M&A月報No.69 「奇妙な事件」

 

奇妙な事件がカンボジアで発生した。

タイの人気女優でカンボジアでも人気を博している、スワナン嬢が

「カンボジアがタイのものであったアンコールワットを奪い去った。此れが
返還されぬ限り自分はカンボジアで公演する気は無い。」

と発言したと報じられたのである。
これにフン・セン首相が激怒し、タイのTV番組の放送を中止させた。

驚いたのはスワナン嬢で、“アンコールワットは訪問してみたい場所である”と言ったのみであると、涙ながらに記者会見を行ない釈明を行なった。

所が、カンボジア市民約1000名が暴徒化し、タイ大使館他を攻撃したのである。
大使は即、警察、国防省、外務省に救援の要請を行なったが、カンボジア当局の対応は至って悠長なものであった。結果、タイ大使館の勤務者は隣接の日本大使館に逃げ込んだ。

その後の調査によると、事前に可也大量のビラがプノンペン市内でばら撒かれたとの事であった。

更に、暴徒はタイの航空会社、ホテル、通信等の有名企業を襲い、投石、放火により多大の被害を与えた。

フン・セン首相はこれ程大事に成るとは思っていなかったとコメントし、遺憾の居を表明したが、昼間に事件が起こりながら、鎮圧部隊が出動したのが夕刻過ぎと、大きな遅れと成った事に疑惑が生じている。

7月の総選挙を睨み、野党が仕掛けた騒動とか、首相暗殺を企てたと見られるカンボジア人がタイで拘束されて居るが、その引渡しが遅れて居る事に端を発して
いる等の見方もあるが、タイ人女優の人気の高さに嫉妬した首相の発作的行動と見る人も居る。

タイ政府は即大型輸送機5機を飛ばし、カンボジア在の約600人の内ち500人をタイに連れ戻した。
又空軍を中心に軍隊を要所に配備し臨戦体制に入った。

タクシン首相は陣頭指揮、素早い対応を行ない、事件発生以来5時間で臨戦体制を整えた事は高く評価され、有事に頼りになる首相とのイメージを国民に与えた。

更に政府は国境閉鎖、特恵関税の取り消し、教育等への援助の中止等矢継ぎ早に対応策を発表した。

タイの被害総額は30億バーツと試算されその賠償交渉が始まった。

カンボジア側は無条件で全額賠償に応じると発表したが、その支払いに付いては、現金が無い為、各種税金や貿易の優遇策で返すと発言し、タイ側の猛反発に合い、これを撤回した。

タクシン首相の支持率を高めただけの事件であった様な気がする奇妙な騒動であった。


未だに国民の高い支持を得ている、アナン元首相の講演を聞く機会を得た。

-------------------------------------------------------

タイ―日本は共に皇室を戴き、文化等も非常に似通ったものがある。

日本は技術的に非常に進んでおり、タイに取って最も大きな投資をして
くれて居る国家である。

タイ日本商工会議所への参加企業数は世界一、日本人もアジア地区では
最大の人数が来て居る。

観光客も年間100万人は訪れ、皆タイは快適という。

1932年よりタイは民主国家を目指し、軍部出身者が首相を歴任して来たが、
立派な官僚集団がその方向を誤らぬ様常に努力して来た。

一方、日本は終戦後、外国軍人による憲法を押し付けられて来て居る。

これは敗戦の代償であるから仕方が無かったが、これを変える事は悪い事とは
思わない。

新しい事業も生まれる。

又、金権政治の完全な排除に努めるべきである。


(暗に日本は首相以下改革を叫びながら、半世紀以上前に外国人の元帥に押し
付けられた憲法を後生大事に守り、何の矛盾も感じていない様で、全く変え様と
しない。目下最大の問題の不良債権処理に付いても、政治献金をする企業を
大切に保護し、誰も疑問を呈していない。こんな事で国の改革が出来、栄光を
再び取り戻せると思って居るのであろうかとの問い掛けであったと感じる。)


主役は国民である事を忘れては成らない。

日本はもっと多くの事が東南アの国々と出来る事を理解すべきである。

(米国寄りより東南ア寄りに変わるべきとの意味であったと思う。)

-------------------------------------------------------

短時間ではあったが、日本を持ち上げ、外人より押し付けられた現憲法を変え様と
せぬ事を批判し、国民不在の政治、金権政治体質をも批判し、北米寄りより
東南ア寄りへの政策転換求める等、示唆に富んだ講演会であった。