M&A月報 No.154号 「赤組、遂に最後の聖戦的大規模デモ戦線へ!?」  

 
 
3月11日より予定されていた赤組の大ラリーに関連し、
アピシット首相は予定していた、豪州、NZの訪問を中止した。
さらに国王陛下に面談し、状況説明をしている写真が公開された。

真剣な眼差しで、首相の説明を聞いておられるお姿であるが、
その前には愛犬が寝そべっている微笑ましい写真でもある。
日本ではとてもお目に掛かれぬ写真と感銘を受けて眺めた。

赤組のリーダーは100万人を動員して見せると豪語、一方、
有識者は10~20万人と予測した大デモンストレーションであったが、
結果は大山鳴動してねずみ一匹の感となった。

デモ参加者には300バーツの日当か3日間1000バーツの支給と
言われたが、女中さん達等がバンコク市内で駆けつけて見ると、
食事のみと言った様相で、日当は貰えず、今回はやはり、かなりの
資金難に遭遇した様にも感じられた。

軍隊が5万人規模で待機した事もあったのか、郊外での集会は
行われたが、市内は一部地域のみを除いて、全く平穏であった。
この一部地域のみを撮影し、アナウンサーは絶叫した映像が
流されるNHKのTVニュースには全くの違和感を感じる。

クーデターの時にも記したが、そこより2Km離れた市内のゴルフ場は
タイ人で活況を呈し、終日、彼等は和やかにゴルフを楽しんでいる。
何故ここも併せ取材しないのか、大きな疑問を感じる。

全くマスコミの報道とは一方的なものなのだな、と、またまた痛切に感じた。
お蔭で最大の被害者はホテル等の観光事業者となった。

日本であれば、昼間のワイドショーを含め、ほぼ終日TV番組が
組まれるであろうと思われる事件であるが、当地では、どのチャンネルを
回しても、僅かな報道しかなく、こちらも逆に驚かされる。
 
資金難、デモ隊の皆さんの高齢化、猛暑、確たるリーダー不在等で、
14日には10万人居たものが、15日には25,000人、16日には
15,000人と激減していった。

各地方ごとにボスがおり、彼等が纏めて資金を受け取り、自分の
配下に分配しているようであるが、資金不足、ボスの横領等が
あるようで、参加者の貰える額が様々で不公平感が漂い、これが
動員数激減に拍車を掛けたようである。
 
リーダー同士の仲間割れも起こり、残ったのは過激派、次なる
戦略として、世界でも例を見ない、各人が10Ccづつの献血をし、
これを主要な場所の門扉とか道路にばら撒く行動に出た。

しかし何の血であるかも定かでは無かった。
100万人×10Ccと狼煙を上げたが、器具は?医師は?看護士は?
衛生面は?等々の疑問も噴出、多くの人々の賛同は得られなかった。
数箇所で爆弾の破裂も報告されているが、赤組の仕業か否かは
不明瞭で、且つ大した被害は出なかった。
 
17日デモ隊は首相宅に押しかけた。
その門前に血をばら撒き、気勢を上げたが、効果があった様には思えない。

家に帰る事も出来ず、政府庁舎に行く事も出来ず、陸軍のバラックに
住むか、郊外に逃げるしかなく、ヘリコプターでしか移動手段の無い
首相等は世界に存在せぬと皮肉を込めたメッセージを流したが、
アピシット首相は全く意に介さない素振りであった。
 
今回の騒動で間違いなく下がると言われていた株価が、予想に反して
上昇した。これが世界がタイを見ている目なのであろうか。
嬉しくも感じるが、他の世界がこのタイ以上に疲弊しているのかも
知れぬと感じる。
 
20、21日の週末は、再度体制を建て直し、5~6万人規模で市内の
限られた道を封鎖したり、デモ行進を行った。
案じられた暴力的な行動は無く、一部地域のみでの交通渋滞の
問題だけであった。
 
27、28日も集会が持たれたが、一部地域のみで、衝突も無く
平穏なものであった。
 
そして、画期的な事であるが、首相と赤組代表との会談が持たれた。
一方的に喋っているのが赤組で、首相は聞き役との感であったが、
内容は、想像の通り平行線であった。

翌日、早速2回目の会談が行われたが、1回目同様、議論は平行線
を辿り、合意点を見い出せないまま赤組は首相が提案した3回目の
会談を拒否。
赤組が要求した15日以内の下院解散について同意が得られなかっ
たためとしており、「交渉は完全に失敗。もう話し合いは行わない。
すべては終わった」との声明を出した。

当初は大変結構な進展と感じたが、早々の交渉決裂に、
赤組の抗議活動はさらに長期化しそうな様相を呈してきた。
 
未だに、最も首相になって欲しい人物として登場する、
アナン元首相が遂に口を開いた。
”タクシン氏は確かに魅力的な男性である。
しかし、何としても過去の地位を取り戻したいとする余り、
今回は戦略を誤っている。

タイ人は、刑を逃れる為に国外に逃亡している人物、不正直な人物、
性格的に欠陥のある人物と見ている。
海外よりは、抗議活動を扇動する人物と見られている。
これでは赤組の勝利は無い。

当初は、タイに真の民主主義を定着させる人物として期
待を込めて
見守っていたが、余りにも自己の利益に固執し過ぎた。

また、今、彼を支援している大物連中も国民より信用されていない。
タクシン氏が権力を取り戻す機会はほぼ無い”
 
とコメントした。
簡潔、且つ明瞭、さすがと感じる。
 
タイ北部やカンボジア、ラオスを流れるメコン川で、水位が大幅に下がり、
旱魃の被害が報告されている。
上流の中国で発電所の為のダムが建設されてから、定常的に乾期に
水不足が発生しているとから、これら各国の住民は、中国にダムの
水位の情報公開を迫っている。
中国の出方に注目が集まっている。
 
政治ショーの為、日本には多くの空港が出来た。
JALもその被害者の一人かも知れぬ。
羽田-成田の問題も良く記事に出る。
関西三空港も話題となっている。

この問題となると、何故か統制、規制が飛び出して来る。
何故他の国のようにほって置けないのであろうか。
コストの高い人々が時間を浪費して議論するのでは無く、利用者と
航空会社に任せればどうなるのであろうか。

自ずと閉鎖に追い込まれる空港は、はっきりと出てくると思うし、
膨大な経費をかけて、机上の空論を論ずるより手っ取り早いと
思うのだが、如何なものであろうか。

茨城空港のオープニングもTVで見た。
しかし日に一便と言う。
PAYする訳が無い無駄使いとこれまた感じた。

日経にトーマス・シーファー前駐日米大使のインタビュー記事が出た。
”大多数の米国民は普天間問題など知りもしない。
日本は政権交代の対応に不慣れ。
どんな結論ではなく、結論を出さないのでは、が心配。
日本は米中いずれかを選ぶなどとは考えるべきで無い。
同盟とは庭いじりの様なもので、普段の手入れが必要”

共感する点が多いので列挙してみた。
日本の外務省はタイの外交術を学んでみては如何であろうか。
 
昨年、「トラスト・ミー」で始まり、5月には「自分が決めます」と、
自信満々で大見得を切った首相であったので、世間をあっと言わせる、
よほどの隠しゴマをお持ちなのかと期待を持って推移を見守って来たが、
昨今の分散案では問題を広げるだけの感もあるし、首相の独自案が
全く出て来ない所に失望を感じている。

しかし、普天間以上に自給自足、自国の安全は自分で守る、
こういった点に付いての議論をもっと聞きたいものと思っている。