M&A月報No.127 「国王スピーチ2007と総選挙」

 

2007年12月5日に80歳の誕生日を祝われた国王陛下であるが、
今回は特に盛り上がりを見せた。
花火等も例年より多く打ち上げられた。

これに先立ち、例年の通り、国王は国軍のパレードを受けられた。
お元気なお姿で登場し、

『昨今のタイ国の国情は残念ながら不透明な所がある。この様な情勢下で、
国民が良心や結束を欠く事になれば、憂慮する事態も生じかねない。
タイ国を大切に思うのであれば、偏見や先入観は取り払い、誠実、慈悲、
結束を重んじて欲しい』

と呼びかけを行われた。

国王におかれては、80歳のお誕生日を盛大な各種式典の中お迎えになられた。
ご同慶の至りである。
2万人もの多くの要人並びに観衆を前に、例年の通り、TVを通じて国民に
メッセージを述べられた。

『自分は何とか自己の健康を保持すべく努めている。それは自分の長寿を
願って下さる人々の前に、元気な姿を見せたいからである。
人間の2本の足は良く出来ている。即ち、1本が前に出ればもう1本が身体を支え、
バランスを保ち、更に前進するのである。しかし、バランスを崩すと骨を折ることも
ある。
この様に、国も調和を崩すと崩壊する恐れがあるのである。
現在のタイにおいては、結束がもっとも重要な事項と考える。
タイは恵まれた環境にあると思うが、調和を崩すと凋落の道を辿るかも知れぬ』

また水害より人々を守る為、ダムの増設を希望された。
多くのプロジェクトを遂行する人々に対し、効率を求められた。
例えば、

『国軍は潜水艦の導入を検討しているが、タイを取り巻く水域では、有効なもの
とは思わない。購入するとするのであれば、ロシア製と思うが、むしろタイで製造
可能なパトロールボートにすべきである。ロシヤ製の飛行機は良くないと思う
(日本では信じられないご発言)』

『お金持ちは、自己のお金を賢明な用途に使うべきである。
ケチになってはいけない。
しかし、お金の無い人が消費に走るのは危険である。
お金持ちは、これらの人々を助けるべきである。
また昨今の石油価格高騰に対しては、代替エネルギーの開発に注力すべきである。
石油と全く同じなスピードは出なくとも、多少遅くとも、それで十分と思う。
経済効率を追求して欲しい。
人々がお金を儲ける事も由と思う。しかし、限度を心得よ。
姉気味の健康に付き、多くの人々が祈ってくれている事に感謝する』

と締めくくられ、約1時間のスピーチを終えられた。
人々の“結束”“協調”を強調されたスピーチであった。
12月23日の総選挙後の騒動を意識してのご発言であったと思う。

頻繁にお見舞いに行かれている国王を拝見するに、姉君の状況は余り
良くない様に感じられる。

12月15日・16日に不在投票が実施された。
従来と比較すると約2倍の300万人近くが投票を完了した。
お金で動いた人々、何とかPPP の過半数を阻止したい軍関係者等が積極的に
投票したものと思う。
この両日は公共の場所での飲酒禁止がかなり厳しく取り締まられ守られた
様子であった。
23日の投票率もかなり上がる事が予想されている。

特に地方では、票の買収に軍部、警察が目を光らせているし、検問の強化、
DVD等の宣伝物のチェックも厳しく行われている。
またバンコクのPPPの事務所に発煙物資が投げ込まれる事件も起った。
PPP関係者は無論これらに大反発しており、小競り合いは更に継 続、拡大の
危険を秘めている。

23日、一応総選挙は無事に、大した騒動も無く実施された。
投票率は過去最高の74.5%であった。

PPP(国民の力党)           232議席
DEMOCRAT(民主党)   165議席
CHART THAI(国民党)         37議席
PUEA PANDIN(国家貢献党) 25議席
RUAM JAI THAI(団結国家発展党) 9議席
MATCHIMA THIPATAYA(中道主義党) 7議席
PRACHARAJ(王国民党)          5議席

TOTAL                   480議席

結果は予測の通り、タクシン支持のPPPが第一党とはなったが、過半数には
到達せず、今後はどの党がPPPと連立を組むのか、もしくは民主党と第三位
以下の党が連立を組むかに注目が集まる事になる。
なお最終結果は2008年1月3日に発表される。

PPPは重要ポスト等を餌に、連立への協力を呼び掛けて行くと思われるが、
同意するとタクシン支持との批判も待ち受けており、各党党首は決断に苦慮する
1月となりそうである。

筆者としては、問題は多々あるが、民主党が三位以下の党全てと連立を組み、
2008年は船出し欲しいと考えている。