M&A月報No.56 「小泉首相のアセアン歴訪」

小泉首相がASEAN歴訪を行ないタイにも遣ってきた。
たった1日の訪問と短く、翌日の当地の報道を注意深く眺めて見た。

タクシン首相を筆頭に、鄭重には迎えられたが、どの様なメッセージをタイに伝えに来たのかは、残念乍良く判らなかった。

最大の報道は日本に留学をした経験者の集まりに参加し、そこで彼等が着るブレザーコートを贈られ、それを嬉しそうに着るシーンであった。
興味の在る記事が新聞に載せられて居たので紹介する。

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“日本は行動すべし”
小泉首相は、ASEANとの新たなパートナーシップには、将来の自由貿易協定が含まれるかも知れないと述べた。しかし同首相は具体的な事は何も言わず、パートナーシップ形成の期限も提案しなかった。
明らかに日本にはまだ迷いがある。

中国がASEANとの自由貿易地域形成にどれだけ本気かの様子を見ようとしているのであれば、それは日本の自由であるが、動きが速い中国に先を越される可能性がある。

日本政府が国境無き世界に向けて具体的な措置を取らなければ、包括的経済パートナーシップに関する提案は単なる提案で終わってしまう。

“日本は好機を逸したのか”
小泉首相が東南アジア5カ国に伝えた地域協力のビジョンは八方美人的な印象を与えた。首相のビジヨンは鄭重な歓迎を受けたに過ぎない。首相の提案が同諸国の想像をかきたてた様子も見られない。

東アジアの協力に関し一家言を持つマレーシアのマハティール首相は、小泉ドクトリンは自分の思想には及ばないと述べた。他の国の首脳達は寧ろ日本から二国間援助、投資の約束を取り付けるのに熱心な様に思えた。

日本は将来のアジア諸国の協力においてリーダーシップを取る気が無いという印象を与えた。当面日本は中国に主導権を与える事で満足らしい。歴史は日本が好機を逸した事を必ず証明するであろう。

東アジアには内需を育て、外需への依存を減らすような協力の取り決めが必要である。纏まりが無い東アジアはこれまで外部勢力に弄ばれていた。又それが安全保障面の関係はいうまでも無く、東アジアの貿易と投資のパターンを歪めていた。今こそ団結が力を生むという欧州の教訓に留意し、行動すべきだ。

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何と寂しい報道ではなかろうか。多額の税金を使って何しに来たのであろうか。内輪もめに熱中している外務省では、斯様な事に成るのであろうか。

日本国は目下倒産の危険が迫る状況ではなかろうか。
円も下落の傾向。かっこ良く、アフガニスタンへの援助を打ち出して居るが、それ以前に国内の経済を立て直すべきではないかとの論調もASEAN地区にはある。
傾聴に値すると思う。

此の度発表された昨年1年間の外資系企業の投資規模は、対前年比件数では13,4%の減、投資規模では37,4%の大幅減と成った。内容を分析してみると、日本並びに米国の減が大きく成っている事が原因である。早くこの両国が立ち直って呉れる事を願いたいものである。中国がWTOに加盟した事による影響を分析している。

タイは高品質の米、砂糖、ゴム、タピオカ、エビ、果物等の輸出が延びるが、中国は絹糸、茶、にんにく等をタイに輸出してくる。又、タイが日本に輸出している、鶏肉、野菜等が影響を受けそうである。

労働集約型の軽工業の靴、革製品、玩具等の製造メーカーも、賃金割安の中国に移転を迫られるであろうと結んでいる。

市民が期待を持って開通を待ち望んでいる地下鉄プロジェクトは、仏アルストム、三菱電機、三菱商事の連合に交渉権を1年以上前に与えて居たが、此の度これが白紙撤回され、交渉権は融資に好条件を出し、価格も安く、納期も5ヶ月短い30ヶ月の条件を出したシーメンスに決定されたと発表され、人々を驚かせて居る。

土木工事のみ日本の資金で,日系企業が行ない、電車並びにその付帯設備は独では、日本の面子丸潰れという所であろう。

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