M&A月報No.55 「国王スピーチ2001」

 

毎年12月には大変楽しみな行事がある。
それは12月5日の国王の誕生日に、王様が国民に延々とスピーチをするのであるが、その内容が他の国ではとても考えられぬ面白さがあるのである。

昨年は首相並びに野党第一党の党首(元首相)に対し“子犬(当国では犬とは軽蔑の意味が込められて居る)がじゃれ合うように喧嘩をしている様では国は良く成らぬ”と諭された。

今年はと注目していると概略下記の様なスピーチを首相を筆頭に数百人の人々並びに全チャンネル同時放送のTVの前で行なった。

“現在のタイ国は困難な諸問題に前向きに取り組むのでは無く、寧ろ後退している。”と首相の姿勢に遠回しではあるが批判を述べ、首相の傲慢な態度や異なる意見を述べる者を軽視する態度は国を破滅に導くとまで言い切った。

更に国王は“タクシン首相はこの様な私の話を聞く事は不幸せと思うであろう。今私は彼の顔が歪んだのを見た。彼は何時も自分は幸せ者だと言って居るから、非常に不満であろう。多分彼はうわべでは幸せを取り繕って居るが、内心では不幸せなのであろう。彼自身何もこの苦境に対処する案を持っていないのでは無いか。何故なら何も改善の方向に向かっていない。多くの国民は我が国は悪い方向に向かっていると思っており、明るい将来に向かっているとは思っていない。何もかもが更に悪く成って行っている。

国王はこのスピーチの中で何度も繰り返して“首相の傲慢と政治家同志の誹謗の仕合が2つの方向を生み出している。”と言及。

“全ての国民は共に手を携え“旧いしきたり”であるお互い協調してこの困難に対処すべきである“と述べられた。

“多くの人々が共に仕事をしようとすれば、当然異なる意見が出て来るのは当たり前である。協調と相互理解の姿勢が困難を解決する。”

車両を改造し各地方で内閣のブレンストーミングをMOBILE MEETINGと称してタクシン首相は行なったが、国王は“閣僚がお互い意見交換する事は望ましい事”としながらも、“遊びに成っていないか”と警告した。

その後も幾度も“わが国は現在二重路線を走っている”と不満を述べられ、“これをいち早く直さねばタイは泥沼に突入する”と懸念を述べられた。

“政治家が一枚岩で無い現状は、国民を惑わすのみである。”
“もっと素直に成り、一致団結し、この難局に当たるべきである。”
“政治家の一致協力が無ければ国の改善はあり得ない。”

バンコク知事が提唱した野良犬の避妊手術には同意を示され、自分も今40匹の野良犬を引き取っているが、人々が同じ様に引き取って呉れる様に、良い状態を保つ努力を要請され、基金の提出も述べられた。

“ある自治体は収集したごみを川に不法に流して居る所がある”これらはごみ処理の池に入れ、バクテリアを肥料に変える方策を取るべきである“とも述べられた。