M&A月報 No.165号 「東日本大震災」


嬉しい事に、国王が病院を出られ、チャオプラヤ川をお元気に散策された。
多くの群衆よりはご長寿を願う叫び声が上がった。
国の安定と平和を願う、国王のお気持ちが伝わって来た様に感じている。
 
阪神・淡路の地震を遥かに超える大地震の様相が、タイ当地TV ・
新聞等を通じ、大々的に報道された。
見出しは“第二次世界大戦以降の最大の危機”となっている。
”TSUNAMI”はすっかり定着し、全てのタイ人に通じる様に感じるまでになっている。
多くの人々よりお見舞いや義援金/物資のお話も頂いている。

タイ電力庁が軽油を燃料としている為コストが高く、目下使用していない、
発電設備2基を無償で援助してくれる事になった。
発電能力は244メガワット、ありがたい贈り物と感じている。
 
一方、大きく報道されているのは、原発の事故の件であり、
目下議論されているタイの原発導入計画に大きな影響を与えると論評している。
副首相は明確に導入計画を撤廃するとのコメントも発表した。
 
日本よりの輸入食品に付いては、放射能汚染の検査を実施すると発表、
また今年の夏の日本行きHOLIDAYの70%はキャンセルされたとも報道された。
日本食を扱うレストランは、その素材の輸入先を日本以外に
求め出した事も報道された。

被災地域には、21,000人のタイ人が在住しているとの事で、この内5,000人
程度の所在が確認出来ず、特に250人程度が被災した可能性が大と発表された。
しかし、今の所、死傷者に関する報告は受けていないとの事であった。
特に原発に付いては、世界が注目している事を日本政府、関係者は良く認識し発言、
現状を正確に伝えると共に、今後の対応策を明確に報道すべきと感じている。
 
有名大学の教授が種々解説してくれているが、今回の事故は関係者の想定外で、
対策マニュアルが無いのではと感じる。
もっと設計元の米国、実績の多い仏国等の技術者に介入依頼をすべきと思うが
如何なものであろうか。
 
支援物資を求め、長い行列を作り、寒さの中、辛抱強く、規律を守っている人々の
報道に接し、タイでは起こり得ない、日本人の素晴らしさだと、賞賛のコメントを得ている。
復興が長期化しそうな見込みに対し、タイ政府は、従来の観光VISA
の滞在期間30日間を見直し、日本人に限り、90日間を認める法令を認可した。

また今後、安定的製造拠点を求める動きが加速するとの見込みより、被災地より
製造拠点をタイに移す企業に対する特別な恩典の検討に入った。
日本政府も早く具体的な支援策を打ち出さないと、益々、人や企業がタイ等の
国への移動が始まり、日本の空洞化、高齢化が進む事を懸念している。
我が祖国の復興が進み、一日も早く元気を取り戻し、第三の奇跡と
人々より言われる様になる事を念じている。
 
地球が軋み出しているのであろうか、驚く事に、バンコクでも珍しく身体で感じる
地震が起こった。
中には慌ててアパートを飛び出す人も出たぐらいであったが、震源地はミャンマーで、
特にタイ北部のチェンマイ/チェンライでは大きな揺れを感じたそうで、死亡した人も出た。
 
又、タイ北部では旱魃の被害が、しかし南部では豪雨による洪水被害が、
そしてバンコクでは20度前後と、この時期では信じられない様な低温の日々となっている。
自然破壊を拡大する人類に対し、地球が怒りの信号を発している様にも感じている。
 
当地では有名な高僧、マハ・ブア氏が97歳で一月に亡くなっていたが、
その葬儀が盛大に東北部のウドンタニ県で執り行われた。
数十万人の会葬者が参列し、最後の火葬に点火する行事は王妃様が直々に執り行われた。
 
同氏は、97年のバーツ危機の折に、タイ経済を救済する募金活動を積極的に行い、
12トンの金と1,000万バーツの現金をタイ中央銀行に寄付した事でも良く知られている。
日本ではどなたが最高位の高僧か存じ上げぬが、ご逝去に対し、かくも大掛かりな
葬儀が行われるとはとても思えぬとの感触で、あらためてタイでの仏教の浸透の大きさ、
影響力を思い知らされた。
 
アピシット首相の打ち出した、2年間で最低賃金を25%UPする方針に対し、
NESDB(タイ国家経済開発庁)は、GDPの成長率が3.5%~4.5%と
予想されており、賃金の引き上げには余地があるとコメントした。
 
また昨年末のインフレ率は2.8%~3.8%であり、今年に入り、最低賃金を
8~17バーツ引き上げたが、これは6.35%に相当、従って、実質の上げ幅は
インフレ率を下回っている。
公務員の給与は5%の引き上げが決まっており、首相の提案は妥当との見解を表明した。
 
一方、タイ工業連盟は、これは政治家の票稼ぎに過ぎず、民間企業に
とっては死活問題となると厳しい批判を展開した。
この様な大幅な引き上げを行うなら、商品価格の値上げを認めるか、
何らかの民間企業への支援策を講ずるべきともコメントした。
 
タイの賃金は、生産コストの中では既に15~50%を占める高額となっており、
原油価格の高騰も危惧され、金利や原材料価格も上昇傾向にあり、
これを実施するとタイの国際競争力が著しく低下する危険性を感じる施策と思う。
 
その他に、軽油補助金90億バーツ、米の買い上げ価格支援600億バーツ、
低所得者の電気代支援100億バーツが計画されている。
総選挙があり、バラマキたい気持ちは理解するが、既に人件費の高騰、
労働力の不足の現況を考えると安易な方策には走らないで欲しいとの気持ちが強い。
 
アピシット政権は憲法の一部改正に成功した。
特に注目に値するのが、選挙制度の改正である。
骨子は中選挙区制より小選挙区制、下院議員数を480から500に増員、
選挙区と比例代表から選出する議席数の配分を400+80から375+125に変更した。

2007年の選挙結果を見ると、第1党のタイ貢献党(タクシン派)233議席、
第2党の民主党(アピシット派)164議席で、差は69議席あった。

しかし得票数では1233万:1214万と僅少差で、比例代表の議席が
80から125に増えた事は、民主党に大いに有利に働くものと見られている。
また第一党にならなくても比例代表で第一党になった所も、連立工作が
出来る様になり、これも民主党に有利と見られている。
 
この間、タイ貢献党は党首選びで迷走を続けており、国会審議も欠席する等の
戦術を取った事が裏目に出ている感がする。
6月頃には総選挙とも言われているが、民主党が過半数を制することは
まず不可と見られており、比例代表で第一党となり、連立政権を模索する事に
なりそうである。
タイ貢献党の内輪もめの間に、素早く憲法改正に漕ぎ着けた、民主党の
選挙対策が高く評価されている。
 
タイ中銀が12月と1月に引き上げた政策金利を更にUPさせ、2.5%に
する事を表明した。
年間GDP成長率は3.0~5.0、インフレ率は0.5~3.0と予測、
金利UPにもより、かなりの外資が流入して来るとの予測を立てている。
これにより銀行の貸し出し金利は6.625~7.25%に上昇する。
 
アジア・太平洋地域での、女性で、どの国が貯蓄や投資に対する知識が
豊富であるかをある研究機関が調査した。
30歳以上の既婚者が対象で、金銭管理、財務計画、投資の三項目で採点を行った。
 
結果、一位はタイ、続いてNZ、オーストラリア、ベトナム、シンガポール、
台湾、フィリピン、香港、インドネシア、マレーシア、インド、中国となり、
日本はなんと13位、その下は韓国であった。
タイの経理関係が殆ど女性で占められている事が良く理解できる数字であった。
 
また女性の幹部への昇進機会は、45%と非常に高く、世界でNo.1と評価された。
因みに、グルジア・ロシア・香港・フィリピン・中国・ボツワナ・NZ・ポーランド・
マレーシアがこれに続いている。
一方、最下位がインド・UAE・日本となっている。