M&A月報 No.167号 「タイ国総選挙前」

久々に目の検査に出向かれる、お元気そうな国王並びに王妃様の
写真が新聞に掲載された。
またバンコクの道路状況を担当部局より聴取されるお元気なお写真も掲載された。
国民一同安堵の気持ちで、喜ばしく拝見している。

例年の通り、6月に入ると猛暑となり、豪雨の季節ともなって来た。
既に北部よりは洪水の被害の報告も入っているが、土地が肥沃にもなる為、
農業の為には仕方なの無い現象でもあると思っている。

暑いのは気温だけでは無い。
7月3日の投票日に向かって、総選挙戦も暑い戦いとなって来て居り、特に、
地方では、既に10件を越える、選挙の仕切り屋の殺害が報じられており、
警察は候補者の身柄の保護もあり、多くの警官が動員される状況となっている。

ECより選挙監視団の派遣に付き申し入れをされているが、欧州では
それ程今回の選挙に注目し、またかなりの不正が行われる事を感じているのかと、
興味が全く無いと感じられる日本との対比に思いを巡らせている。
タイの選挙管理委員会は受け入れの方針である。

目下の予測では、野党第一党のタイ貢献党がタクシン氏の妹(インラック氏)を
党首に起用した事も功奏し、現政権、民主党を追い上げ、追い越したとの
見方も出ている。
バンコクや一部地方都市を除いた、ある予測では、タイ貢献党164、
民主党83、その他84議席との、民主党にとっては非常に厳しい分析も出ている。

アピシット党首も、積極的に弱いとされている地方に遊説を行い、
バラマキ政策を押し出し、何とか第一党の地位を取りたいと奔走している。

主たる論争点:
タイ貢献党:農家にCREDIT CARDを支給する。
最低賃金を300バーツ/日に引き上げる。
最初の持ち家購入に付き、5年間無利子のローン提供。
民主党  :農家への補償制度を継続する。
最低賃金を2年間で25%引き上げる。
大学生に25万バーツの教育ローンを支給する。

経営者層では、この両党が掲げる最低賃金の引き上げに非常な危機感を
唱えている。
これが適用されると、進出企業のタイ離れも懸念されるし、インフレの上昇を
招くとの論評も大きく出だしている。

ある世論調査では、初の女性首相を認める国民が60%を超えるとの
数字が発表された。 興味深い分析である。

メディアはタイ貢献党の勝利を予測している様にも感じられる。
軍隊も警察もタクシン支持派、反タクシン派が約半々であり、目下幹部は
反タクシン派で締められているが、選挙情勢より、これら幹部に動揺が
広がっている様にも感じる。

インラック党首はほぼ優勢な北部は抑えたと思ったのか、今度は劣勢が
伝えられる南部に乗り込み、イスラム系住民との対話を行い、
票の取り込みに躍起となっている。

今回、タイ貢献党に投票はするが、タクシン氏の帰国には反対とする人々が
かなり多いというのも感じている。

一方、アピシット支持派は、
”一年前の赤組の騒動を忘れるな。
タイ貢献党が勝利すると、騒動を誘導した赤組の幹部が、閣僚になる危険が
あるのだぞ”
と、人々に苦い思い出を呼び戻して欲しいとのキャンペーンも始めている。

最終段階に入り、運動員が札束の入った鞄を持ち、有権者宅を駆け回って
いるとの報道もある。
4人家族で4,000バーツが相場との話も聞く。

何れにせよ、これら2党が過半数を確保する事は困難との見方が大勢で、
その他、今回登録を行った40にも及ぶ小政党の結果と、その後の連立の
枠組みがどうなるかに注目が集まっている。

また過半数を獲得したとしても、選挙違反者の摘発、インラック党首の過去に
於ける偽証罪、飲酒運転等のスキャンダル、幹部の不敬発言による
解党処分等々の泥試合が始まる可能性もある。

注目された、元テニス界のスーパースター、パラドン氏であるが、前回の選挙で、
投票を行っていなかった事が発覚、国民の義務を怠ったとして、被選挙権が
一時停止処分とされており、今回は立候補出来なかった。

NHKのTVニュースを見ていると、米国に於いて、今回の東北地方の災害に対し、
米国より多額の援助を頂いた事の謝礼として、駐米大使が、大使公邸の庭に
約1,000名の要人を招待し、ガーデン・パーティを開催し、謝意を表明したと
報道された。

謝意を表明するのは結構な事であるが、この時期に、如何なる予算で、
かくも盛大なパーティを開催したのか、大いなる疑問を感じた。
赤字国債発行の国がやる事か、また米国大使の公邸の庭はかくも広大なのか等を
感じると共に、タイよりも多額の義援金が送られている事実がある。

他の国々の大使はやらなくとも良いのかとの疑問を感じてしまったが、
如何なものであろうか。

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