M&A月報No.85 「”続”リバプール買収騒動とサッカー欧州選手権」

 

筆者の周りにいる運転手さん、女中さんから経営者に至るまで、ほぼ全員が
購入すると言った、驚くべきリバプール株取得の為の宝くじであるが、この程、
某大学が行った世論調査によると、回答者の73,8%が反対との結果が出たと
発表された。

約一ヶ月前の調査に比し、今回の変動も併せ発表された。
タイのスポーツ事情が改善するとは思わない :21%から48%へ
若者を麻薬から遠ざける事に役立つ :63%から37%へ
ギャンブルを助長させる :58%から75%へ。
タクシン首相が個人的に投資すべき :70%。
考え直すべき :53%。
首相は国家の問題に重点を置くべき :49%。

一方、1992年5月の流血事件で当時の首相に反発した、野党側のリーダー
であったチャムロン元バンコック知事が、書簡で首相に翻意を促した。
首相の政界入りに多いに影響を与えた重鎮からの諫言もあり、首相は

“チャムロン氏の批判は受け止めなくてはならない、又、世論の批判も
承知している”

として、同案を廃案とすると発表した。
筆者の周囲の人々の落胆は大きいし、大学のアンケート結果と大きく違う
点に疑問を感じる。

これに反省の色は無く、タクシン首相はフォルクスワーゲンのブラジルに
在る、天然エネルギーを100%使用する自動車の製造会社の株を取得
すると言い出し、また議論を巻き起こしている。
首相なのか、タイ国株式会社の社長なのか、分からなくなって来た。
また、個人なのか国なのかもはっきりしない。

まさか宝くじを売り出し、その稼ぎでフォルクスワーゲンの株を買うことは
無いと思うが、今後の進展に注目してみたい。
自分は国のCEOになると言っていたが、面目躍如なるものがある。

併せ、このVWの技術をタイの公用車に導入し、近い将来、公用車は
ガソリンを使用しなくするとも発表した。
例えばこの様な事が実現すると、次には彼の経営する何れかの会社が
大いに潤う事に成ることが今までであり、インテリ層の大いなる反感を
買っている点でもある。

民間のシンクタンクが、タクシン首相一族が関与する上場企業の昨年度の
投資回収率は、軒並み上昇したと分析した。
首相一族が出資する企業の資産は昨年、3,160億バーツ増加したが、
内2,050億バーツは政治的つながりで拡大したと発表した。

又、昨年政府が導入した通信関連の税制は、新規参入者には不利に
なるもので、通信事業の改革は、首相一族の利益が増えるように進め
られていると批判した。
又、ひと悶着ありそうであるが、インテリ層の言いたい点を良く代弁して
いる分析発表と思う。

未だに国民の間に絶大なる人気あるアナン元首相も、セミナーで
“目下汚職が大変深刻化して来ている。それは資本家グループが政党を
支援している為、政策的汚職もある“と指摘した。

それに対し、首相は“株価は経済回復基調により回復し、政治とは無関係、
政策的汚職とはナンセンス”と反発した。
良い点も多いだけに、馬耳東風の首相の態度、何とか改善して欲しい
ものである。

タクシン首相が諦めたリバプールの株であるが、タイのエンタテーメント王と
いわれる、GMMグラミー社会長のパイブン氏が個人で購入すると発表した。
リバプールのユニフォームの販売権、タイの一品一村品のBRANDとしての
採用、アジアでの公式戦の開催権、サッカー学校の開設、サッカーリーグの
創設等にメリットを見い出している様である。
この先どうなるか注目してみたいが、タイ人のサッカー好き、博打好きを
あらためて認識させられた。

サッカー欧州選手権の影響で、TVの販売が25%も上昇し、又、サッカー
賭博を人々は楽しんでいる。
他所の国々の事なのに、まるで自国の様な騒ぎである。

胴元の一人が逮捕もされた。1億7000万バーツも稼いでいる様である。
煽りで通常の宝くじの販売が停滞し、一方、通常一日10万バーツの取り
扱いのある質屋が、100万バーツと10倍の規模になっている。
庶民の懐は大丈夫であろうか。
リバプール買収劇も分かる気がする。