M&A月報 No.228「クーデターから2年

 

プミポン国王陛下が感染症の治療を受けられているという

ニュースが報じられた。発熱や血圧低下の症状があり、

検査したところ、膝や肺に炎症が見つかり、医師団は

抗生物質を投与するなどして治療に当たった。

 

また、その翌週には、過剰な脳脊髄液を除去する処置を受けられ、

声明によると、顔面のけいれんはほぼ収まり、呼吸数や脈拍、

体温、血圧も正常とのことである。

国王陛下は今年6月に在位70年を迎えられる。

早いご快復、そして、お元気なお姿を国民の前にお見せいただくことを、

国民一同、願っている。

 

戒厳令発令に伴い、軍がタクシン派と反タクシン派をはじめとする

関係各派代表者を集め、軍が仲介役となって、(1)いつ総選挙を実施するか?

(2)暫定首相の選出は可能か?(3)双方は集会を中止できるか?

(4)改革は総選挙の前か後か?(5)どうすれば治安を回復できるか?の

5点について協議がなされたが、双方とも主張を繰り返すばかりで

歩み寄る姿勢がなかったため、当時の軍トップであるプラユット司令官が

「この国に平和をもたらす方法が見つからず、誰も引き下がろうとしない。

それなら、私は統治権の奪取を決断した」と宣言、発足させた

国家平和秩序評議会が全権を掌握、憲法は停止、政権は崩壊、協議に

出席した御仁らの身柄は拘束となったクーデターより、22日で

はや2年を迎えた。

 

プラユット暫定首相率いる軍事政権が約束した「国民和解」は依然進まず、

2006年のタクシン元首相に対するクーデター以降、10年に

及び対立してきているタクシン元首相派と反タクシン派の溝は、

残念ながら埋まっていない。

 

軍事政権の強権的な統治も続く中、憲法草案の是非を問う国民投票が

8月7日に実施され、民政移行に向けた総選挙が来年実施されるか

どうかの重要なターニングポイントも控えている。

 

軍事政権によるタクシン派の政治家ら反対派の締め付けは引き続き継続され、

「態度矯正」と称して軍事政権から出頭を命じられた政治家や活動家らは

1300人以上に及び、出頭命令拒否や不敬罪などで軍事裁判に

かけられた民間人は1600人を超えている。

 

3月には、軍将校に警察権を与える命令を出し、軍が裁判所の令状なしに

捜索したり逮捕したりすることが可能となるほど、威嚇や自主規制の

空気が日増しに強くなっている。

 

「反対意見に対する不寛容ぶりは完全な不条理に達した」

「人権と基本的自由、とりわけ表現の自由が尊重、保障されなければ

ならない」

 

など非難の声が上がっているが、プラユット首相は、

 

「外国人はタイについて、人権のことしか気にかけていない。

批判を続けることは受け入れられない」

「治安を維持し、社会的分裂を防ぐ必要性を考慮すると、表現の自由は

絶対ではない。今のわが国は普通の状況ではないのだ」

と主張している。

 

大きな混乱が起こらないことを願いたいが、メディアも「自由を犠牲にした安定」、

「もろい平和がいつまで続くか誰にも分からない」と報じ、

国民投票が近づくにつれ緊張が高まっていくことも懸念されている。

 

未だタクシン派には根強い人気のある、クーデターで失脚した

インラック前首相も声明を発表し、軍事政権に対し、国民の権利と自由を回復し、

速やかに民政復帰を進めるよう呼び掛けた。

 

「2年前のクーデターは国民の権利と自由が奪われた日だった。

国民は経済的苦境や貧困、薬物使用の増加など重大な社会問題に苦しんでいる。

速やかに国民に幸福を戻すことを期待する。

幸福とは、国民が再び自らの将来を決められるようにする基本的権利と

自由を意味し、誰もが自由に自分の意見を表明したり行動したりする

権利を持てることが最も重要なのだ。

この2年を決して無駄にしてはいけない。

憲法草案も、国民全員が草案の中身について、自らの意見を表明する

権利と自由を持てるようにすべきであり、草案の反対派も賛成派も

等しく意見を共有する開かれた雰囲気がなければならない。

民主主義とは、包括的なプロセスの中で国民の声に耳を傾けることだ」。

 

平和的に国民和解が成し遂げられ、国民に真の権利と自由が戻る日は

やってくるのだろうか。新生タイを期待したい。

ここ数年は、政治的にも経済的にも目が離せない状況が続く。

 

毎年紹介している始耕祭であるが、今年も皇太子殿下ご出席の下、

無事執り行われた。儀式では、広場の中に特設された畑で、

祭主を先頭に2頭の雄牛が「黄金のすき」を引き、女性らが種をまく。

その後、牛にはコメ、酒、草、豆、トウモロコシなど7種類の

えさが与えられる。

 

今年は米、とうもろこし、豆、ゴマを食べ、酒と水を飲んだ。

「豊富な雨量で、穀物や果物など食べ物は豊富な収穫」と予言された。 

また、長さの違う種類の反物の中から1枚を選んで天候を占う儀式では、

こちらも十分な降雨量が予想され、稲作は豊作との占いが示された。 

上半期は水不足、干ばつに悩んできたが、もうすぐ本格的な雨季の

季節が到来する。水問題が解消され、悩むのは政治、経済だけに

したいものである。