M&A月報No.132 「日本国微笑外交とタイ国憲法改正ドタバタ騒動」

一ヶ月間多忙な日々を神戸で過ごし、5月6日タイに戻って来た。

日本滞在中TVを見ていると、ガソリンが下がったり、上がったりの大騒動、
後期高齢者の保険制度で75歳以上が激怒、国民保険機構で職員が
3年間で10億円もの金を盗み、それを競艇で使ってしまっても全く気付かぬ
天下りの大組織、予てよりの筆者の指摘通り食品の価格が高騰し大騒ぎ、
人を簡単に殺したり、硫化水素による自殺の多発等々暗いニュースの
オンパレードであった。

福田政権の支持率も遂に20%を切る有様で、山口県の国選では民主党に
惨敗してしまった。

6日バンコクでNHKのニュースを見ると、中国の胡錦濤国家主席を最恵国
待遇でお迎えしている様子が流れた。

何故ここまでへり下って対応せねばならぬのか疑問を感じる程であるし、
過日タクシン氏を門前払いし、花束を床に叩き付けられた事象との差異の
大きさを外務省は何と分析するのか聞きたい所である。

各党の党首とも会談したが、微笑外交以外の何物でも無い。
何故ここまで弱腰に成らねば成らぬのか。
それはもし日本が中国と衝突した時に、助け船を出して呉れる国が何処にも
無いからではなかろうか。

本年2月号(No129)で記したアナン元首相の講演を思い出して頂きたい。
将来、唯我独尊、横暴になる中国をアジア諸国は恐れているのである。
唯一、アジアを代表して中国にもの言える国は日本と期待している。
その日本が、かくも腰が引け、低姿勢ではアジア諸国の期待は落胆に
変わることを危惧している。

即ち、アナン氏は、

“やがて中国は世界一の経済大国になるであろう。
日本はアジア諸国に密接なる関係を構築していく明確なビジョンを今示せ。
米国一辺倒では日本の将来は無い。
アジアの諸国は日本が中国に接近し、将来自分達の声を伝える役割を
担って欲しいと願っている“

この動き、メッセージがアジア向けに何も無いから、弱腰、微笑で中国と
接しなければならぬのだと思う。

現在、世界中を見て、中国に嫌な事を率直に言える国は存在しない様に思う。
また一方、いざとなった時、日本を支持、支え、協調してくれる国は今世界に
存在するのであろうか。
心より日本を好いている国は現在存在するのであろうか。

政府、外務省が描いている、日本の外交政策をどなたか聞いて頂けない
ものかと思う事象であった。

経済大国と言われている間に、アジアの諸国を味方に付け、後押しして
貰う事が、唯一の対応策だと思っているが如何なものであろうか。

支持率低下に歯止めを掛ける為か、反転攻勢の狙いも含め、福田首相は
アジア外交の基本方針を示してくれた。

“日米同盟とアジア外交の共鳴”と銘を打ち、アセアンの繁栄と安定は
日本の利益、担当大臣を任命し、政府代表部を設け、併せ防災、防疫協力
外交を打ち出した。
大変結構な事である。

しかし、訪欧の日程は紹介されたが、東南ア訪問のニュースは無い。
これでは新聞、TV外交のみと感じる。

TICAD4が横浜で開催された。
例によって、ODAの倍増でご機嫌とりである。

“アフリカ住民は日本よりのODAの事は何も知らぬ。
中国のビシネスマンは多く見かけるが、日本人は少ない。
求めているのは、援助では無くビジネスだ“

このコメントを政府、外務省はどう受け取っているのであろうか。

NHKのニュースとか新聞はかなり熱心に読んでいる積りであるが、
どうも良く判らないのが、道路財源法である。
参院で否決され、衆議院で2/3をもって可決させる。
でもこの法案は一年の寿命。

首相は参院の対応が遅いとか、何故かくも重要な法案で国民が多大の
被害を受けるのが分からぬのかとコメントされているが、この法案が
廃案となった時に我々が受ける被害の実態説明が無い様に思うが
如何であろうか。

一体、一年間で幾らの話なのか、6,825億円を道路族のご機嫌を
取るため地方にばら撒きたいのか、無駄使いに付いての言及は一切無い、
どこの誰がどう困るのか説明責任を果たして欲しいと感じている。

国民の同意を得て暫定政権が改定した新憲法を、また与党が改定しようと
動き出した。
総選挙で勝ち、5年間政治に復権出来なくなっている111人の一軍を、
戦線に復帰させようと目論んでいるものである。

これに民主主義市民連合PDDが強く反発、抗議集会を開き、デモを
仕掛けようとしている。
この動きに嫌気がしてか、外資が引き上げの動きを見せ株価が下がっている。
これ以上の騒動は、暫し回避頂きたいものである。

2年ぶりにプレム氏とタクシン氏が軍部高官の葬儀で再会した。
今後両者の関係が好転する事を念じたい。

昨年8月に、外国人特派員協会で、現首相府相のチャカポップ氏が、
クーデターの背後にはプレム氏が存在し、その上に国王がいると受け止め
られる演説をしていた事が、現在野党より、不敬罪発言と追求されている。

首相は辞任の必要無しとコメントしているが、タクシン氏が辞任を迫る
発言をした為、事は複雑になって来ている。
政局安定の為、同氏がどう動くかに注目が集まっている。

恒例の“始耕祭”が今年も王宮前広場で、皇太子ご夫妻他多数の
参列者のもと行われた。
牛に7種類の食べ物が出され、今年は米と草を食した。
祭主は“程よい水量で、稲作や農作物に恵まれる。”と予言した。
結構な事である。

隣国ミャンマーでサイクロンの大被害が発生したと思ったら、
今度は中国で大地震、周辺が落ち着かなくなって来た。

バンコクでも地震を感じた人はいた様であるが、大半は発生を知らなかった。
今のままでは、バンコクは2050年には水没すると言われているが、大きな
地震が発生すれば、その前に壊滅の憂き目にも遭おう。
今後は牛に天道異変に付いても占って貰いたいものである。

バンコクのミャンマー大使館より出火した。
これによりタイよりの救援派遣者のビザの交付が遅れる事態となる。
裏に何もない火災であった事を念じたい。

遂に、当国においても、運転中の携帯電話使用は禁止された。
違反者には、400から1,000バーツの罰金が課せられる。
初日には、バンコクのみで115人が検挙された。
交通事故の減少を期待したい。

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