M&A月報No.121 「憲法裁判所判決後の動向とタクシン氏帰国か?」

 

5月30日に下された憲法裁判所の判決に付きアンケート調査が行われた。
判決を支持するが52.3%で、支持しないの28.4%を大きく上回った。
また12月に予定の総選挙は出来るだけ早めるべきが44%もあった。
次期首相にはアピシット民主党党首39%、タクシン前首相21.5%、
チュワン元首相4.8%、スラユット現首相2.8%他で、アピシット氏が
断然他を引き離した結果が出た。
半年間、彼の言動に注目が集まる事になりそうである。

愛国党の大物を含む110人は一体どうなるのであろうかと有識者に聞いて
みると、年内に出来るだけ早く総選挙を実施し、新政権を誕生させる。
その後、この新政権が法律を改正し、110人が政治家とし復帰出来る様に
すると思うよが回答だった。
なるほど、これがタイかと思う方策である。
果たして、この様になるか、今後に注目したい。

スラユット首相が総選挙を11月25日に実施したいと意欲を示した。
国王の誕生日前に、今後をはっきりさせたいとの意図であろうか。
無力だが、彼の誠実さを感じさせる動きである。
軍関係者にとっては、厄介な首相を選んでしまった様である。

愛国党解体に勢いづいたのか、タクシン夫妻並びに子供達の推定資産、
約2,000億円の国内外にある資産凍結の決定をASSETS SCRUTINY
COMMITTEE(ASC)資産調査委員会が下した。

これは未だにタクシン一派が東北の農村部に金をばら撒き、人々がバンコク
に押し寄せるように企て、軍部の批判や、一部軍人を襲撃する様な動きに
出ていることを抑えようとする意図も含まれている様である。
60日以内に無罪を証明出来れば、この凍結は解除される。
今年の後半に向け、愈々佳境に入って来た。


主たる嫌疑。
1. ラマ9世通りの国有地の安価な払い下げ。
2. 新空港への爆発物検知器の売り込み。
3. クルンタイ銀行、タイ輸銀よりの安価な融資。
4. AISよりTOTへの通話料で便宜。
5. シン コーポレーションのテマセクへの売却。等々。

疑惑の審議中にも拘らず、資産凍結は違法であり、承服しかねるとして、
総選挙実施以前には帰国をせぬと意思表示していたタクシン氏が急遽
帰国の動きを見せた。

これに対し、スラユット首相は認める発言をしたが、軍部代表のソンテイ
議長は、タクシン氏に反感を持っている国民は多数おり、帰国をすれば
殺害の危険もあるとコメントし、帰国する可能性には懐疑的であると述べた。
物騒な発言である。

タクシン氏が水面下で画策すると、次期総選挙で、軍部関係者の当選率が
下がると見ているのであろうか、軍部の政権へのこだわり、焦りを感じる。

こんな事を繰り返していると益々民意は軍部より離れて行くと思う。

一方、町の有識者に意見を聞いてみると、多くはタクシン氏は帰国せぬと
読んでいる。理由は、一部軍部には荒っぽい連中がおり、身の安全の保障が
無いからと見ている。


また彼は金を得たが死に場所を失ったと冷たく言う人々が多いのには驚か
されると同時に、やはり彼はタイの慣例にのっとり多額の寄付をしておくべき
だったとまた強く感じる。

これ等一連の疑惑に付き、遂にタクシン夫妻に裁判所への出頭命令が出た。
これに関連し、スラユット首相は、身柄拘束もしないし、身の安全を保障すると
発言し、軍部関連とは異なる姿勢を示した。
この動きに軍部関係者がかなり反発する事も予測される。


一方タクシン氏の弁護士は、代理人の出廷を検討中とコメント、又、ポチャマン
夫人は目下マレーシアで病気治療中の為出廷出来ぬとコメントして来た。
三者三様、愈々物語りは佳境に入って来た。
タクシン一族の弁護士団の戦法に注目してみたい。