、政府機関の100万バーツ未満の零細事業・調達の優先執行によ

る財政支出推進、中小企業の法人税引き下げ、

中小企業向け低利融資などが挙がっている。

一方の要望事項としては、物価上昇の抑制、汚職撲滅、経済回復、輸出振興、さらな

る中小企業支援、観光促進などが挙げられ、これらは例年とあまり変わらない内容で

あった。

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