M&A月報No.58 「資金洗浄取締事務局(AMLO)騒動」

 

乾季というのに雨が降り、GOLFのコンペが流れるという珍事が起こった。世界の異常気象が気に成る所である。

これも毎度の事であるが、学校が休みに成り、特に朝の交通量が激減し、交通渋滞が緩和されて居る。通学に自家用車を使う事を禁止する法案が提出されぬものかと又思う日々である。

連日の新聞紙上に聞き慣れぬ“Anti-Money
Laundering Office”通称「AMLO」日本語訳で”資金洗浄取締事務局“の文字が飛び交っている。

事の発端は、この月報でも取り上げたが、12月5日に行なわれた国王の演説である。名指しで、タクシン首相の傲慢を戒められた。各マスコミはこれを取り上げた。そのひとつにHKに本社がある“FAR EASTERN ECONOMIC REVIEW”がある。
ここの在タイ中の記者2人が、突然タイの秩序に脅威を与えた嫌疑で国外退去を警察当局より通告されたのである。

記事の内容は“12月5日国王はタクシン首相をしかり飛ばした。しかし一代で巨額の材を築いた彼は、皇太子ともBUSINESSで密接な関係にあり、これまた国王は不快に思って居られる。一方彼は圧倒的な数で議会をコントロールしている。この様な状態はタイの将来に暗雲を投げ掛けるものである。“との短い記事である。

同誌より謝罪分が寄せられ、且つ2人の記者の反省の弁も伝えられた為、この処分は撤回された。彼等に材料を提供したのは“NATION”と当局は疑っている節もある。

2月7日の“THE ECONOMIST”にも同様の記事が掲載された為、発売禁止処分にされた。

地元英字紙“NATION”の制作するラジオのNEWS番組が反政府的として放送禁止を命じられた。

ネウナーの編集長へのインタビューの生放送中、何らかの理由で放送が中断された。

UBC 8チャンネルで24時間放映しているNATION CHANNELでは抗議の意を込め、今後は政治に関する評論番組は放送せぬと表明した。

この様な騒動の最中、上記AMLOがマスコミ、ジャーナリスト、野党政治家等のオーナー、編集局長等の著名人の個人資産調査を銀行に命じて居る事が発覚した。
タクシン首相は自分も過去AMLOに調査された事があるが、今回の件は一切関与していないと述べるが、“政府機関による恫喝、恐るべき権力の乱用、独裁体制化の暗黒時代”等のタクシン批判が一斉に行なわれ出した。

このNEWSをマスコミ関係者に漏らした銀行関係者の犯人探しが躍起に成って行なわれ出した。NATIONの関係者よりは調査中止の申し立てが裁判所に行なわれた。
NGO関係者よりは言論の自由への威嚇であり、人権侵害に当たるとして同じく訴えを起こした。

首相が命じてないとすると誰が命じたのか、AMLOの責任者の独走かが争点と成って来ている。裁判所よりは調査の中止命令が出されたが、責任者のチャワリット副首相(元首相)よりこれに従う必要無しとの強い命令が発せられ混乱を深めたが、その後同氏はAMLOの委員長を辞任した。AMLOの最高幹部2人が独断でやった事と決めつけ、この2人の懲戒処分が報じられて居る。

各銀行よりは調査した結果、不正は無かったとの報告が出された。

タクシン首相より、“外国系メディアは国内のメディアより情報を得て報道している。タイのメディアは一方的に情報を流すのでは無く、国家に対する影響を良く考えて欲しい。国家の安定を確たるものにすべく団結して欲しい。メディアには言論の自由を与えている。今回の2人に対する処分は政府と無関係である。政府と意見を異にするメディアの人々に対しAMLOが銀行口座の調査を行なった事は知らなかった。”

この様なコメントを述べてはいるものの、HKの雑誌記事より端を発した事件が、言論の自由問題に飛び火し、個人のプライバシー侵害問題にまで波及、タクシン首相の傲慢振りが取り沙汰される所まで来て居る。
国王がこの遣り取りを如何なる思いで眺めて居られるのか、大いに興味を描き立たされる所である。