M&A月報 No.179号 オバマ大統領の訪タイとインラック政権の対米姿勢 

 

40日間の休暇を頂き、日本の秋の味覚を満喫し戻って来たが、
この間、毎度の事だが、また民主党の動きに大きな失望を覚えた。
最大の案件事項は、有望な若者の雇用にあると思うが、
政策は全く反対方向に向かっている様に感じる。

いつも感じている事であるが、なぜタイの企業は活発であるのかと思うと、
最大の要点は相続税が無い事ではないかと思っている。
 
日本の解決策としては、その相続税の撤廃、参議院の廃止/衆議院を半減、
官僚を半減/国家公務員の給与30%カット、但しアルバイトを認める等の
ドラスチックな方策をまず打ち出さねば、とても日本での起業/設備投資は進まず、
若者の雇用増大には繋がらぬと考えるがいかがなものであろうか。
 
どの政党も誰も、相続税を撤廃したら、いかなる徳損失が起こるかを
計算してくれぬ事を非常に不満に思っている。
 
ASEANへの日系企業の進出は、既に土地も無く、人材難、労働力不足等の
状況下にもかかわらず、衰えを知らぬ状況にある。
タイで働く者にとってはありがたい話であるが、祖国の将来を憂いている。
正直な野田首相なのか、第三極が未だ戦闘態勢が整わない内と考えたのか、
急遽国会の解散が決定した。

12月の選挙では、若者の雇用を促進してくれる党に投票したいと考えているが、
日本における成功者がさらなる投資を積極的に日本で行おうとする様な具体的政策が、
目下の所、どの党よりも聞けぬ所に不満を感じている。
  
脱原発を掲げる人々も多い様に感じているが、報道のみを見ていると、
恰も原発は止めれば、その日より、地震が来ようが、津波が来ようが安全との
受け取り方が出来るが、止めても長期に亘り危険は存在する事も報道すべきと感じている。
むしろ、電源が切られ無人の原発が災害に見舞われた時の方が、
被害の発生は大きいかも知れぬと思っている。
 
TPPに参加反対、米軍は沖縄より撤退しろと主張する方々より、
では日本の防衛はどうするのかを全く聞けない点に奇異感を抱いている。
TPPには参加しない、米軍は出て行け、だけど中国と摩擦が拡大した時は、
貴方が戦ってね、では米国の世論は納得せぬと思っている。
 
11月8日のタイにおける新聞各社の紙面は、オバマ氏再選の一色で埋まった。
その報道紙面の大きさに驚きを禁じ得ないが、一方、過去に報道された、
日本の首相交代時の記事の小ささを思い出し、経済面では圧倒的な貢献をしている
日本企業群なのに、政治となるとなぜこうなってしまうのか、大変残念な気分にもなる。

そのオバマ大統領が再選後に最初に訪問する外国がタイとなった。
ミャンマーに行くついでとの感もするが、これを予知してか、タイを最初に選んだのは
アクシデントでは無いと、その重要性をコメントした。
タイにとっては大変光栄な事である。
 
1,000人規模の米人警護団、飲料水は全て米国より持参、10匹程度の
ジャーマンシェパードによる巡視等々話題に事欠かないが、
インラック首相と会談、会食をする政府迎賓館前の庭に置かれている、
100年以上も前の大砲の中を検査する様子が面白おかしく報道された。
 
会談に先立ち、病院におられる国王を訪問され、にこやかに談笑されるお姿が
嬉しく報道された。
インラック首相は、その会食の席で、舞い上がったのか、席を立つときに、
ナフキンをボタンの穴に挿したまま立ち上がった様で、マスコミよりは、
面白おかしく大きく取り上げられた。
 
風刺マンガでは、AIR FORCE ONEに乗り込もうとするオバマ大統領の足に縋りつき、
”オバマ!私を置いてスー・チーさんの所に行かないで”とか、
”私とスー・チーさんどちらが魅力的?”
と、問いかけるものが出たが、TV報道等を見ていると、オバマ大統領とスー・チーさんの
貫禄なのか、この二人には、他を全く寄せ付けない何かを感じさせるものがあった。
 
タイよりのお土産はTPPへの正式な参加表明となった。
過去において、WTOより、米国に対する特定国優遇策が違反と言われ、
その対応策としてFTAの締結に向かったが、米国の製薬会社の強い圧力で、
特許期間の延長を迫られ、これでは安価な薬を国民に供給出来なくなるとして、
頓挫した経緯がある。
今回はその復活交渉となる。

 
TPPが締結されると、米国が強い、金融、運輸、通信等の分野でもタイ進出が
強まる事が予想され、且つ日本同様、農業関係者の強い不安もあり、
今後インラック首相がいかなる指導力を発揮し、締結にこぎ着けるかに注目が
集まる事になるが、やはり今後の中国の脅威を考えると、締結やむなしの、
大人の結論になると思っている。
 
来春に引退が決まっている中国の温家宝首相が、在任中初めてで
最後のタイ訪問を行い、国王にも拝謁の栄を得た。
その後、インラック首相とも会談し、米国に負けじと、タイよりの米の輸入拡大を約束し、
最後の餌まきを行い、帰国の途についた。
 
過去において、ASEAN首脳よりは、中国と対峙する為には強力なリーダーが必要であり、
その役目を日本の首相に担って貰う事を切望しているとのコメントを良く聞いたが、
今回のASEAN会議では、仕方のない事であるのかも知れぬが、
野田首相の影は残念ながら全く薄く、寂しいものであった。
 
一方、再選を果たしたオバマ大統領は、その任は自分が引き受けたとの感を
前面に打ち出し、慌しい訪問ではあったが、ミャンマーでも盛大な暖かい歓迎を受け、
ASEANの会場では、中国を横目に、大いなる貫禄を示し、帰路に着いた。
この様な現況では、日本は残念な気もするが、TPPを受け入れ、
ともかく、現在の最低の状況を脱出する為には、米国に縋る以外、抜け道は
無い様に感じさせるASEAN会議であった。
 
昨年は大洪水に見舞われたが、今年は予測の通り、一部スコタイ地方で洪水が
発生したものの、大過なく雨季が終了した。
逆に皮肉にも、東北地方の一部では旱魃の被害が報道されるようになった。
 
海外に逃亡中でも、話題豊富なタクシン氏であるが、その巧みな錬金術を評価されてか、
周辺国のカンボジア、ラオス、ミャンマーの国の指導者達より、指導を要請されてか、
歴訪が告げられている。
 
しかし今回ミャンマー訪問中止が報道された。
理由は、同氏の暗殺計画が発覚した為とされているが、自己PRの為の巧みな
マスコミ誘導作戦と分析する人もいるが、何とも騒がしい御仁である。
 
タイにも目立ちたい御仁がいるのか、人騒がせな集会が持たれた。
黄色組も一部入っていると言われているが、反タクシンの元軍部高官他が呼び掛け、
首相府前で5万人規模の反政府デモを行うと発表した。
政府は警官を1万人動員し、騒動に備えた。
 
結果は、2万人程度の集会となったが、警官と衝突もあり、警官側は催眠ガスを発射、
負傷者約70人、逮捕者約140人が出た。
今回の連中は、潤沢な資金も無く、デモを誘導する経験も無く、結局短時間で打ち切り、
二度と自分は拘わらぬとリーダーのコメントも出され、参加者よりは多くの失望と
怒りがぶつけられ収束したが、この時期に何故というのが大多数の国民の反応であったと思う。
自己の売名行為だけで、この様な騒動を起こさない事を切に願っている。