M&A月報No.107 「タイ国上下院選挙と国王の御言葉」

 

4月2日、予定通り下院選挙が実施された。
懸念された騒動は起こらなかった。
投票率は63.7%で前回の73%より10%も低かった。

比例区100議席の内、愛国党は56.5%、選挙区400議席では53.5%
(349議席を獲得)を獲得し、タクシン首相が「50%を下回れば辞任する」と
言ったガイドラインはクリアした。

しかし、少なくとも39の選挙区で再選挙が必要との結果となった。
今後1ヶ月以内に再選挙を実施し、全ての議席を確定する必要があるが、
南部のように、未だに混沌としており3回目の選挙も必要になる見込みの
所もあり、いつ国会が開催で出来るかは見通しが立っていない。

注目されたバンコクでは36議席、全て愛国党が確保したが、支持者無しの
投票が50%を越えた事を受け、これは事実上、タクシン首相不信任であると
反対派は息巻いている。

タクシン首相は勝利宣言を行い、1,600万人の支持票に感謝し、この人達に
自分が辞任する正当な理由が説明出来るのであれば、いつでも自分は辞任
すると公言した。

4月4日午後、タクシン首相は国王に呼ばれたのか謁見した。
その夜、首相は辞任を表明した。
国王との会話は何も発表されなかったが、事態の収拾を強く求められたものと思う。

4月25日、今まで沈黙を守ってきた国王が遂に口を開いた。
場所は最高裁の判事に新しく任命された人々の前であった。

「4月2日の野党不在による総選挙は正しい事とは思わない。
多くの人々が、憲法第7条にある、首相任命権を行使し、自分に新首相を
指名するよう求めて来たが、これも正しい事とは思わない。
こんな事を行えばタイの民主主義は崩壊してしまう。
ラーマ4世はやったという人もいるが、時代が違う。
もし国王だからといって何をしても良いのなら、それは民主主義では無い。
安易に解決を図ろうとするべきでは無いし、ましてや国王の強権で突破を
試みようとするのであれば、それは国を崩壊に導くだけである。
焦る必要は無い。
今こそ司法の判断が求められている時である。
法に則って解決策を提示すべきである。
司法の関係者は他の有識者達の声にも耳を傾けるべきである。
国を救うため、判事は有識者の意見も聞き、然るべき対応策を
提示するのが職務である。
一政党一人、選挙区で一人の立候補者、こんな選挙は民主主義的
選挙とは言えない。
もし現状を解決出来ないのであれば、辞任するのは政府閣僚では無く、
君達判事である」

と結ばれた。

国が迷走している重大な時に、司法の関係者は法に則り、何も指針が出せて
いないとの国王の叱咤であると感じた。
タクシン首相の暴走に、何も手が出せていない司法に対する国王の不満が
表面に出たと思うと同時に、いつも、なるほどと思う事を言われる国王にまた
国民の評価が高まるものと思う。

今まで、問題の解決は政治家に任せ、高みの見物を決め込んでいた司法の
高官はさぞかし飛び上がった事であろうと思う。

タイには3つの裁判所がある。
SUPREME COURT(最高裁) ADMINISTRATIVE COURT(最高行政裁)
そしてCONSTITUTION COURT(憲法栽)である。
国王の一言には絶大なる影響力がある。
これらに属する判事は眠りを覚まされた。

彼等は何らかの対応策を出さねばならず、有識者の見る所では、
4月2日の選挙を無効とし、再選挙実施になると見ている。
金と時間が掛かる騒動である。

任期満了に伴う上院選挙が行われた。
任期6年、定数200である。
1,460人が立候補。
中立的な国政の監視役が求められているが、昨今、影響力を発揮出来て
いないとして、その評価は低く、低調である。
多くの有名政治家の夫人や親族が入っている。
愛国党関係が125人入った。

国際航空運送協会(IATA)は、7月に開港すると表明している新空港に付き、
準備不十分で、12月への延期を勧告した。
どうなるか今後注目したい。

ソンクラン休日中の交通事故による死傷者は5,974人と発表された。
内441人は死亡であった。


以上