M&A月報 No.197「タイ王国 改革進行中」
 

NCPOは標榜する国民和解を何とか図るべく、タクシン派:反タクシン派の

対抗カラオケ大会や、じゃんけん大会で景品を振舞う様な企画を地方で開催し、

兵士がその司会や進行役を務める、涙ぐましい努力を展開し、国民の多くが見

たがる、サッカーのワールドカップも無料で見られる配慮もみせた。

しかし多くの所で違法トバクが行われ、その検挙に追われるはめとなった。

 

インラック政権がその支払いに行き詰まっていた、農家へのコメの買取に付いても、

タクシン支持の多い地方農民に配慮し、920億バーツ、全額の支払いを行った。

これにより、地方の景気も多少回復との期待も持たれている。

農民の中には、インラック政権は約束はしてくれたが、払ってくれなかった、

軍事政権はちゃんと払ってくれたと、反タクシンの発言も飛び出している。

 

同じく、その国が買い上げたコメの処理に苦慮していた前政権であるが、

日米より批判された軍事政権に中国がすり寄って来て、ベトナムよりの買い付けを破棄し、

タイに乗り換えると提案して来た。

軍事政権は大いにそれを歓迎すると表明、感謝の意を述べた。

 

気を見るに敏な中国に感心するが、タイも強か、コメは売っても心は売らぬと思っている。

またプラユット議長は、韓国の要人を招き、タイの安定をPRし、投資促進の依頼を行った。

日米に対する面当てを感じるが、日本抜きでは成り立たぬタイである事は十二分に

承知しているとも感じている。

 

 

NCPOは全48条からなる、暫定憲法を策定、これを国王に奏上し、今般、

国王よりプラユット議長に承認するとの書状が手渡される写真が大きく報道された。

1932年の立憲後19回目の改定である。

 

この暫定憲法に定めている点で最大の注目点は、プラユット議長は、行政、司法、立法上の

如何なる命令も出せる点で、完全なる独裁体制となった事である。

この点に付いて、メディアから質問が、発表した元副首相に出されたが、同氏は、

これは万が一のためで、簡単には発動しないと逃げた。

 

2006年のクーデターの折は、スラユット元司令官が暫定首相となったが、その位置づけは、

政権の諮問機関に後退し、軍の圧力が後退してしまい、結果、改革が中途半端に

終わってしまった苦い経験がある。

かと言って、軍事政権でこのまま進むと、欧米等よりの批判が巻き起こる事も懸念される為、

二頭体制をとったのである。

 

8月には立法会議(国会に代わるもの/220人)を発足、9月には暫定政権の選出(35人)、

暫定首相の指名、10月には国家改革会議(250人)を設立し、憲法起草委員会(36人)が

来年7月までに新憲法を制定する運びとなる。

 

この暫定首相の座もプラユット氏が占めるのではないかと憶測されたが、今回の暫定憲法により、

同議長の権限が圧倒的なものとなった為、その必要性は薄れ、暫定首相は兼務しないとの

観測が広まっている。

 

1%を切っていた失業率が3.7%になった。

やっと正常になって来たと感じている。

 

出国を禁止され、その後、成りを潜めていた、元首相のインラック氏であるが、

汚職追放委員会(NACC)は、委員7名の全員一致で、コメ担保融資制度に関し、

同氏の職務怠慢があったとして、刑事責任の追及を決定した。

 

一方、暫定政府は、同氏の兄、タクシン氏の誕生日を祝うため、同氏より申請された海外渡航を

認めたばかりであり、今回の起訴に関連し、その成り行きが注目されたが、

これの取り消しには至らなかった。

 

この融資制度はインラック氏が政権に付いた、2011年10月よりスタートしており、

この制度実施より約2年半で5000億バーツの損失を国家に与えたというものであり、

そのずさんな管理責任、これを取り巻く汚職の蔓延を放置した事による罪に問われるものである。

 

これの結審にはかなりの月日が要されると思うが、有罪となると、禁固刑が科せらる事になる。

この両氏が、パリで満面に笑みを浮かべ、抱き合う姿が新聞等で大きく報道された。

行われた世論調査では、約半数が、インラック氏は海外逃亡となり、帰国しないとの見方を示した。

さて、どうなるか国民は注目している。

 

黒田日銀総裁がバンコクにお越しになり講演を行った。

世界の金融緩和により、多額の資金がタイにも流入し、バブル経済になる懸念がある。

各国の金融機関は、それに十分な対応策で臨んで欲しいと述べた。

 

新興国が困る様なほど、何故先進国はお札を刷り続けるのかと質問したかった。

無責任な発言にも程がある。

近い将来この付けが自分に戻って来るとは、全く考えていないのであろうか。

この元凶の国が、それの阻止に苦慮する国に、よくも反民主主義国と言えたものだと

強く不快感を感じている。