M&A月報 No.207「立法議会始動」

昨年の8月以来となるが、ホアヒンでご静養中であった国王が、一年ぶりに健康診断の為、

バンコクにお戻りとなり、病院で検査をお受けになった写真が報道された。

大変お元気そうなご様子であり、国民一同安堵している。

世の中が落ち着き、国王もお元気なお姿をお見せ下さり、大変結構な事と思っている。

立法議会の200人の議員をNCPOが推挙し、国王がそれを承認された。

200人の内訳を見ると、105人が現役、もしくは退役した軍人で占められ、

その他では、警察関係11人、残り84人が民間人より選ばれた。

軍、警察で過半数を占め、その安定化を図っている事が良く判る。

民間人は、元の学校関係、上院議員、経済団体等より推挙され、実業家も入ってはいる。

その初回の会議が行われた。

200人の内、3人が辞退した為、197人で行われ、議長の選出を行った。

結果、元最高裁判事のポンペット氏が選出され、副議長には、スラチャイ氏(元上院議員)、

ピラサック氏(元上院議員)が選ばれ、一応、このPOSITIONからは軍部色を排除した。

どう運営していくか、これからが見ものである。

財務省は、この機に一気に歳入の拡大を図りたいことを前面に押し出して来た。

即ち、今まで、幾度も俎上に上がっている、固定資産税/贈与税/相続税や

それに飲料税等も加え、約1000億バーツの増税を目指すと狼煙を打ち上げた。

立法議会がこれをどうさばくかに注目が集まっている。

その立法議会が、第一回の来年度の(14年10月~15年9月)予算審議を始めた。

NCPOのプラユット議長が、15年度のGDPを3,5~4,5%に成ると想定して予算案を

策定したと述べ、歳出が前年度より2%増の2兆5750億バーツ、歳入が2.2%増の

2兆3250億バーツ、赤字2500億バーツと発表した。

これに対し、一部議員よりは、2500億バーツ国の借金が増える事に対する懸念が表明された。

これに対し、プラユット議長は、貧富の格差の是正を強化する為、従来より懸案と

なっている相続税の導入検討を指示した。

また固定資産税(不動産税)の導入にも賛成し、これ等対応により年約1000億バーツの

増収をもたらし、収支の改善を図ると述べた。

これからの提案される法案を見ねば何とも言えぬが、この金額より推定すると、

導入される相続税はタイ人のみに限定され、且つ不動産のみが対象と成ると見ている有識者もいる。

外国よりの投資には影響を与えない様にするのか、今後の法案の内容に注目してみたい。

驚いた事に、時をおかず、その相続税の素案が発表された。

骨子としては、不動産に付いては30%、現金/株等の流動資産に付いては5%を提案している。

過熱し、バブル調の不動産市場を冷却させ様というのであろうか。

従来かたくなに抵抗して来た富裕層も、聞く耳持たぬ軍事政権に、諦めムードとなっているが、

民主的な政権では出来ない事と裏社会の利権を含め、プラユット議長が大ナタを

振るう姿勢に同調する人も多い。

しかし毎年思う事であるが、タイと日本の給与/物価はタイは日本の1/4とよく言われている。

このタイの予算は約7兆円、日本は95兆円、日本の歳出を30兆円に抑えるシュミレーションを

日本はすべきと思っている。

SMALL GOVERMENT(参院の廃止),国家公務員の給与半減、但し、アルバイトを認める、

医療費補助の半減等よりが出発点と感じている。

BOIのあり方に付いても、来年度より7年間の方針が発表される事になりそうな雲行きになって来た。

基本的には、低賃金で多くの労働者を必要とする業種は認可しない方向と成る様で、

問題の多い、南部方面にもっと企業が向かう様な方針を出しそうである。

目下、進出を検討中の企業は、至急年内に申請書を提出した方が良さそうである。

注目を集める立法議会であるが、今般、首相の選出を行い、一時は、権力の全てが

集まって仕舞う為、無いのでは無いかとも言われていたNCPOのプラユット議長を首相に任命した。

これにより、同氏は大統領と首相を兼務する様な、民間では最大の権力者となった。

民主的な政権ではやれなかった事を、どれだけやっていくかに注目が集まる事となる。

突然、GOLF観戦を楽しんでいたTVの画面が消え、そこにプラユット首相が表れ、

国民に向かって自身の思いを約2時間弱、延々と述べる放映が為された。

冗談も交え、諭すような論調で、同意を求める口調が多く、一方的な施政方針演説とは、

大きく異なるものであった。

タイ人の評価は概ね歓迎する意向を表明するものであった。

今後は、閣僚人事に着手するが、軍人一色にならぬかを案じている。

タクシン氏の誕生日を祝うため、パリに旅行したインラック氏であるが、約半数の人々は、

彼女は帰って来ないであろうと推測したが、予想に反して帰国した。

これにより、これから彼女の裁判が始まる事になる。

子供が出来ぬオーストラリアの夫婦が、安価で規制する法律もないタイで、

タイ人女性に依頼し、代理出産してもらった。

しかし、生まれたのは双子で、うち一人は、脳に障害のある幼児であった。

このオーストラリア人は健康な子は引き取ったが、病弱な子は引き取らなかった為、

大きな社会問題として取り上げられた。

代理出産した女性が、この子は自分が育てると宣言した為、多くの同情が集まり、

早々に2000万円を超える募金が集まった。

この事件に端を発して、日本人が9人の幼児を囲っていると問題提起された。

日本人の名前は重田みつとき、24歳で、過去2年間の間に、タイの入出国を

65回繰り返していた。

9人の幼児は、バンコック郊外のアパートに居り、9人の乳母を

一人月3万円で雇っていた。

警察の調査では、この重田氏は、出国時には幼児を抱えて出ていく事が

出国審査時に確認されている。

重田氏は、この幼児の父親は自分と言っている由で、警察が詳しく経緯を聞こうとした所、

急遽出国してしまった。

代理出産なのか、人身売買なのか等、不明であるが、この二件の出来事より、

この分野の法整備が急遽進む方向となった。

更に調査が進展し、幼児の総計は15人になると発表された。

また9人のDNA鑑定を行った所、父親は全て同一人である事も判明し、

重田氏が父親であるとの結論が報道された。

当局は重田氏が再入国し、事実関係を説明してくれる事を願っているが、

現在同氏の所在は日本の様であるが、これに応じるかは不明である。

かなりの資産家と報道されているが、何が目的であったのかが定かでは無く、

今後の進展に注目が集まっているが、妙な日本人がいる事に迷惑を感じている。

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