M&A月報No.97 「W杯予選バンコク開催とアジア・リーダーシップフォーラム」

 

日本がW杯に行く切符を手に入れる事が出来る、大切なサッカーの試合が、
幸運にもバンコクで行われた。
北朝鮮の観客が暴徒と化してくれたお陰である。

でも観覧席には一般の人は誰も入れない、異様な状況で試合は行われた。
会社より早々に帰宅し、珍しい状況の国際試合を観戦した。

懸念された豪雨も無く、静かな淡々とした試合で、幸いにも日本は2−0で
勝利した。会場の準備、芝生刈り、入場規制、警備等々、タイの当局が完璧な
体制で、この難しい状況にある2国間の試合を無事に終了させた事は大いに
評価されても良いと思う。

微笑で、何処の国籍の人々も暖かく迎え、世界一安全な状況で試合を終了
させた事は、タイ国の良さをまた多くの人々に印象付けた事と嬉しく思う。

BUSINESS WEEKの主催で、2日間に亘って、ASIA LEADERSHIP FORUM
なる会議が開催された。
目玉はCOLIN POWELL元米国国務長官で、実物を見てみたいと参加した。
総勢500人程の参加であった。

タイ国よりは商務大臣、SUPACHAI WTO事務総長がSPEAKERとして
各々1時間半の演説、質疑応答を行った。
司会は元CNNのニュースキャスター、さすがに見事なさばきで、時間も
きっちりと守られた。

何時も感じる事だが、上記2名 のタイ人は、スピーチは無論、難しい
質問にもユーモアーを交え英語で返答する。
日本にこの様な御仁が居られるのかと考えさせられる。

FTAに関して、タイは日本との交渉を上手くやっている様に見えるが
秘訣は何かとシンガポール人が商務長官に質問した。

『お互いの立場を良く理解する事と、特に対日本は“忍耐”が肝要で
ある』と皮肉のこもった返答であった。

光栄な事に、米国、欧州と並んで日本を先進国と位置付け、中国、
インド、ロシアをこれからの有望国と認識していた。
また、『現在のタイには自動車産業以外何も強いものが無い。
将来何処へ向かうべきかも明確では無く、模索中』と、誠に正直な
コメントを披瀝していた。

POWELL長官は流石に場慣れしている。

自分の父母は西インド諸島から米国に移住した移民である。
自分達を受け入れてくれた米国の懐の深さに感謝。

若き軍人の時は、ドイツ兵がこの木より中に来ないように見張れと言われ、
冷戦の時は、ロシア軍がこの木より中に来ないように見張れと、何時も
見張りをさせられて来た。

ゴルバチョフに会った時には、この件を知っていて、“遂に君は見張りの
仕事を失ったね”とにっこりと笑って言われた。

長官の時は良かった。何処に移動する時も、大型ジェット機が空軍基地に
あり、タラップの最上段に上がると、右のエンジンが掛かり、機内に一歩
踏み込むと、左のエンジンが回りだす。
座席ベルトを締めると、飛行機は飛び立った。

自分は目下、年金生活者になった。
先日ワシントンの空港に行った。最も大きな違いは、搭乗前にホールド
アップをさせられ、身体検査をされた事である。
その前を多くの人々が挨拶をして通り過ぎて行った。

また現役の頃は5時半起床、6時半出発の日々であった。
最近、WIFEが6時半以降自宅でうろうろしている自分に冷ややかである。

本日、皆さんに招待されここに来た事は、我々夫婦にとって誠に
幸せな事である。

その後、アフガニスタン、イラク、北朝鮮等に言及。

ともかく、テロも無く、平和な世界を築く為には“貧困”を無くせねばなら
ないとの持論を披露した。
政府と民間が協力し、貧困地域への投資拡大を訴えた。

最後の閉めは元豪州首相のBOB HAWKE氏並びに元ニュージーランド
首相のMIKE MOORE氏が行った。

その他の議題のパネリストは香港、シンガポール、豪州、中国、米国、
英国、フランス、インド、マレーシア等であったが、何故か日本人はいない。

声が掛からなかったのであろうか。それとも皆が辞退したのであろうか。
英語ONLYに怯えたのであろうか。残念であった。

ある議題でタイのKASIKORN銀行の頭取が、トヨタ、SONYの様に、
タイには世界で通用するBRANDは残念ながら何も無いが、タイで
世界に通用するBRANDは“タイ人”であると述べ、異例の大拍手が
会場から起こった事が印象に残った。

微笑みの国のタイ人は世界の人々より好かれているのだなという事を
実感すると共に、”日本人は忍耐が無いと付き合えない、好感度が低い
国民”となっている事を思い知らされた。

また驚いた事に、かなり日本関連の議題が多いのに、日本人の出席者が
一人も見出せなかった。

米国一辺倒よりアジアの人々との交流を深めて行く。日本はアジアの
リーダーになるんだと意気込んでいるが、現実には日本はそんな
姿勢を何も示せていない悲しい状況である。

ODAを増額すれば済む話ではない様に思う。
こんな事で良いのであろうかと考えさせられる2日間であった。