M&A月報No.136 「日タイ首相辞任劇」

 

反タクシン派とタクシン派が激突、死者も出る騒ぎとなり、サマック首相は
非常事態宣言をし、軍隊の導入も視野に入れた対応を示した。

この騒動に責任を感じて、辞任してもおかしく無いと感じられるタイの首相と
思っていたら、何と福田首相辞任の緊急記者会見の模様がTVで伝えられて来た。

安倍首相に続き”またか”との思いの強い無責任な辞任劇である。
何の為の内閣改造であったのかと疑問を感じるし、”新しい首相の下、
やり掛けた路線を仕上げろ”とは、何とも奇異に感じる。

また記者会見での最後の台詞、“私は自分の事を客観的に見る事が出来る。
君とは違う。”
意味不明。
何とも後味の悪い引退劇であったと感じた。
新首相が旗を振れば、全て野党が合意するのであろうか。
無責任の極みの辞任劇、日本の信用がまた低下する様に感じられ、
憂慮される日本の将来と残念ながらなって来た様に感じている。

一方、タイの方は、辞任すると見られていたサマック首相が居残りを決めてしまった。
日本の首相とは大違いだなと、双方に皮肉を込めてタイのマスコミに叩かれている。

お蔭で、観光客は22〜25%減っており、各種関連企業の受ける損失は
最大320億バーツとの予測も出ている。

日本の新聞には”タイの民主主義の未熟”と出たが、タイの要人は、とにかく
双方早く矛を収める事を願っているが、一方、その内”なる様になる”と
達観している向きもある。

彼等は日本の様に、民主主義が成熟し、高度成長が必ずしも望ましい事とは
思って居ない。
日本を反面教師にしている面もある。

それは朝晩の東京駅での人々を見ていると、皆かなりの高額所得者なのに
誰も幸せそうな顔をしていない。
タイのゴルフ場のキャディー達は、仕事があっても日当約1,500円、
しかし何と皆幸せそうな顔をしている事かと言う。

不景気、株安、何が問題かと言う。
観光客が減り、ゴルフ場も適度な混み具合に成ったではないか。
皆何も困って居ない。
寧ろこれでインフレが沈静化する方が望ましいとも言う。
日本のマスコミは挙ってタイは大変な状態だと書き立ててくれるが、大きなお世話だ。

タイの人々は冷静で、何も困っていないのである。
これは当国に相続税が無い事が大きく起因していると思うし、伝統的なタンブン、
即ち金持ちが困っている人々を救済する為に寄付をする習慣があるからと思う。

餓死も凍死も無い自給自足の出来る恵まれた国、そんなに急いでどうするんだ、
我々はゆっくり人生を楽しみ乍ら進みたいんだと言いたいのであろう。

首相になると所持万端に気配りをせねばならぬのだなと思わせる事件が起きた。
即ち、過日、サマック首相は庶民性をPRする為に好きなTVの料理番組に出演し、
愛嬌を振りまいた。
ところが、その後TV局より謝礼を受けた事が問題視された。

本人は、食材費、交通費を支給されたので、謝礼では無いと主張、一方、
反対派は首相は副業を禁止されており、それに違反したとの主張であった。
憲法裁判所で争われていたが、9日、有罪の判決が出た。
これは彼が首相の座からの辞任を意味し、内閣も解散の憂き目となる事である。

しかし連立を組む与党は、彼を再び首相に選出する動きを見せた。
例え彼が再選を拒んでも、これはと思う首相候補が手を上げない所が、現在の
停滞した現状であろう。
しかし、これを良しとするタイ人が多いのも、タイの面白い所であろうか。

世論は無論、お膝元のPPP党内よりもサマック氏は再選を受けるべきでは
無いとの声が盛り上がり、遂に辞任を決意した。結構な事である。
ソムポン法相が有力視されたが、本人が一身上の都合より辞退した事と
タクシン氏が電話でソムチャイ氏を強く押した事より、紆余曲折の末、
タクシン氏の義弟にあたるソムチャイ副首相が首相に選出され、
非常事態宣言も撤回された。

しかし夫人がタクシン氏の妹という血縁にあり、反タクシン派より、問題を
追及するとの狼煙も上がっている。
彼はどちらかと言うと静かな人物で、その点は評価されるが、司法出身で
国を治める能力には大きな疑問点がある。

組閣に当たり、止めて於けば良いのに、タクシン氏が英国より電話で指示、
また妹である首相夫人が口を挟み、顰蹙をかっている。
首相夫人は見栄えも悪く、品性も無い様に感じられる。
この出しゃばりを止められぬ首相の対応にも不安を感じる。

新大臣も適材適所とはかけ離れたタクシン人事であり、これでは長続きは
期待出来ない。
しばらく様子見となろうが、近い将来に総選挙となることは否定出来ない。

一方、デモを仕掛けていた反タクシン派であるが、未だに集会を解けないでいる。
理由は解くと、首謀者が逮捕される恐れが有るからとの事、ご苦労様な事である。

ソムチャイ首相は、さっさと首相府を旧空港のドンムアンに移してしまった。
周辺のホテル、飲食店等はさぞ喜んでいる事であろう。

麻生新総理の所信表明演説をTVで一部拝聴した。
強く、明るい日本にしたい由。
一体誰が弱く、暗い日本にしたのか聞いてみたいと感じた。

タクシン氏が所有するマンチスターCITYのサッカー チームであるが、
アブダビニ本拠地を置く、ある連中が買取りたいとの手を上げた。
これに会長が賛同。

一方、資産を差し押さえられたタクシン氏は、資金繰りの面より売る方向との
報道がなされた。
短期間の保有に終わったが、報道ではタクシン氏は約100億円の利益を
享受した様である。
金儲けの上手さには脱帽である。

サポーター達は、犯罪者がオーナーでは将来に不安があり、これまた
新オーナーの出現を歓迎。
やはり、旧き、格調を重んじる英国人は、タクシン排除に動いた事が明確となった。
当然の成り行きと思う。