M&A月報No.57 「“The sadness of Japan”とタクシン首相動向」

 

2月16日のECONOMISTの表紙は能面が涙を流して居るもので、見出しは“The sadness of Japan”であった。

世界はアメリカ並びに欧州の景気が回復する事に期待を掛けて居るが、世界第二位の経済大国を誇る日本の回復には懐疑的である。
日本人は皆な肩を落として通勤し、打つ手が如何にも遅い。

小泉内閣に期待を持ったが、“Change the LDP,
change Japan!”とのスローガンも目下の所、色褪せて見える。
これ即ち改革路線の失敗である。

田中外相更迭依頼、支持率も急落している。最早最後の切り札“解散”以外、改革の遂行の道は残されてはいないのだろうか。痛みを伴う自己の関連分野での改革には、選挙民も消極的である。
病める日本を救う一つの特効薬は無い。

不良債権、為替、金融緩和、銀行の整理、構造改革、民営化等々の各種対策をを一年以内に実行し、逸早く“製造の日本”の面目を取り戻す事が肝要であろう。

痛みも無論伴うが、これらを実施しなければ、坂を転がり落ちている日本を止める手段は無いであろう。
解散、総選挙そして旧い体質の政治家を排除し、石原都知事のような首相出現が望まれるのであろうか。
BUSH大統領も悪の枢軸を支援する日本には感謝するものの、世界経済のお荷物とも思い出している節もある。

一方、タイ国のタクシン首相も取り上げられた。タクシン首相の率いる愛国党はその後更に他党を合併し、500議席中の289議席に達した。近々350議席に到達する見込みである。

一党でこれだけの議席を確保した事は過去に無く、目下のタクシン首相は自由を謳歌している。そして世界にタイの政治は長期的に安定であると、得意げにメッセージを発信している。

彼は麻薬撲滅、教育システムの改善、農民の債務の救済、一村一品運動の展開、30バーツの医療費制度の導入等を公約に掲げ当選した。これらを指示したのは、貧困層とか地方の農家の人々であった。
しかし彼等の満足感は長くは続かなかった。

医療費の削減により医療の水準は下がり、農民も他の諸国と比較して満足感が得られず、麻薬戦争も成果が無く、教育大臣も職務に自信が持てぬと辞任し、更なるばら撒きを思い付けぬ状況にある。

タクシン首相は硬軟の使い分けに入った。
即ち、自給自足を促進し、外国の干渉を排除する方向に向かい、各官庁の外国籍コンサルタント会社起用の禁止、通信事業分野の25%以上の外資の株保有の禁止等を打ち出すと共に、一方においてはNYに飛び、米国CAPITALに接近し、彼等に特別な税の恩典も提案した。

一代で巨額の資産を築いたタクシン首相であるが、それら資産を妻とか子息に相続させ、個人の利益追及には最早無縁とPRに努めているが、彼の影響下にある広告会社、通信会社の関連になると、やはり彼の存在を意識しなければ成らないと政治家達は告白している。

又、閣僚の妻が経営する会社が政府案件に入札する事を禁じている、現憲法を改定しようとの動きもある。
彼に逆らうマスメディアを締め付ける事も話題と成って居る。

しかしこれら諸々の事があっても、目下の彼を引きずり降ろす対抗勢力は見出せない。ただ唯一この国ではタクシン首相が影響力を発揮出来ぬ御仁が存在する。

昨年12月5日プミポン国王は自己の誕生日にTVを前に演説し、ベールに包んだ遠回しの言い方ではあったが、二刀使いで民衆の意見を聞かぬ首相は国を滅ぼすと、同首相をしかりつけた。婉曲な言い回しではあったが、厳しい言葉であったし、影響力は絶大であったと思われる。この国王は深い畏敬の念で国民に慕われて居る。

この様な国王も持たず、かって経済大国を誇った日本ではあるが、今や世界のお荷物に成って来たのではないか?悲しい事である。

今こそ日本国民一人一人が世界の中に置かれた日本の状況を良く把握し、自分達の将来を託せる国のリーダーを選ぶ事が最重要と痛切に感じる。

タイの携帯電話市場は戦国時代に突入する様相である。現在は下記2社が市場を二分している。
AIS:タクシン首相一族が経営。加入者400万人。
DTAC:加入者250万人。

これに割って入ろうとするのがTAオレンジ(TAO)
株主はCP, TA, 欧州オレンジSA
TAO GSM1800MHz
TOT 1900MHz
CAT CDMA800
現在の普及率12%。
特にTAOはモトローラ、アルカテルと通信網を構築。
その豊富な資金力で110万人まで可と表明しており、今年末には200万人を目指している。

これ等に加えTAの行なうPCT(PHS)も音質の良さを売り物に100万人を発表している。