M&A月報No.135 「ポチャマン夫人の有罪判決とタクシンの亡命」

 

国王、アナン氏に勇気付けられてか、タイの司法も頑張り出した。
数種類の嫌疑で争っているタクシン一族であるが、その内の一つである、
ポチャマン夫人の脱税容疑に付き、執行猶予無しの禁固3年の
有罪判決を下した。

一族に有罪の判決が出たのは初めてで有り画期的な事である。
無論、夫人は控訴し、500万バーツの保釈金を払い保釈された。
本件には義兄並びに秘書も絡んでおり、各々3年、2年の禁固の判決を受けた。
今後最高裁で争われる事になるが、他の裁判に与える影響も大と見られ、
一族並びに弁護士の動きに注目が集まり出した。

裁判所より出国許可を得て北京オリンピック観戦に出国したタクシン夫妻
であるが、8月11日、急遽北京より行き先をバンコクではなく英国に変更し、
亡命してしまった。

当分は裁判で争うと見て居ただけに、早急なる決定に驚きを禁じ得ない。
英国での記者会見では、不当な裁判に掛けられる恐れが大、暗殺の計画も
ある云々と述べているが、これで一件落着とも思えない。
英国が受け入れるか否かも定かではない。

子供達も急遽、英国に出国したが、今後の家族の対応にも注目が集まる。
また今後のタイ政局に与える影響も大である。

この結果、反タクシン派が勇気づく事は間違いなく、1,000億バーツ近い
資産の凍結、彼等の関連会社の調査等々が活発に行われ出すと思われる。

彼がオーナーになっているマンチェスター・シティーのフットボールクラブも
大変である。
旧き良き英国紳士のクラブ、犯罪を犯し亡命して来た外国人がオーナーでは
面子が無かろう。
クラブがどう反応するかに注目が集まっている。

同クラブの会長が、タクシン氏がクラブのBOARDに留まるのは問題ありと発言した。
同感である。
これに対しタクシン氏は、株主である事を排除しないなら、BOARDから去る事は
問題なしとコメントした。
これで一件落着とは思えない。

長老の反感を買い、国王に見放され、国王より法に則り毅然たる判決を出せと
言われ、実刑判決を下した裁判官に囲まれたのでは、居場所も無くなろうと
言うものであろうが、実行力があっただけに残念な気もする。

サマック首相もやる気が無いのか、有るのか、あるいは内心ほっとしたのか
司法への介入をした様な形跡が見えない。
記者会見では、自分は国とタクシン元首相の為、全力を投入して頑張っていると
釈明に努めたが、本心は如何なものであろうか。

有識者からは、サマックは顔も悪く、言葉使いも悪いが、悪い人間では無い。
これで彼も良い首相になるかも知れぬとの声も聞こえて来る。

今回の件で面子を潰された最高裁は、両氏に対し逮捕状を執行した。
これに伴い、警察も入国管理局を含む全国に両氏に対する指名手配の
書類を配布した。

一方、反タクシンの市民約1万人がバンコクにある英国大使館前で大規模な
デモ行進を行い、彼の亡命を認めず、身柄をタイに引き渡す様文書を提出した。
ロンドンで最高級住宅を購入した同氏にどう英国政府が対応するのかに
注目したいが、英国が彼を匿う理由は無い様に思う。

日本と同様、サマック首相も内閣の改造を行い、11人の新閣僚が誕生した。
タクシン氏に最も忠実であった、元の警察庁長官が内相に抜擢された。
やはりタクシン色が濃厚な布陣となり、連立を組んでいる各党より不満も
噴出している。

そのタクシン氏が亡命し、金蔓が無くなったサマック首相。
暫時お手並み拝見となろうが、長くは続かぬというのが現在の大方の見方である。
しかし上記の様な有識者の見方もあり、今少し継続するかもしれぬ。

サマック首相の退陣を求め、連日数万に規模の多くの民衆がデモを行っており、
中にはかなり過激な行動に出る連中も出て来た。
一部地域を除き、繁華街等は平静を保っている。
しかし、一部地方空港の閉鎖等にも発展し、遂にサマック首相は鎮圧の為、
多くの警官を導入した。
軍隊の導入は差し控えており、これは正解と感じる。

有識者は、タクシン排除が最大の成果で、ここでデモによりまたぞろ軍関係の
政権が誕生しても、過去一年間の経験より、何も改善しない。
総選挙となると、またタクシンが影で動き出し、彼の傀儡政権が誕生するのみで、
これまた良策では無い。
ここはデモ等中止し、サマックに今少し政権を担当させるのが上策と見ている。
早く平穏なタイに戻る事を念じたい。

米国の雑誌社が世界の王族の長者番付を発表した。
何とタイ国王が3兆8000億円で1位、2位がアブダビ(UFE)首長、3位が
サウジアラビア国王、12位が英国女王、天皇陛下は15位以内には入らなかった。
これに驚いたのか、タイ外務省は、この中には国有地が入って居り、これは
国王の資産では無いと反発している。
それにしても結構な事であると思う。

オリンピックの祭典に沸いた世界であるが、24歳の女性、Prapawadeeさんが
重量挙げで金メダルを獲得した。
女王も痛く感動され、宮殿で彼女の快挙を祝された。
因みに、彼女には2,000万バーツ(約6,400万円)の功労金が手渡された
由である。
最終的にはボクシングの男性、一人が金、一人が銀、併せテコンドーの女子が
銀を獲得、都合金2、銀2が結果であった。