M&A月報 No.158号 「下院補欠選挙-民主党候補が僅差で勝利の意味とは!?」

世界を沸かせたワールドカップであったが、優勝の栄冠はタコのパウル君
の予測通り、スペインと成り無事幕を閉じた。南アでの初の開催であり、治安
を心配していたが、当局の大変な努力があったのであろう、何の事故も騒動
も無く無事終了した事に拍手を送りたい。

タイの当局も見習う点が多くあったのではないかと推測している。機会を見て
関係者に質問したく思っている。新聞では破顔一笑のネルソン マンデラ
92歳、元大統領の写真が多く掲載された。感無量であったであろう事が容易に
想像出来た。

日本での参院選の結果が当地でも大きく報道され、人々の話題と成っている。
衆参が完璧なネジレと成った事で、今後何事の決定もスローダウンするので
はないかと言う点に憂慮が集まっている。遠方のタイより見ていると、日本の
マスコミの対応には大きな疑問を感じる。

首相が消費税と一言言ったとたん、まるで明日より消費税が10%に上がるか
如きの報道や質問、また野党も非難の連呼、結局これが大きく選挙の結果に
影響したと感じている。

日本の財政を我が家に例えれば、銀行その他より借りられるだけ借りて、贅沢
に慣れ親しんで来た。貸し剥がしに合いそうに成って来たので慌て出した。奥さ
んはもっと稼げと言うが、現実はリストラに遭う危険さえある状況。
ならばどうするか。

慣れ親しんだ贅沢を慎み、耐乏生活に戻り、一銭でも借り入れを減らす事を始
めるべきではないか。消費税は上げるが社会福祉の為に使うと言う。従って、
前年度並みの借金は更に金融機関にお願いし、結果的に借金は更に膨らむ。

この点に付いての議論、マスコミの突っ込み、質問が感じられないのはどうして
であろうか。バラマキの人気取りに迎合している時期では無い。戦中、戦後の
耐乏生活に戻るべきではなかろうかとすら感じている。

それにはまず政治家、官僚が率先垂範、身を切るべきとの、みんなの党の主張
には共感を覚えた。この財政難の苦境、国を引っ張る人々が、まず身を削り、
耐乏生活に入った事をPRし、その後に国民にお願いをすべきではなかろうか。

一方、来年度の予算の編成にあたり、もし国債を一切発行せず、現在の予測
される税収のみで国家予算を組むと、如何なる姿に成るのか国民に示してみ
ては如何であろうか。

その上で、議論を重ね、どうしようも無い所には、増税もしくは国債で対処する。
この場合、政治家、官僚の収入は不変では収拾が付かぬと思う。政府は何を
入れ、何を削ってくるかに多いに興味がある。

今回、各省任せで10%の削減目標が出た。手緩いと思うのに、各大臣よりは
反発の声が出る始末。また自分達政治家の身を削る話は何も無い。しかし
一般の家庭であれば、新規借り入れ無しより出発すると思うし、夕張や大阪
府では可也りやっているではないか、何故国では出来ぬのか不審に思っている。

海外を見ても、大使館を含め、ODA他、海外へのバラマキをみても、削れる部分
は未だ可也あると考察している。失業者も増えるかも知れぬ。全員、強制的に、
農業、漁業、林業に就労頂くべきとも思う。

税金はまずここに使われるべきと思っている。ある大新聞のコラムに“国の財政
は危機的状態なのに、子供手当て等のバラマキ政策を尚掲げるから、人々は未だ
余裕があるのではと誤解しがちになる。”

ここまでは非常に同感と読んで居たら“財政が大変な実態が上手く国民に伝われば、
消費税増税の理解も進む。”と来た。そうではないのではないか。消費税、国民は
理解していると思う。

しかし、その前に早急に成すべき事が、山の様にあるのではないのかと思っている
のではないかと感じているが、如何なものであろうか。何故大新聞を筆頭にマスコミ
は消費税UPを願っているのか、疑問を感じて仕舞う。

今回の選挙を“草野球”と評する御仁もいる。上手く言ったものと感じている。敵失で
勝利して、破顔一笑の野党党首の写真を見ると、この国の将来を憂いてしまう。

米軍は日本より出て行け、憲法9条は変えぬと自分の国をどう守るか指針を示さぬ
党より離党者が出た。離党者に拍手を送りたい。我が人生で最も尊敬するかっての
上司の口癖“間接を半分にして倒産した会社は古今東西何処にも無い”を今も思い
出している。

企業は雑巾を絞りに絞り、水がもはや出ぬ雑巾を更に絞っている。ずぶずぶに濡れ
た雑巾を片手に、節約、減給、リストラを叫ぶ経営者に誰がついて行くであろうか、
国の経営者には考えて欲しいと念じている。

タイも似た状況が続いているが、国家再建委員会の会長に選出された、人望ある
アナン元首相が動き出した。同氏に対しては、赤も黄色もものが言い難い方と推
測する。それ程人望があると思っている。日本には斯様な長老が存在せぬことも
悲しい事と感じている。

タイの民主党も日本同様、またまた難題が発生した。予てより、赤組が騒いでいた
事であるが、2005年の総選挙時に、大手企業より2億5800万バーツの違法献金を
受けた嫌疑と、同じく同年に政党助成金2900万バーツを不正流用していたという
疑いである。

これを選挙管理委員会と検察が政治資金疑惑で憲法裁判所に提訴した。この秋
から来春に掛けて審議が進む観測であるが、有罪と成ると、民主党は解党、幹部
40人が5年間の公民権停止処分を受ける。

この中には当然アピシット首相も含まれる。折角鎮まり出している赤組が、再度猛
反撃に出て来る可能性を持った裁判だけに、衆人の注目が集まり出した。日本同
様、政治の混乱は困った事である。

再びバンコックの繁華街の最も中心部で爆弾が炸裂し、死傷者が出た。困った
連中が未だに徘徊している事に憤りを感じている。

バンコックで注目の補欠選挙が行われた。黄色対赤色の一騎打ちで、結局、9万
対8万票で与党よりの黄色の勝利と成ったが、バンコックでこれでは地方はこの
まま行けば赤組の勝利と成る見通しが大である。来年初めと言われてる総選挙
までにアピシット首相の対応に注目が集まっている。

中国と台湾間で、ECFA(両岸経済協力枠組み協議)が締結された。併せ知的
財産権保護協力協議にも調印された。これにより、今後2年間で両者の関税が
撤廃されるという、これは正式に締結されると歴史的な出来事と思う。

台湾より中国への輸出が急速に伸びる可能性があり、台湾への投資が促進
される事も容易に予測出来る。更に、拍車を掛ける意味か、台湾は法人税を
現行20%より17%に引き下げを発表をした。

今後台湾の価値は大きく上がり、各国の企業は中国へ進出する為のステップ
ボードに成って行くと、関係者は期待を込めてコメントしている。中国は台湾に
とっては美味しい餌をばらまいたと感じている。

今後は国会で審議されるが、果たして国民の民意は如何なる結論を出すか
注視する必要があると思っている。もしこれが成功すると、香港に続いて台湾
となる。

アセアン各国としては心中穏やかでは無い。これが中国の戦略かと見えて来た
気もする。次に、この手で中国が狙うのは何処か。ミャンマーか?アセアン諸国
としては、中国とは良好な関係を築きたい、しかし何としても属国には成りたくない。

そこで中国との間には、関税障壁を設け、防戦に努めている。今度は国境を接
している国が落ちていく事を危惧している。しかし、目下アセアンを纏め得る強力
なリーダーが不在である。中国の餌食に成りかねない。

そこで、同じ悩みを持っていると想像し、且つ強力な経済力を持つ日本に、軍備を
含め、もっと力を付け、アセアン諸国のリーダーに成り、対中国戦略をリードして
貰いたいと思っている。

これが抑止力という点から見ても、日本に取って最も強力なものに成り、米国依存度
を引き下げ得る戦略と見ているが、現在の日本は、全く気が付いているのか居ない
のかも不明で頼りがいが無いし、興味の欠片も感じられない。

今回のECFAに関し、政治家もマスコミも殆ど関心が無い様に感じられるが、如何な
ものであろうかと憂慮している。アセアン諸国との緊密な連携が、薄れた時、日本は
非常に危険な状況に晒されると感じている。

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