M&A月報 No.162号 「国王陛下のお元気なお姿と民主党に対する憲法裁無罪判決」


1ヶ月の休みを頂き、バンコクに戻ってみると、奄美で起こったと同様、
猛烈な雨がタイ南部のハジャイでも降っていた。
現状では、ハジャイの被害総額は500億バーツ、約1,500億円と
報道されている。約200人以上が死亡、780万人が被災した。

一時は、チャオプラヤ川が氾濫し、バンコクが水浸しになるのでは
無いかと懸念されたが、山田長政で有名なアユタヤ地域を人為的に
洪水とし、バンコクを救う対策を実施した。
当然の事ながら、アユタヤ地区の住民よりは大きな非難の声が上がっている。
 
日本では10月末というのに震え上がる様な低温であったり、季節外れの
台風が来たり、猛暑より秋が無く冬に突入の感、タイ南部でも未曾有の水害、
不安定な気象状況に、特に食料に付いての不安を感じている。
 
久々にお元気そうな国王のお写真が新聞に出た。
病院でアピシット首相とお二人で会談のご様子であるが、お側には愛犬が
寝そべっている写真である。

内容は、最近の甚大な水害の被害を大変憂慮され、首相に対策を具体的に
立案する事を命じられた様である。
北東部を洪水にして、今回はバンコクは辛うじて救われたが、これを繰り返さ
せない様な対策を討議されたようである。
 
私見ではあるが、多くの大きな湖を作る以外、対応策は無い様に感じている。
ご入院中ではあるが、愛犬とお元気なお姿を拝見し、12月5日のお誕生日には、
また恒例のスピーチを拝聴出来る事を念じている。
 
国王のお名前が付いた2本の大橋が開通した。
盛大なセレモニーに国王が王女様を伴われお元気なお姿で出席された。
王家のボートよりのご観戦であったが、盛大に花火も打ち上げられ、さながら
絵巻を見ている様な美しさであったが、何よりも、国王のお元気なお姿を拝見し、
民衆よりは大きな歓声が上がっていた。
 
現与党、民主党が助成金の不正な流用並びに違法な企業献金を受けたとの
嫌疑で、憲法裁で審議が行われていたが、今般、無罪判決が出た。

これでアピシット政権は崩壊の危機を免れ、彼のほっとした顔が新聞紙上他で
報道されたが、我々も安堵の感を抱いている。
しかし赤組をこれを不満と感じており、またデモ等を展開する可能性は出て来た。
タイも来年の早い時期には総選挙を実施し、民意を問う事になるし、
そうするべきと思っている。
 
どこにいるのか?と良く質問を受けるタクシン氏がノルウェーに居る事が判明した。
親/反タクシン氏の関係者と個人的繋がりを持っているサナン副首相が
同氏をノルウェーに訪問したのである。
 
タクシン氏はサナン氏の和解案に賛同し、同氏が帰国を望んでいるともコメントした。
詳細は不明だし、恩赦の件も触れられておらず、具体化には数多くの問題が
残っていると感じるが、タクシン氏が面談に応じた事は、かなり同氏が望郷の念に
駆られている事が安易に想像できる。
 
今年5月の騒動で死亡した人々を追悼する意味も含め、赤組が19日、
また市内で集会を開催した。
数千人規模の集会であったが、短時間であり、大きな混乱は無く終了した。
資金も余り潤沢では無いようであるし、バンコク市民の共感も得る事が出来ず、
盛り上がりに欠けていたと感じるが、平穏であった事で安堵もしている。
 
日本にそのリーダーとなってくれる事を期待していたアセアン10カ国であるが、
昨今の日本のドタバタ劇に失望を感じたのか、アピシット首相が
Asean Economic Community(AEC)を召集、リーダーシップを発揮しだした。
2015年には7億人規模となるし、相互に関税の撤廃を図り、対中国戦略を
考えるものと思う。
 
ユーロの様な共通通貨の採用も議題になっているが、多くの難問を抱えて
いる事は歪めない。
しかし、折角、アセアン各国は日本に期待してくれているのに、全く関心を
示さない日本、大変歯がゆい思いがしている。
中長期の日本の国際戦略は如何なものなのか、国内外に示してくれる事を
念じている。
 
アジア大会で、タイの女性4名が400mリレーで、日本を僅差で抑え金メダルを
獲得し、大きな話題となった。
日本にとっては残念な事であるが、タイに取っては喜ばしい事であった。
 
米国の中間選挙でオバマ民主党が敗北したり、タイガー・ウッズが世界No.1の
地位より転落したりとのニュースが駆け巡っているが、一番の心配は日本の
政治の低迷振りである。
 
アメリカの評論家が、日本の政治家は世界を見ていないと評した。
考えてみると、タイの首相や大臣になる連中は、ほとんどが学生時代を海外で
過ごしている連中である。
したがって、海外のメディアに対しても、ほとんどが英語で対応している。
 
日本の首相、大臣で、もしくは国会議員で、海外生活を経験した御仁が
何人おられるのであろうか。
このあたりよりも、日本の政治が井の中の蛙調になっているのではないかと
危惧の念を抱く。
 
アメリカに尻尾を振れば、全て解決の時代は終わったと認識すべきであろう。
世界で真の友人になり得るのは、どの国かを今一度考えるべき時代に
来たと思っている。
 
頼りに成るのは中国、北朝鮮を除く、黄色人種と思っている。
東京で、以前ロンドンで共に働いた異業種の諸兄と会食の機会があった。

種々の話題で盛り上がったが、これ等海外勤務経験者の統一見解は、
“今や日本は核保有国になると世界に宣言するべき”であった。
それほど、今の政権を海外より見ていると腰抜けに見える。
 
首相が記者団を前に“首相官邸は情報過疎地帯”と嘆きを披露し、
さらに“皆さんより情報や意見を遠慮なく私の所に寄せて欲しい”とコメントした。
空いた口が塞がらぬ。
 
こんな御仁や政党に我が祖国を託してよいものかと憂慮すると共に、
これに替わってやって欲しいと思う政党や首相候補が見当たらぬ事も
我が祖国の不幸と感じている。

この現象は我々には幸いであるが、ただ黙って日本よりタイへの移転を
加速する企業が増加する傾向は、残念ながら今後も継続しそうである。
 
 
最近の日本に感じる事:
 
 
1. 事業仕分けも結構であるが、歳入約40兆円のみで予算を組むと
どうなるかを国民に示すべきではないか。
 
2. 一般国民であると、私財より4億円を出し土地を買ったら、税務署より
その資金に付き執拗な調査を受けると思うのだが、政治家であれば
その追求が成されないのはどうしてであろうか。
どうして4億円を貯め得たのか説明を聞きたいと思うのだが。
 
3.巡視船と中国の漁船の衝突でビデオの流出が問題となり、その犯人
探しにやっきになっていたが、国民には知る権利があり、
むしろ犯人なる人物に拍手を送りたいと思っている人々が多くいるのでは、
と感じているが、如何であろうか。
 
4.また、いじめで幼い女生徒が自殺した。
父兄マスコミは一斉に学校の関係者を非難しているが、その両親には
全く自分の子育てに関しての反省が無いように感じられ、全く学校に
頼りきっている。
こんな事では危険性のある部分の医者になる人が減るように、
優秀な先生希望者が減るのでは無いかと危惧を持つ。   

 
隣国ミャンマーで総選挙が行われたが、タイとの国境近くで、
少数民族カレン族の武装組織とミヤンマー軍が交戦した。
この際、ミヤンマーより砲弾がタイ側にも飛来し、タイ人にも怪我人が出た。
カレン族約2万人以上がタイに逃亡して来た。
 
アピシット首相は、人道的に、逃亡して来たミャンマー人は保護するが、
内政に干渉する事はしないとコメントを発表した。
またタイ国軍はミャンマーに向けての発砲は禁止した。
冷静な対応が効を奏したのか、事態は沈静化の方向に向かい、
人々をほっとさせている。
 
また、懸案であったスー・チーさんが解放された。
各国のミャンマー戦略がこれから展開されると思うが、中国の援助、
進出振りには目を見張るものがあり、既に後手に回っている日本の
対応に不安と危惧を持つ。
 
私事で恐縮であるが、今般日本で相続の手続きをした。
わずかづつであるが、7箇所の銀行/信託との手続きが必要となった。
知り合いの業者さんは、1箇所5万円で引き受けるという。
高いと感じたので自分でやってみる事にした。
信託では、何件でも105万円という。

やってみて驚いた。
明治時代と何も変わっていない感じを受ける。
すなわち、被相続者(今回は100歳)の生まれてからの戸籍謄本がいる。
申請書は全て直筆で記入。
その間担当はこれを見ている。
全て、少しの訂正にも実印がいる。
各人の戸籍謄本、分割協議書等全てコピーを取る。
各所これに約1時間がかかる。

一式全てを揃え確認すると、後は専門の所に委託している。
銀行業務ではインターネットを活用しているのに、相続では一切活用無し。
高額の事務所費用を払っている場所で、高サラリーの女性担当者が
約2~3時間付き合ってくれる高コスト、誰もこの業務改善提案には興味が無い。
 
隣に85歳の老人が来た。
連れ添いが死んだ。
400万円ある。
通帳と印鑑を持って遠路来た。
自分の口座に入れてくれ。

死んだの一言でこれは不可。
相続手続きを説明するも老人は全く理解出来ない。
子供がいるから貴方の取り分は200万円。
信託に依頼すれば105万円必要。
老人は絶句。
 
高齢化が進み、認知症、寝たきり老人等が増えると、この業務の簡素化を
考えねば、業者が乱立しかねない現象と感じた。
 
株が1,000株見つかった。
相続。
下名には証券会社の口座が無い。
住民票が無いと作って貰えない。
妻は持っているのでそこへ移して欲しいと頼むも、出来ません。
転入し、住民票を取り、印鑑証明を取り直し、手続き完了後、再度転出届けを出せ。
海外で働いて居る者の相続等は何も考えていないんだと憤慨する。
 
因みに、タイではどうかと聞いてみた。
相続税が無い事もあり、全く簡単だという。
日本とは海外で働いている邦人の事は頭に無く、業務の簡素化等は
全く考えていない。

高齢化の進む今、手続きを簡素化せねば、自分で手続きが出来ない人々が
増加する事を危惧する。
この点では、日本は偉大な後進国と感じた。