M&A月報No.130 「反タクシン派勢力の更迭とサマック政権による”開国”政策」

 

帰国を果たしたタクシン氏は自宅に戻らず、セキュリティの良い、
ペニンシュラホテルの11室を借り切り、そこにまず腰を落ち着けた。
しかし、それは数日で、雲隠れしてしまった。
何を画策し、どこへ行ったのであろうか。
サマック首相との面談等は無く、同氏の他所他所振りが気になる。

反タクシンと目されていた、現警察庁長官がサマック首相により更迭された。
現長官は、理由が不明とあからさまに不満を表明している。
後任にはタクシン氏の縁者を、いずれは当てたい思惑が見れる。

タクシン氏を裁判に引っ張り出した、特別捜査局の局長も更迭された。
食品薬品局、広報局の両局長も更迭、軍隊、司法等々の人事異動に
目が離せない状況と、予想通りなって来た。
これ等に対し、当然の事ながら、反タクシン勢力よりは、不当な人事異動と
抗議の狼煙を上げている。

タクシン氏は仮保釈中の身でありながら、英国訪問を果たしたいと申し出で、
その認可が裁判所より下りた。
本来なら、大変な手続きと審査と思われるのに、かくも簡単に下りるとは
驚きであり、タクシン氏の影響力がいかに回復しているかを如実に示す
実例と感じる。

先月号で、タイの与党は、112人目よりの2軍監督と2軍と述べたが、
昨今の日本の動向を観察していると、イージス艦、年金、道路特定財源、
日銀総裁、円高、株安、食の不安等々の対応に付き、何たるもたつき方か、
目を覆いたくなる。
日本も1軍監督不在で、2軍で戦っているのであろうか。

米国の総監督も、テロ、戦争となると勢いが良いが、金融、経済の問題となると、
これまた2軍監督の様相。
これらの国々ではタクシン氏の様な指導者の待望論が浮上するのではと
思われる様な惨状と、タクシン氏ならどう動き、どんな案、指示を出すのか
見てみたい気のする日々である。

そのタクシン氏は、オーナーとなった英国のサッカーチームを訪問、選手と
余裕綽々優雅に過ごしている。
早く帰って来て、院政でもよいから、この惨状を貴方の手腕で立て直してと
思わせる所が彼の演出の上手さであり、強みであろう。

好きでは無いが、選挙では彼を勝利させる所以が、この辺にありそうである。
現在の日本、この人に監督をやって貰いたいと思う御仁が見当たらぬ事が、
何とも歯がゆく、情けない。

土地等を購入の目的で、海外より送金された場合、その30%を無利子で、
一年間タイ中銀に預けねば成らなかった暫定政権による、評判の悪かった
法律が廃止された。

外資参入を歓迎する新政権のメッセージであるが、またバーツ高になることが
懸念される一面もある。

先進国の仲間入りと言いながら、評判の悪い外国人規制法であるが、何とか
海外よりの評価を得たい新政府、この一部を取り除く事を検討中と発表をした。
RENTAL、LEASING、FINANCIAL LEASING、FACTORINGの4部門であり、
外国による50%以上の株の取得を認めようというものである。

更に、仲介業、広告、ホテル、飲料水や食品の小売業、種の開発、CP関連の
サービス、質屋、倉庫管理業、学校、娯楽業等についても規制緩和して行く
方針と述べている。
開国が進む事に期待したい。

賭博好きなタイ人は、カンボジア等海外に出かけ楽しんでいるが、タクシン氏が
熱心に導入を計画したカジノ合法化案に付き、サマック首相が提案をはじめた。
当然、これに付いても各方面より反対の狼煙が上がっている。
国王も反対と理解している。
余り調子に乗ると、昨年の9月19日のクーデター前夜の状況になりそうである。

世界の長者番付けが発表された。
タイからは、栄養ドリンク剤、ビール、食品加工のオーナー経営者3名が入った。
一方、トップの位置には、多数のインド人の名前が上がってきた。
時代の趨勢を感じさせられる発表であった。

世界中で指名手配されていた、“死の商人”でロシア人の男性が街の中心街の
ホテルで逮捕された。
世界中の武器をテロ集団に流していた疑惑である。
同時に7名の欧州人、アメリカ人、ロシア人も検挙された。
逮捕時に“ゲームは終わった”と言った様であるが、この様な身近な所で、
世界規模の武器の売買が行われているとは思っていなかっただけに驚きは大きい。

どうもこれら違法者に取っては、我々同様、タイは意心地の良い国である様である。