M&A月報No.99 「FTA締結とタクシン首相の公開討論会」

懸案となっていた日—タイ間のFTA交渉だが、中川大臣が訪タイし、締結の
運びとなった。

しかし、当初より日本側は米の自由化は棚上げにしていた為、真のFTAとは
程遠い内容での合意となった。

日本側は完成車の輸入関税の撤廃を迫っていたが、トヨタのメッセンジャーの
感がする交渉内容であった。

庶民の感覚からすると、程遠い所にある3000 CC以上の完成車の論議に、
何ほどの価値があったのか疑問を感じる。

欧米の自動車メーカーよりは、タイへの投資は見直さなければならないとの
コメントも出されている。
FTAとは何なりやの疑問を感じる。

大臣は評価出来る内容と自画自賛だが、貿易自由化の実感を伴わないもの
と感じる。また今回の合意内容では、タイ側の貿易赤字拡大も懸念材料として
上がっている。

日—タイともトヨタ様のご意向には逆らえぬ様相となったのであろうか。

未だに収まる気配の無い南部の問題であるが、ご意見番アナン元首相が
タクシン首相との公開討論会を行った。

タクシン首相は緊急勅令は治安対策上必要だし、独立思想、教育の貧困、
麻薬問題、犯罪組織等を問題点として上げた。

アナン元首相は、タイからの独立を目指している事のみが問題ではなく、
独自の文化や宗教への理解を求め、同じタイ人として扱って欲しいというのが
彼等の願望である点を強調した。

力で押さえつけようとする事への反発を示唆したように感じた。
しかし、未だに最も影響力のあるアナン元首相と公開討論の形式で渡り
合った首相の対応には敬意を表したい。

タクシン首相が内閣の改造を行った。
4名の新閣僚、3名が退任、13名が移動の改造であった。
余り代わり映えのしない内容と思える。

新聞の論調でも、改造といっても同じ顔ぶれの再登場。
国の為に尽くす内閣への改造では無く、愛国党内の問題改善の為の
改造と論評されている。
誰が大臣になってもタクシン独壇場の状況は変わりそうには無い。

世界中での異常気象が大変気になる所であるが、タイも北部並びにバンコク
地域では通常より多い降雨があり、特に北部では過去40年間には無かった
程の降雨で、水害の被害が多大に発生してる。
被害総額は15億バーツとも発表された。

一方、東部では全く降雨が無く、旱魃の被害が報告されている。
特に、この地方の工業団地では水の供給が制限され、操業中断の企業も
出てきており、悲鳴が上がっている。

太陽と水には不安の無いタイと思っていたが、こんなに地域差が出て来た
事は異例の事である。

先般の総選挙で、特殊浴場王が新党を結成し、比例代表で当選を果たし
議論を呼んだが、この御仁、今般、同僚の国会議員と北米視察を企画した。

何の視察かは不明だが、米国はこの御仁にだけはVISAを発給しなかった。
現在、未成年の女性を就労させた疑いで法廷で係争中が理由なのかは
定かでは無いが、米国はさすがと思わす決断であったと思う。

日本ならどう対応するか興味にある所である。

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