M&A月報No.87 「石油価格高騰の懸念とバンコク都知事選挙 」

 

1リッター16バーツ程度と記憶していたガソリン代が、あれよあれよという
間に高騰、遂に22バーツを突破した。

この石油価格の高騰が、7ヶ月連続で消費者心理の冷え込みをもたらして
おり、不良債権問題の再発懸念と併せ、景気に及ぼす影響が憂慮される
状況となって来た。

これにより、消費者心理として、不動産、株等の整理、売却に走る事が
考えられる。又、タイ固有の問題として、1月より騒がれている、南部での
イスラム教住人との摩擦も未だに解決の糸口が見つかっていない事が、
さらなる不安材料となっている。

一方、明るい材料としては、輸出の好調、タイ政府の努力で金利の上昇に
歯止めを掛けていることが上げられている。年末までの最大の懸念材料は
やはり石油価格の動向であり、現在の傾向が続くと、好調な車の売れ行き
にも心配が出てくる。

現在の予測されている経済成長率6から6.5%やインフレ率2.5から3%は、
石油価格が1バレル40から45ドルの想定であり、これが45から50ドルに
なると、経済成長率は6.5から6%に下がり、インフレ率は3から3.5%に
上がると予測されている。

対策として、高速道路での120KMのスピード制限を80KMに落としたり、
深夜以降のTV放送、ガソリンスタンドの営業禁止、小売業の時間短縮等が
打ち出されて来ている。

更に60ドルにまで高騰すると、タイにとっては重要な観光産業にも甚大なる
影響を及ぼすことが推測されている。
今後少しは交通渋滞の問題が緩和されるかも知れぬが、既に株価の下落は
かなりのスピードで進み出しており、次には乱立気味のアパートの価格下落、
さらには不良債権問題への発展が懸念され、折角好調なタイ経済に暗雲を
もたらす嫌な展開となって来た。

8月12日はシリキット王妃の72歳の誕生日であった。
タイでは12の倍数の誕生日は特に重要視され、盛大に祝賀式典が開催
された。王妃よりは

「タイ国民は、愛、思いやり、共鳴、個性等によって過去の難局を切り抜け
て来た。今後も平和で幸福な国であり続ける為にはこの国民性を忘れては
ならぬ」

とコメントされ、今回の1000以上の慈善事業に多くの人々より寄せられた
寄付に付き謝辞が述べられた。

4年に一回のBKK都知事選が行われた。20名を越える人々が立候補した。
62.5%という高い投票率で、BKK市民の関心の高さが証明された選挙で
あった。下馬評通り、43歳の若手エリートで野党の民主党が推すAPIRAK氏が、
2位のタクシン首相が推す女性候補PAVENA氏の獲得数32万票を大きく
上回る50万票獲得で圧勝した。

地方では圧倒的人気のあるタクシン首相であるが、都市部での敗退は、
如何に人々が彼の国を私物化しつつある現状に不満を持っているかを
証明する結果であった。

年初に警察の不正を暴露し物議を醸し出した特殊浴場王も立候補し、
世直しが出来るのは、裏の裏をを知り尽くしている自分が最も適任と、
分かりやすい言葉で述べたのが受け、3位の18万票を獲得したのも
驚きであった。

独断と偏見、他人の言う事は聞かぬ事が通説となりつつある、タクシン首相
だけに、今般行われた警察庁長官の人事も、年功序列を排し、彼の縁者を
起用する事が囁かれていたが、大方の予想を裏切り、No.2のKOWIT氏が
順当に指名された。

警察内部の軋轢を排除する為にも、多くの関係者より安堵と賛同のコメントが
なされている。しかし、彼の任期は1年のみの密約もありとの観測もあり、
今後に注目する必要がある。

辛口な論評で有名な首相顧問の元BKK知事のチャムロン氏は、”首都圏に
おいては、首相の政策や親族の経営する企業への優遇を嫌い、人気は
下降傾向にあり”との注意を喚起し、もし首相が行動を改めねば、2年後には
92年の時と同じ様な騒動が持ち上がるであろうと、不気味な警鐘を鳴らした。

92年の流血事件を、BKK知事として直接指揮をした同氏の発言だけに
不気味である。後世に名宰相と言われる様に、同氏の発言に耳を傾けて
欲しいものである。

4から5の商業銀行が14社の民間企業に出資し、その一部がこれら企業の
経営者(政治家)に個人的に流れたとして、中銀が調査を開始した為か、
評判の良い、プリディヤトーン中銀総裁をタクシン首相は解任しようとして
いると報じられた。

プリディヤトーン氏は、自分は良い仕事をしており辞任する意向の無いことを
早々と表明した。タクシン首相も同氏の職務を評価しており、更迭の意思の
無い事を表明した。

ソムキット財務相は、株価変動を画策する人物の作り話であり、早急に
犯人探しを行うとコメントした。これが誤報でなければ由々しき事態と
思ったが、当事者の素早い動きで沈静化した事は喜ばしいことであった。

海外在住のタイ人有志が、タクシン首相の一部関係者への利益誘導を嫌い、
10億バーツの資金を集め、野党の民主党に選挙資金として提供した。
更に、1億6000万バーツで英国系の宣伝広告会社に、民主党のイメージUPを
図る広告活動を依頼した。
タクシン首相は暴走、傲慢を慎み、石油価格高騰の難局を上手い舵取りで
乗り切って欲しいものである。

内助の功をPRしたいのか、首相夫人が、王妃誕生記念で恩赦を受けた
2909人の帰省の費用として100万バーツを寄付した。
少々やり過ぎではないであろうか。

“日本留学フェアー in バンコク”なるタイトルで1日間のフェアーが行われた。
参加したのは、BKK在の大学が自校の日本語学科のPR、日本でのタイ人
受け入れ校、BKK在の日本語を教える語学学校、日本語堪能な人材の
日系企業への人材紹介会社等であった。

会場では大型スクリーンを採用したカラオケ大会も盛大に行われていたが、
当日は5000人程度の参加者があった。
予想を大きく上回る参加者であり、日本語を勉強して、日系企業に就職を
目論むタイ人が非常に多い事が実感出来た。