M&A月報No.80 「国王年頭挨拶とタイ南部問題」

 

年頭に先立ち国王は国民にメッセージを送られた。

『 昨年10月に開催されたAPEC会議中は、国民が一致団結し、その成功に協力した。多くの不都合もあったと思うが、国を挙げての姿勢が諸外国の賓客に多いに
評価頂けたものと思う。良くやった。

次に良かった事は、ここ数年、タイの経済状況を案じて来たが、危機的状況は脱したと思う。数々の問題があったが、国民が一致協力した事が、今日の状況に至った最大の賜と思っている。今年も何が良いことかを考え、良い事をする年にして欲しい 』

自らPCで作成した、新年のカードを発表された。タイ国を取り巻く四方八方で爆弾が炸裂している図柄である。文面は『団結は力である。それが国を支える。』
とある。

タイには約5%イスラム系住人がいる。イラクに450人規模の軍隊を派遣しているが、安全な地域を選んでいるし、イスラム系の兵士も混ざっており、地域住民とも非常に上手く行っていると発表されていた。

しかしテロに合い、2名の兵士が殺害された。タクシン首相は怯むことなく、増兵を発表した。兵士の遺族には3Mバーツ(約9百万円)が支払われる。
又、首相個人からも補償金が出る様である。軍隊派遣反対の声が上がらぬのが、この国の団結であり、力なのであろうか。

未だ御屠蘇気分の抜け切らぬ4日と5日に、たて続きに、マレーシアとの国境線の南部で襲撃事件が発生した。この地域にはタイ在住イスラムの80%が住んでいる。彼等はマレー語を話し、タイ国よりの分離を望んでいるとも言われている。

この平和なタイにも宗教上の問題が存在するのか、今回の襲撃は彼等の犯行ではないかと見られている。
4日は学校18箇所、並びに警察の検問所3ヵ所に放火され、同時に軍の基地も襲撃され、兵士4名が殺害、多数のライフル銃が盗まれた。

5日はオートバイに仕掛けれた爆発物が爆発し、これを処理しようとしていた警官2名が死亡した。外務大臣は即マレーシアに飛び、前後策の打ち合わせに入った。

BKKより副首相、国防相並びに軍の将軍他が現地に飛び、調査、そして引き返しタクシン首相に報告したが、これにタクシン首相は激怒。”BKKに帰ってくる必要なし。現地に張り付き、7日以内に犯人逮捕と
武器の回収”を命じた。

首相は又、殺害された兵士について、「注意を怠っていたのだから、死亡も仕方ない」とコメントし、遺族他から非難の声が上がった。

手厚く迎えられたイラクでの戦死者との温度差が話題となっている。タイは安全という大方の見方を覆す事件であり、苛立ちが表面に表われている。

昨年はSARSによる大混乱が起こったが、今年は収まっており、やれやれと思っていたら、今度は鯉と鳥のインフルエンザ。鳥に付いてベトナムで被害が報告されたら、今度は日本。

タイでは10万羽近くが既に死んでいるらしいが、これはコレラ等他の要因と発表。首相以下閣僚は、鳥の料理を食べる所をマスコミにPRし、必死の防戦。しかし、一部関係者より、昨年12月より鳥インフルエンザであったとの告発もあり、遂に死者も発表、タクシン首相もこれを認めた。

首相曰く、「当初から疑ってはいたが、影響が大きいので、確証を得るまでは他の要因と発表してきた。しかし、タイは当所より、インフルエンザとしての対応はして来たので、30日以内には収束する」と述べ、又物議を醸している。

米国の牛のBSEを含め、我々は何を食べれば安全なのであろうか。日本では卵も半年前のものを昨日のもののように表示して売っている様子。菜食主義者が正しいのであろうか。鳥が不可となってもタイは安泰だが、日本の食料事情は本当に安泰なのであろうか。
問題提起の出来事である様に思う。

BOI(タイ投資委員会)の発表によると、2003年の投資の件数は1,026件で、対前年の788件に比べ30%の増となっている。投資規模も3,169億バーツで対前年の2,625億バーツに比し、21%の増。雇用数は18万1千人であった。

業種別では1位が電気・電子機器で693億バーツ、2位が自動車・機械部品で603億バーツ、3位が化学製品、紙、プラスチックで596億バーツであった。国別では日本が1位の312件であった。喜ばしい事である。

待望の地下鉄の試運転が始まった。4月13日より一般にも試乗可能とし、本格営業は8月12日のシリキット王妃の誕生日よりとなる予定である。ほぼ日本勢に決まっていたのに、独シーメンスの車両が走る写真を見るのは辛い事である。

有識者30人がチェンマイに集まり、非公開で、タクシン首相一族の資産が急増している事を論議した。
2002年には1,460億バーツであったものが、昨年は4,253億バーツ(約1兆3000億円)になったとの事である。

首相府は、タクシン首相の資産は事実にのっとり公開されており、何も問題はないと反論している。景気が良くなり、株価が上がった為であり、何も問題ないとはいうものの、株式市場の9%を独り占めしている訳でもあり、更に土地の買占め等も行われており、余りにも一人勝ちの様相が気になる所である。相続税ゼロの資産家天国のルールは当分無くなりそうには無い。