M&A月報 No.163号 「国王陛下よりの新年のお言葉とアピシット首相の所信表明」
 


年初に当たり、国王がクリーム色の背広を召され、二匹の愛犬を従えた、
お元気なお姿の写真が新聞の第一面を飾った。

国王は人々と共に幸せな新年と明るい未来を祝いたいと述べられた。
そして国家の平和を祈りたいとも述べられ、人々は愛、同情、親切心を
共に分かち合い、正直に、真心より接しあい、皆が一体感を持ち、
どうしたら幸せが持たれれるかを考え、また国家の行く末を考えて欲しい。
この事を全ての国民が達成する事を望むと結ばれた。
 
国王は王妃様、並びにお二方の王女様を従え、姉君の3回忌の営みも
行われた。未だに病院におられる事を残念に思うが、お元気なお姿を
拝見出来ることを非常に嬉しく感じている。
 
今年の12月23日で現政権の任期が切れるが、新年を迎えるにあたって、
アピシット首相が下記のコメントを発表した。
 
“自分としては、現在の政権担当を十分に遂行している自信があるし、
選挙でも現政権与党民主党が十分に議席を獲得出来るとの見込みがあり、
これは従来のよりの自論であるが、政権与党はその任期が終了する以前に
解散総選挙を行うべきであり、今年の前半には総選挙の実施に踏み切りたい。
 
無論自分も、ある方々は平和を望んでいない事は承知しているが、
そんな事を斟酌している様ではこの国の将来は無い。
 
また、今後クーデターは起こらぬ事を国の内外に表明して行きたいし、
軍部は今後の如何なる政権も首相も支持して行く事を約束する。
これに関連する憲法改正も実施して行く所存だし、貧困層を支援する為の
特別なローンの導入も実施する“
 
と所信表明を行った。
 
そして9項目の“幸せなバラマキ”を発表した。
 
1.2,400万人の底辺の社会保険未加入者が加入出来る様にする。
 
2.タクシー、バイク・タクシー、屋台を開いている人々に5,000バーツ
もしくはそれ以上の低金利ローンを実施する。
 
3.バイク・タクシーの運転手をマフィアの手より解放する。
 
4.2万軒の屋台の増設を認める。
 
5.国庫より73億バーツを援助し、ガソリン価格を下げる。
 
6.低所得者の9百万世帯の電気代を無料にする。
 
7.養鶏業者に低価格の餌を供給し、卵の価格を下げる。
 
8.卵の価格は個で決められているが、それを重量制にし、価格を下げる。
 
9.バンコックの犯罪件数を6ヶ月間で20%下げ、観光客を誘致する。
 
 
更に、追加のバラマキとして、妊婦、0~2歳の幼児、3~5歳児、
家屋の無い人々、農業特区の設立、未就学児、教師等々への
各種支援策がある事を発表した。
 
この実施により1,000万人の低所得者層が恩恵を受け、260億バーツ
の経済効果があるとしているが、如何なものであろうか。
 
バイクタクシー、屋台にこれほど重きを置いているとは驚きである。
屋台が増えれば益々歩行がし難くなる事も懸念している。
 
警察庁の長官が、早速、警官の増員か、バンコクといっても
何処かに限定しない限り、20%の削減等は不可能と噛み付いた。
 
タイでも日本でも国家予算が話題となっているが、タイの総額は
日本の1/10以下である。
 
如何に人件費が安いとはいえ、何故こんなに少なく済むのであろう
かを考えてみた。
 
最大の特徴はSMALL GOVERNMENT(小さな政府)と思う。
では何故、SMALL GOVERNMENTでやれるのか?
その一つがタンブン、即ち寄付の習慣と考える。
相続税が無い代わりに、寄付の習慣が根付いている。
納税の代わりにお金を儲けた人々は困っている人々に寄付で
報いるのである。

貰った方はくれた人に感謝の念を持ち、且つ間に入る公務員は
不要となるし、膨大なコストの掛かっている事務経費も不要となる。

日本では増税の声が高らかに上がり出しているが、コスト削減も無論だが、
寄付制度をもっと研究しては如何なものかと思っている。
寄付をすれば、所得税/相続税等が下がる枠組みを導入しては
如何であろうか。

消費税を論ずる前に、国家公務員/官僚の数を減らす算段をする事が、
何よりも真っ先にする事と思っている。

 
新年早々、またカンボジアと国境問題で騒動が持ち上がった。
黄色組系の7名のタイ人が、不法にカンボジアに入国し、また禁止区域と
なっているカンボジアの軍の施設内に侵入したとして逮捕されたのである。
 
新聞報道では55m、カンボジア領に入ったとの事であるが、
当人達は気が付かなかったと弁明している。
この7名の中には、黄色組の幹部であり、現与党、民主党の議員も入って
いるので大きく報道されている。
 
またこの国会議員は”今自分はカンボジア領にいる”との会話を携帯電話を
通じ行っている事も判明、気が付かなかったとの言い訳は難しいとの見方もある。
 
彼等は、ある村の国境問題に抗議する目的が従来よりあった様で、
カンボジア側よりすると”また来たのか!”の感が強く、今回は逮捕に
踏み切ったが、カンボジア司法の対応に注目が集まっている。
 
その後、内2名には、カンボジアの軍事機密情報を持ち出そうとした、
スパイ容疑があると発表された。
5名に付いては有罪で禁固刑が言い渡されたが、執行猶予が付き、
帰国が認められた。
 
刑務所内は過酷な様相で、虱、マラリヤ等に悩まされ、これを避ける為、
髪の毛を剃った状態で帰国した。
残りの2名は更に抑留されている。
 
昨年5月の騒乱で、死亡した91名の人々を偲び、且つ逮捕されている
同志の釈放を求める集会として、3万人規模の赤シャツ派が市の
中心部で気勢を上げた。
 
政府に抗議することを、更に定期的に行うとも発表している。
騒動は無く、結構な事ではあるが、お蔭で数時間、市中の交通が麻痺する
ことに懸念を感じている。
一方、周辺の商店経営者やその従業員約2,000名が、この一等地での
集会を止めさせる様、政府に抗議の書面を提出した。
 
赤組のリーダーは、この場所で多数の犠牲者が出ているので理解を示して
欲しいとコメントしたが、他方、違う場所での開催に付き話し合う準備は
あるともコメントした。
政府は国民の協調を呼びかけているが、やはり総選挙を実施する以外
道は無い様である。
 
 
困った事に黄色組も忘れられてはならじと、アピシット政権のカンボジアに
対する対応が手緩いとデモを再開した。

週末は赤と黄色の集会が今後も行われる事が懸念され、それが観光業や
経済に及ぼす影響を心配する声も出だしている。
折角、日本民主党の無策より、絶好調となったタイ、平穏を保って欲しいと
念じている。
 
例年の事であるが、最低賃金の引き上げが決まった。
インフレ率が3~4%に対し、平均6.7%の大幅な率で決定した。
特に中小企業の経営者よりは強い反発の狼煙が上がったが、総選挙を控え、
どうしても低所得者層の支持が必要な現与党としては、この程度のバラマキは
必要と考えた様である。
 
NHKのニュースを見ていると、大手商社は新入社員には中国語をマスター
する事を義務付ける様な報道が為され、ここまで来たかと驚きを感じていたが、
当地に於いて、3件の大きな中国とのJ/Vによるプロジェクトが報道された。

中国製品を世界に輸出する大型配送センター、大型のショッピングモール、
車のタイヤの製造並びに輸出等であるが、遂にタイまでもその資金が流入して
来る様になったかとある種の危機感を感じている。
中国とは仲良くしたい、しかし一線は画したいと言っていた原則も、大金の前には
消え去るのかと今後のタイ-中国関係を憂慮している。
 
昨年7月より、日本よりタイへ進出する企業が衰えを感じさせず増加と報告したが、
今般入手の日本の有名雑誌によると、それは法人税の優遇策、FTAの締結に
大きく依存しており、逆に言うと、日本の無策の裏返しと酷評された。
 
円高対策の遅れも影響し、更に日本脱出計画が増加しそうな事に、故郷を思い、
憂慮している。
民主党の最大の優先課題は、この日本脱出を阻止する施策では無いかと
思うのだが如何なものであろうか。
 
歳入に匹敵する異常な国債の発行をまたもや断行しようとしている民主党に、
強い懸念を感じているが、やはり日本国債の格付け引き下げが発表された。
来るべきものが遂に来たかとの強い懸念を感じていたら、菅首相はこの件には
疎いと発言した。
 
何たる感度の低さか、唖然とした。
格付けが下がると、次なる展開はどうなって行くのかを全く考えていない、
予測していない首相を我々は選任しているのである。
こんな不幸な国は無い。
 
企業経営に命を掛けている人々が逃げ出す気持ちが更にわかる、
悲しむべき現状と憂いている。
 
タイの格安航空会社PCエアがニューハーフの客室乗務員を3名採用した事が
話題となっている。
女性としての教育をして任務に着かせるとの事、今後の反応に注目してみたい。